MOGWAI | 東京 新木場Studio Coast | 2018.02.27

開演前、フロアにスペースがまだ若干あったので、前の方にいこうとした。しかし「あ、今日はモグワイなんだ」と思って引き返す。フロアに降りる階段あたりで観ることにした。バンドが放つ轟音をベストなポジションで体験したいと思ったからである。

フロアはほぼ埋まり、登場を待つ人たちはフジロックやサマーソニックの話などをしていた。

ライヴは15分押しで始まった。スチュアートが元気よく「ハロー! グッドイーブニング!」と挨拶する。そして”Hunted by a Freak”で始まる。次が新アルバムから”Party in the Dark”。今までにないほどポップなメロディとリズムを持つ曲である。3曲目は”Cody”とヴォーカル曲を3曲続ける。

スチュアートはステージ上手にいてギターとヴォーカル、ドラムはマーティンが療養中のため代わりに、光る派手なシャツと短パン姿のキャット・マイアズ。この2人のポジションは変わらないけど、他のメンバーは立ち位置や楽器を変えていく。バリーがキーボードを弾くことが多かった。

モグワイはギターによる轟音ノイズという根は変わらないけど、その時々でエレクトロ色が強くなったり、アンビエントに寄ったりする。今回の『Every Country’s Sun』は、そんなモグワイの集大成的な作品になっていて、新譜からの曲を中心に、過去のアルバムから幅広く選曲されたセットリストになっていた。

定番となっている”Ithica 27ø9″や”2 Rights Make 1 Wrong”も演奏されて、新しいアルバムと自然に同居できている。ピアノの音色から徐々に盛り上がっていく”I’m Jim Morrison, I’m Dead”、この曲もピアノの音色が特徴的な”Auto Rock”、割と最近の曲ながら定番入りしつつある”Remurdered”、新しいアルバムから”Old Poisons”で本編を終える。

アンコールではまず新アルバムから”Every Country’s Sun”。そして、やはりこの曲を待っていた”Mogwai Fear Satan”。イントロから歓声が上がり、途中の爆発するギターノイズで絶頂に達した。身体を震わせるだけでなく、建物や床までもが振動し、会場全体がリズムやメロディの先にある「音」そのものになってしまった限界点を体験したのだった。やはりモグワイはこの体験を多くの人たちに求められるのだろう。

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Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by MASAHIRO SAITO