KING BROTHERS | 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL | 2018.1.14

記念すべき20周年の幕開け

今年20周年を迎え、8年ぶりにニューアルバムの完成を発表したキングブラザーズが1月14日(日)名古屋ロックンロールでワンマン・ライブを行った。メンバーが満員の客の間を縫って現れると、発狂に近い歓声が彼らを包囲した。ケイゾウ(vo/g)がマイクに噛み付く勢いで「ロックの準備はいいですか」と叫ぶや否や“KILL YOUR IDOR”の容赦ない爆音が、あたかもミレニアム・イヤーを祝福するファンファーレの如くつんざいた。“Spaceship”ではマーヤ(g/scream)のスペーシーなメロディラインにケイゾウのリフが重なる。この日お披露目されたケイゾウの新しい黒いギターの音色に驚かされた。伯仲したツインギターの魅力がより顕になり、バランスの良さが際立っていたからだ。

名古屋はゾニー(dr)の地元でもあり、ワンマンライブが久々とあって、“Big Boss”の頭からの轟音にフロアは踊り狂った。マーヤは嬉しそうに自分のマイクをフロアに投げ込み、客に次々と叫ばせる。“Big Beat”は2004年のアルバム「BLUES」でサポートドラマー和田シンジ(現DMBQ、巨人ゆえにデカイ)の唯一無二のタイム感が印象的な曲であったが、すっかり当時の様相は鳴りを潜めゾニー色に染まっている。この曲ほどドラムというパートの面白さを感じさせるものはないだろう。

「3月に発売する俺たちのアルバムから、“Song2”踊ってくれ!」ケイゾウの掛け声でニューアルバムに収録されているであろう“Song3”、“Sympathy For The XXXXX”と続く。ケイゾウは何度も「ヤバいぜ」と繰り返した。ライブで幾度となく演奏され、贅肉を削ぎ落としたこれらは新しい定番曲としてライブの中盤にどっしりと鎮座し、さもここに在るのが昔から決まっていたような顔をしていた。

「俺たち20周年ですが、名古屋は昔は大っ嫌いだったんです。俺たちのライブなのに誰も踊ってないから。でも今は違うぜ、日本で一番ヤバい街だと思いますよ。そして名古屋が生んだ地獄のロックンローラー、奴の名前は?(客「ゾニー!」)奴の名前は?(客「ゾニー!」)そう、ゾニーです!2018年も30年目も40年目も世界の誰よりも格好いいバンドとしてやっていきますから!」そうケイゾウが宣言すると、ステージ上からもフロアからも笑顔がこぼれれた。

続く“69”“King Of Boogie”のマーヤのスクリームは、20年前から何も変わっていない全方位射程内の破壊衝動が迸っているような気がしたが一転、彼の繊細な美しい“ロマンチスト”のギターメロディに心を震えさせられる。そこに重なる、ケイゾウの声とゾニーのドラムは限りなく優しい。斜陽を背に帰途につく緩やかな足並みが、次第に明日への希望を思うにつれ、歩幅が広くなっていくような楽曲の盛り上がりに、観客は耳をすました。

後半は見事にキングブラザーズ全歴史をなぞるようなセットリストだった。紆余曲折の一言では片付けられない、バンドの苦闘を全て昇華させ“Song9”が彼らの決意表明として今ここで差し示される。本編最後はセットリストの曲名に「新」と添え書きされた“マッハクラブ”でマーヤはフロアに飛び込んだ。

「今だけじゃなく、今までがあるから今が在る」名古屋への道すがらマーヤが語った言葉をアンコールで思い出していた。フロアに機材を降ろして演奏するスタイルは、より近くで感じて踊りまくってほしい、そう願う彼らの20年変わらぬ想いからだ。

3月2日(金) 熊本 NAVAROを皮切りに5月26日(土) 兵庫 神戸バリットまで25ヶ所、20th Anniversary & Newアルバム先行発売ツアー『wasteland』が始まる。オフィシャルサイト最速先行は1/21 正午より順次発売開始されるとのこと。20周年の祝盃をあげに是非とも足を運び、ニューアルバムを手にしてほしい。

[ setlist ]
KILL YOUR IDOR
Spaceship
Paint It Black
Big Boss
Big Beat
Song2
Song3
Sympathy For The XXXXX
69
King Of Boogie
ロマンチスト
ドカドカ
GET AWAY
XXXXX
Song9
虹と雲
マッハクラブ

[ encore ]
“Doo Doo Scratch”
“☆☆☆☆”
“ルル”

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Text by TOMOKO OKABE
Photo by TOMOKO OKABE