eastern youth | 愛知 名古屋 CLUB QUATTRO | 2023.05.21

コントラストが映える60分

eastern youthが5月21日に名古屋クラブクラブクアトロで開催された「鈴木実貴子ズ企画 『心臓の騒音』特別編」に出演した。eastern youthの吉野寿(Gt/Vo)のソロプロジェクト、outside yoshinoと鈴木実貴子ズは2018年9月に名古屋・今池TOKUZOで共演している。あれから5年、満を持しての初顔合わせとなった。

冒頭からまるでクライマックスのような”夜明けの歌”、”街の底”を演奏し、吉野がフロアに挨拶する。「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。我々鈴木さんに呼ばれて名古屋までやってまいりました」「ようやくリラックスした雰囲気でライブができるようになって参りましたね。引き続き油断せず、時間いっぱい努めますのでどうぞよろしくお願いいたします」と語ると拍手と歓声で迎えられた。

スリリングに展開する”おとぎの国”で序盤のピークを迎え、”踵鳴る”以降もパワフルに進む。曲間に吉野がZ世代に対して愚痴めいたことを言い出したかと思えば「本当は仲良くしてもらいたい、優しくしてもらいたい」と言い、「……なんてウソ、みんな死ね!」のシャウトで”男子畢生危機一髪”に突入する流れに苦笑いしたり、”ソンゲントジユウ”の前には吉野がInstagramの中でみんなが楽しそうにキラキラしているのを見ると「俺は完全に負け犬族でしょ? って思う」と語る姿に親しみがわいてくる。続く「比べたってしょうがないよね」「結局自分で生まれてきちゃってるから、あとは自分になるしかねえわけよ。憧れるなよ? 誰にもよ。そんな暇があるくらいなら自分自身になるしかねえよ。マジで」という言葉には頷くしかない。

そして演奏に入った瞬間、ピリリと空気が引き締まる。田森篤哉のダイナミックなドラムと村岡ゆかの表情豊かなベースが支えるなか、吉野の魂の歌唱と冴え渡ったギターの響きがストレートに突き刺さってきて、打ちのめされてしまう。

“時計台の鐘”の演奏前に村岡の機材からノイズが出るハプニングがあり、吉野が「だいたいさ、俺の家の冷蔵庫だってヴーンって(鳴るよ)」と言ってフロアの笑いを誘っているうちにノイズが止まるという場面もあった。ラストは堂々の”夏の日の午後”。10曲それぞれの表情はもちろん、演奏と曲間のコントラストも映える、見応えある60分だった。後攻の鈴木実貴子ズが放つ、ヒリつくような激情も胸に迫るものがあり、趣のある対バンライブを観ることができた。

eastern youthは5月27日(土)には立川ステージガーデンで開催される、CRAFTROCK FESTIVAL ’23に出演する。6月、7月も各地のフェスティバル、イベントへの出演が決まっている

<SET LIST>
01.夜明けの歌
02.街の底
03.おとぎの国
04.踵鳴る
05.男子畢生危機一髪
06.青すぎる空
07.素晴らしい世界
08.ソンゲントジユウ
09.時計台の鐘
10.夏の日の午後

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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa