MOROHA | 東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO | 2018.04.20

飽くなき探求

MOROHAとeastern youthが初めて共演したのは、2016年3月。そのとき、MOROHAはリキッドルームでのワンマンライブを控えていた記憶がある。今や彼らはメジャー・デビューを果たし、今年も数々の夏フェスを席巻。12月には Zepp 東京でのワンマンライブ開催がアナウンスされている。着実にシーンの中心へと駆け上がろうとしている彼らが、eastern youth主催の対バン・イベント「極東最前線」のゲストとして、渋谷クラブクアトロのステージを踏んだ。

1曲目は、代表曲のひとつにして、テレビドラマ「宮本から君へ」のエンディングテーマに採用された「革命」。ラストでMCアフロは歌詞を変えて「革命起こす 幕開けの 極東、最、前、線!!」とシャウト。フロアを一気に沸かせる。

後に出演したeastern youthの吉野寿(Gt/Vo)は、MOROHAについて「音楽にして文学、文学にして演劇」と評していた。たしかに気鋭のアーティストとして認知され、ライブ会場の規模も格段に大きくなった今、MOROHAのふたりが自分のライブのフライヤーを配るようには思えない。それでも「それいけ! フライヤーマン」は、当時と全く遜色ないハングリー精神をたたみかけ、リアルに響くところは物語を追っているようだ。そのままのテンションで「ヘラヘラしてるんじゃねえよ、極東。そういうんじゃねえよ、クアトロ」とフロアを挑発し、「俺のがヤバイ」へ突入するあたりも、演劇的と言ってもよいだろう。3曲目にして迎えたクライマックスに、大きな歓声があがる。

「eastern youthとの思い出は、俺が高校生のときに、友達ひとりも居なくなったときに、ずっと、聴いておりました。そういうときに、他の音楽は『君はひとりじゃないからね』って歌ってくれたんだけど、eastern youthは『お前は徹底的にひとりぼっちだ』って、そう言ってくれました。だけど、最後に小さな声で『俺もそうだよ』って、そう言ってくれました」

極東最前線の常連客だって、MCアフロと思いは同じはず。衝撃的な冒頭3曲でフロアを打ちのめしておきながら、こんなMCでそっと観客の側に立ってみせる。琴線に織り込まれるようなUKのギター。「tomorrow」の痛切な独白。続く「拝啓、MC アフロ様」でもアフロの泣き出しそうな声が発声が胸に迫る。 そして最新曲、「ストロンガー」。ストイックかつパーカッシブなUKのギターに乗るリリック。散りばめられているのは、モロにエレファントカシマシの「ガストロンジャー」を想起させるフレーズの数々なのだが、そういえば、エレファントカシマシのボーカリストの宮本浩次が垣間見せる理想の高さと、MOROHAが掲げる野心には、通じるものがあるかもしれない。

序盤でアフロは、「お前ら誰だよ? っていう目でこっちを見ている方が、何人かいらっしゃるんですけど、俺たちもそれを探しております。俺たちはいったい誰なのか。俺たちは一体何者なのか、どこへ行くのか、それを探しております」と語っていた。最後の曲、「四文銭」のラストでは「俺たちがなんのために生きているのか結局ひとつもわからずじまいでした
」と言い放ち、胸を締め付けるドラマチックなギターに、アフロの「俺は誰だ、俺は誰だ、俺は、俺は、お前は、あなたは、君は、誰だ、誰なんだ、誰だーーー!!!」と渾身の叫びが乗る。MOROHAの飽くなき探求は、続いていくのだ。演奏を終え、マイクを通さず「ありがとうございました!」と言って深々と頭を下げるMCアフロとギターを置いて立ち去るUKを、フロアから沸き起こった盛大な拍手が包んだ。

<SET LIST>
01.革命
02.それいけ! フライヤーマン
03.俺のがヤバイ
04.tomorrow
05.拝啓、MCアフロ様
06.ストロンガー
07.四文銭

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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa