eastern youth | 宮城 ARABAKI ROCK FEST.22 | 2022.04.29

4月の雪、絶え間なく

4月29日、eastern youthがARABAKI ROCK FEST.22に出演した。3年ぶりの開催となった同フェスティバルの1日目、HATAHATAステージのトリを務めた。

日中、雨が降り続いていた。仙台駅から車で1時間ほどかかる会場に着くと、一段と気温が低くなったように感じた。eastern youthの出演時間は19時40分。19時ごろにみぞれ混じりの雨は、湿り気を帯びた雪に変わった。バックステージで吉野寿(Gt/Vo)、村岡ゆか(Ba)、田森篤哉(Dr)が話題にしていたのは、ほとんどが天気と観客の心配だった。フェスで雨のなか演奏することはあっても、雪の中の演奏はなかなかない。天気予報では、出演時間のころの気温を3度と予測していた。

雪が絶え間なく降ってくる状況でも、ステージ前にはバンドの登場を待っている観客がいた。柵前両サイドには、「ディスタンスの確保をお願いします」と書かれたプラカードを掲げたスタッフが立っており、観客はひとりひとりが密集しすぎない程度の距離を保っていた。ステージに現れた吉野が両手でハートマークを作って観客に向けると、何人もの観客が同じように両手でハートを作って、吉野へ向けていた。

「みなさん、最後までありがとうございます。ここに残っていただけているだけでも、みなさんの心っていうものを、非常に、ひしひしと感じますよ。無理しないでくださいね、本当に。低体温症になりますよ。躊躇しないで帰るようにしてください。『こら、いかん』と思ったら。我々、爆音で見送りますんで。アラバキは明日もありますし、何より皆さんの人生も明日がありますから」

第一声は、観客を気遣う言葉だった。「では40分間」と続けて始まったのは、”今日も続いてゆく”。吉野の気合の入った掛け声がマイクを通さずに放たれ、きらびやかで重量感のある音塊が響き渡った。演奏が始まった途端、3人の吐く息が白いことに驚かされる。吉野はかぶっていたハンチング帽を取って、2曲目へ。地面にも観客の頭にも刻々と雪が降り積もっていくなかで聴く”夏の日の午後”や”砂塵の彼方へ”は、忘れられない瞬間となったことだろう。冒頭以降、 おそらく観客を少しでも待たせないために、MCなしで進行していった。その分曲間に吉野がゆっくりと爪弾くギターのフレーズと、3人で奏でるイントロのコントラストが際立った。”ソンゲントジユウ”と、”夜明けの歌”は始まると歓声の代わりに拍手が沸き起こり、美しくドラマチックな流れを作り出していた。最後の曲、”街の底”のサビではいくつもの拳が上がって、クライマックスを迎えたのだった。

本当はアンコールのための曲も用意されていたが、出番直前に吉野はアンコールを取りやめることを決めた。賢明な判断だった。”街の底”を終えて、喝采の中の最後の挨拶は「ありがとうございました、また会う日まで! みなさん気をつけて!」だった。一向におさまる気配のない雪のなか、吉野は最初から最後まで、観客を気遣っていた。それくらいタフな状況下での演奏だった。

8月27日(土)には仙台Rensaでeastern youthのワンマンライブが開催される。5月8日(日)まで、オフィシャル先行予約を受け付けている。

<SET LIST>
01.今日も続いてゆく
02.夏の日の午後
03.砂塵の彼方へ
04.ソンゲントジユウ
05.夜明けの歌
06.街の底


『eastern youth 単独公演 2022 夏』
https://smash-jpn.com/live/?id=3660

名古屋 8/20(土) 名古屋 CLUB QUATTRO
open 16:00 / start 17:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)

大阪 8/21(日) 梅田 CLUB QUATTRO
open 16:00 / start 17:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)

宮城 8/27(土) 仙台 Rensa
open 16:30 / start 17:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)

岩手 8/28(日) 盛岡 club change WAVE
open 16:30 / start 17:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)


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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa