eastern youth | 京都 ボロフェスタ | 2019.10.26

人間だからこそ

10月26日、eastern youthが京都で開催中のイベント、ボロフェスタに出演した。ボロフェスタといえば、eastern youthの曲名にちなんで命名された「街の底ステージ」があり、前回は会場のKBSホールの巨大で豪華なステンドグラスをバックに演奏したのが印象的だった。3年ぶり5回目の出演となる今回は、麒麟ステージに登場。メインステージの夕焼けステージと交互にライブが行われ、フロアは満杯の大盛況だった。

17時10分過ぎ、サウンドチェックから流れるように”ソンゲントジユウ”の演奏に入り、大きな歓声で迎えられた。厳粛に始まった”夏の日の午後”は吉野寿(Gt/Vo)が2番を飛ばして間奏を弾き始めるという非常に珍しいハプニングがあった。しかし吉野は冷静に演奏を続けた村岡ゆか(Ba)、田森篤哉(Dr)と呼吸を合わせ、数小節で見事に立て直す。演奏を中断してもおかしくない場面さえも、3人の強固な結束を感じさせる見どころに変えたのだった。

……間違えてしまった、と語り始めた吉野。

「ギターを弾き始めてから40年。何十年たっても一向に上手くならないまま、何十年も弾き続ける気持ちがお前にわかるか?」

「音楽理論はことごとく無視してきた。テクノロジーも全部無視! エフェクター、Blues Driver一発だけです。安定した音楽の供給じゃないんだよ。いつでも危機一髪!」

吉野が一言語るごとにフロアの歓声が大きくなり、”男子畢生危機一髪”に入る流れは最高だった。”浮き雲”は広いホールに響き渡る爆音が清々しい。”素晴らしい世界”ではイントロで自然に手拍子が起こり、温かい空気に。終わればメンバーに次々に声援が飛んでいた。

数日前にニュースになっていた、スーパーコンピューターだと1万年かかる計算を3分20秒で終わらせるという量子コンピューターの話題も出た。

「ますます人間様の居所はない。全部できちゃうから、正確に。だからギターですよ。超ヘタなギター。量子コンピューターめ。お前にはわかるまいよ、この気持ち」

そして始まった”夜明けの歌”と、ラストの”街の底”。吉野の「街の底 人間たち 生きてる!」の叫びを受け止めるうちに、何事もままにならない故の悲喜こもごもは、人間だからこその醍醐味だと思えてきた。”街の底”の間奏で吉野はステージ中央まで出て、観客を一瞥する。フロアはすかさずこの日一番の歓声に満たされたのだった。

<SET LIST>
01.ソンゲントジユウ
02.夏の日の午後
03.男子畢生危機一髪
04.浮き雲
05.素晴らしい世界
06.夜明けの歌
07.街の底

<極東最前線 〜にゅーでいらいじんぐ2019〜 >
2019年 12月8日(日) 渋谷クラブクアトロ
GUEST: NITRODAY
開場 17:00 / 開演 18:00
前売:¥4,000円(前売/ドリンク代別)
詳細:https://smash-jpn.com/live/?id=3261

一般発売:10/19(土)
チケットぴあ(P:163-986)/ ローソンチケット(L:73487)/
e+(Pre:10/12-14・QUATTRO Web:10/12-14)/ 岩盤(ganban.net)/ 会場

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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa