The NEATBEATS | 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO | 2018.10.07

『ROCK’N’ROLL EXPRESS! 2018』笑顔で踊らせるマージービートの伝道師

2016年に企画され今年3回目を迎えたROCK’N’ROLL EXPRESS! 2018』ツアーの終着駅梅田クラブ・クアトロの最後を飾ったのはザ・ニートビーツだ。「本日の最終列車、ニートビーツ!」真鍋”Mr.Pan”崇(Vo/G)が高らかに叫ぶと1曲目からツイストで踊りたくなる”FARMER JOHN”に、歌詞を変え「梅田クアトロ」「エクスプレス」などと盛り込んだ”YAH YAH YAH”で一気に盛り上げる。続く”明日が来なけりゃいい”は切なく甘いMr.Panの歌声が聞きどころの1曲だ。

そして、余韻を味わうことを一切させてくれない、このイベントの裏メニューMr.Panによるザ50回転ズとキングブラザーズいじりがこの日も炸裂する。漫才師も舌を巻くようなメンバーの掛け合いには毎回頬がひきつるほど笑わされる。出るとこに出れば漫才の賞のひとつやふたつ取れるんじゃないかと思うほど、ドッカンドッカン会場から笑いが起こるのだ。

しかし、そこはメンバー共に芸達者なニートビーツ。「ロックンロールは飛び込んだか?」とキングブラザーズの決まり文句をネタにMr.Panがフロアに問いかけると、ボ・ディドリーのカヴァー”YOU CAN’T JUDGE A BOOK BY THE COVER”を浦”Mr.Gully”大(B/Vo)が、”SHAKE!”を土佐”Mr.Lawdy”和也(Gr/Vo)がヴォーカルをとり、今度はフロアの熱気を上げていく。でもやっぱり、フロアの歓声が止まないうちに再び抱腹絶倒時間が挟まれる。ダニーの喋りを口の中にメガネがあると例えてみたり、昨日は担がれながら遅い遅いと言っていたマーヤに、今日は早い早いと言うてどっちやねんと突っ込んでみたり。話が四方に飛ぶと「そんなことどーでもええねん、何の話やねん!」とボケとツッコミも完璧だ。「何も変わらない感じがいいでしょ?1年に1回集まるのいいじゃない?ロックンロールというのは生存確認なんですよ、お互い。」とMr.Panは笑って見せた。

“TWISTIN’ TIME WITH YOU”からはフロアがダンスホールと化すツイストタイム。ヴィンテージの機材と音にこだわる頑固さとロックンロールへのひたむきな想いに、身体のみならず胸も踊らされる。1Fフロアの観客がメンバーの動きに合わせて前後に踊るのを見るにつれ、日本を飛び出しても受け入れられるポテンシャルの高さを感じずにはいられない。マージービートの伝道者たる貫禄を感じさせず、ただ楽しませるバンドのスタンスは「誰のファンとかないからね、全部食べ、全部食べるから美味しいねん、Are You Ready?」と笑いを取りながらフロアを盛り上げる言葉にも垣間見られた。

ラストの1曲”黒いジャンパー”で「裏地は赤いチェックだ」というコールアンドレスポンスを見ながら、このバンドがいる限りロックンロールは無くならないし、5年後、10年後もこのイベントが続くような気がした。

<SET LIST>
01.FARMER JOHN
02.YAH YAH YAH
03.明日が来なけりゃいい
04.YOU CAN’T JUDGE A BOOK BY THE COVER
05.SHAKE!
06.TWISTIN’ TIME WITH YOU
07.Bye Bye Very Good
08.Blue Blue Blue
09.Hamburg Twist
10.うわさの男
11.I Can Tell
12.Baby That’s R&R
13黒いジャンパー

Text by TOMOKO OKABE
Photo by TOMOKO OKABE