eastern youth | 宮城 ARABAKI ROCK FEST.19 | 2019.04.27

積み重ねた果ての、圧倒的ホーム感

4月27日、eastern youthがARABAKI ROCK FEST.1日目のHANAGASAステージに出演した。昨年のARAHABAKIステージ、1日目のトリを飾った素晴らしいライブから、もう1年経ってしまった。

この日は断続的に小雨が降っていた。地面はところどころぬかるみ、気温も低かったが、午後には雲の切れ間から青空ものぞいた。防寒対策さえしっかりしていれば、夕暮れ前の冷たい空気が心地よい。

17時40分。ステージに吉野寿(Gt/Vo)、村岡ゆか(Ba)、田森篤哉(Dr)が現れると、フロアが一斉に沸く。”夏の日の午後”のイントロが鳴れば、一瞬で場の空気が引き締まる。吉野のギター、口笛……と展開していくたびに、たまらないといった様子の観客の感嘆の声がフロアに渦巻く。eastern youth屈指の代表曲での幕開け。リズムに合わせて観客の合いの手が入り、1曲目から最高潮の盛り上がりを見せた。eastern youthがARABAKI ROCK FEST.に出演するのは15回目。1回1回、このフェスで着実に演奏を積み重ねてきたからこそのホーム感が半端ない。

“夏の日の午後”のアウトロの余韻に、ギターの硬質な高音が断続的に混じる。フロアの熱はそのままに2曲目、”砂塵の彼方へ”。迫力に満ちた晴れやかな爆音。サビでは村岡のコーラスが彩りを添える。終われば、フロアから次々と声援が飛んでいた。

「我々、イースタンユースというバンドです。雨が降ったり止んだり、寒いですね。でも、ここは屋根がついていますんで、どうぞ安心して」

と吉野がギターを鳴らしながら応え、”ソンゲントジユウ”が始まると、さらに大きな歓声が返ってくる。毅然と歌われるサビと、まっすぐ語られる吉野のモノローグのコントラストに心を奪われる。

“ナニクソ節”の冒頭では、ギターでリズムを刻みながら吉野が語る。

「私たちは覚えています。ずーっとずっと、忘れることなく覚えています。月日がどんどん、どんどん、流れていっても、決して忘れることはないでしょう。とても傷ついた人たちがいる。もう戻ってこない人たちがいる。そして俺たちには相変わらずの毎日があって、やっぱり明日がやってくる」

「どうにかこうにかやっていくしかねえんだよ」

そう言い放ってカウントが始まり、スピード感ある響きで駆け抜けた。この曲がYoutubeで発表された2011年3月以来、歌詞に込められた不屈の姿勢に幾たびも励まされてきた人が、きっとここには沢山いる。”夜明けの歌”の前には吉野のゆっくりとしたギターの音色が挿入される。それがフロアに程よい落ち着きをもたらし、曲が一層胸に染みる。

ラストは”街の底”。間奏のリズムとフロアからあがる歓声のコンビネーションは、阿吽の呼吸の域。両腕を翼のように広げて、天を仰ぐ吉野の傍らでは、田森と村岡がしっかりとリズムを繋いでいる。美しい光景だ。

「ありがとうございました! また会う日まで!」

演奏を終えた吉野がそう言って手を挙げると、HANAGASAステージの屋根の下はこの日一番の大歓声で満たされた。

あっという間の35分間。しかし、再びeastern youthを観る日まで、どうにかこうにかやっていくしかない、と前を見据えて生きる力が湧いてくるような、かけがえのない時間だった。

9月28日(土)に日比谷野外音楽堂での17年ぶりのワンマンライブが開催される旨も発表され、結成30周年を越えてますます充実の時を迎えるeastern youth。現在、公式サイトでは5月7日(月)までチケットの先行予約を受付中だ。

<SET LIST>
01.夏の日の午後
02.砂塵の彼方へ
03.ソンゲントジユウ
04.ナニクソ節
05.夜明けの歌
06.街の底

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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa