eastern youth | 東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO | 2022.04.16

「単独公演 2022 春」初日。手向けのリフで締める

eastern youth のツアー「単独公演 2022 春」の初日となる、渋谷クラブクアトロでのライブが4月16日に開催された。23日(土)には岡山・YEBISU YA PRO、24日(日)に京都・磔磔(SOLD OUT)を巡り、26日(火)には梅田クラブクアトロで開催される”UMEDA CLUB QUATTRO 10th Anniversary”でTHA BLUE HERBと共演する予定である。

1月17日以来、3ヶ月ぶりのライブだった。定跡破りの1曲目から、前半はワンマンライブならではの、久しぶりに演奏される曲が多かった。吉野寿(Gt /Vo)は「嫌な世の中になりましたよ。どんどんなっていくなと思いましたけど、完全に嫌な世の中ですよ。なんにも言いたくなくなるような、嫌な世の中だ。何も言いたくない」と抑えた口調。演奏はその抑圧を吹き飛ばすかのような迫力に満ち、鋼のごとき重厚感と切れ味鋭い響きに圧倒される。

ライブが進むにつれて、発声を抑えて観ていた観客が思わず笑ってしまうようなMCもあった。床にマス目が引かれ、観客はひとマスずつ立ち位置を守って観るようになっている。それでも久々にスタンディングでのライブということもあり、従来の渋谷クラブクアトロでのライブらしさが戻ってきたようにも感じられた。最新アルバム『2020』の曲の存在感も鮮明だ。寂寞と激情が刻一刻と沸き起こるようなドラマチックな中盤を経て、代表曲がたたみかける終盤まで、空間を吉野、村岡ゆか(Ba)、田森篤哉(Dr)の3人が放つ緊張感が貫き通していた。

アンコールに応えて演奏された、最後の曲。ああ、これで終わりか、と思った瞬間。点滅する照明とともに、最高にキャッチーなリフが爆音、爆速で鳴らされ、観客は息をのむ。Co/SS/gZ(コーパス・グラインダーズ)の”COBRA”のリフである。すかさず吉野は「ありがとう、さよなら!」と言い放ち、3人はステージを後にする。驚きに満ちた喝采とともに、ライブは幕を閉じた。

終演後のSEも”COBRA”だった。2015年12月5日、Co/SS/gZは渋谷クラブクアトロで開催された極東最前線のゲストを務め、eastern youthの”月影”のカヴァーを演奏した。4月11日に永眠したZERO(Gt/Vo)への3人からのお返しのような手向けのリフは、きっとZEROに届いたはずだ。

 


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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa