そのまっすぐさに応えられているだろうか
『TAIWAN PLUS 2022 台湾吉日』というイベントが9月17日と18日に上野公園の噴水広場でおこなわれた。台湾の食やカルチャーを扱うブースが出展してマーケットを作る。ステージでは台湾のミュージシャンが出演していた。そのステージの大トリを務めたのが、今年のフジロックも記憶に新しいFIRE EX.だった。
9月18日の午後には台湾東部で大きな地震があり大きな被害をもたらしていた。一方、日本も大型の台風が近づいていて、18日の東京は強い雨が降ったり止んだりしていた。雨だからどうしようかと思ったが、とりあえず上野まではいってみることに。
イベント会場は多くの人で賑わっていた。いろんな店やブースがあってフェスティバル感がある。雨が強いので近くのスターバックスへ避難する。しばらく過ごしているとFIRE EX.のリハーサルの音が聴こえてくる。
17時10分ころステージ前にいくと人たちの期待が充満している。ライヴが始まるころ、それまでの雨も止んだのだった。FIRE EX.の日本語公式TwitterでベースのJCが「『俺は生粋の晴(原文は晴マーク)男だ』と今も豪語しております」とツイートしていた。晴れではないけど、まさか本当に雨が止まるとは。
いよいよ本日🎸
☔️が心配ですが。
Bass JC「俺は生粋の☀️男だ」と今も豪語しております…😏🐼🐻❄️🐨🦊🐯🐶🐰🐵🐮🦁
【TAIWAN PLUS 2022 台湾吉日】
日程|2022/9/18(日)
場所|東京上野恩賜公園-噴水広場
入場無料
※Fire EX.(滅火器)の出演は17:20~予定#台湾プラス#TAIWANPLUS2022 pic.twitter.com/WJgVRYbJrK— Fire EX. 滅火器 Japan (@fireexjapan) September 18, 2022
そして司会の女性に呼び込まれてバンドが登場する。まずはハスキング・ビー磯部正文とのコラボレーションした曲、“残像モーション”から始まる。ヴォーカルはメンバーたちで分担していた。
勢いを保ち“基隆路”と続く。リードヴォーカルのSamは中国語、英語、日本語でMCをおこなうけど、台湾の地震に関しては日本語の通訳をつけて中国語で話した。ステージ前に詰めかけたお客さんの多くは「日本の友人たちは心配してくれましたが、私が日本にいることを忘れたのでしょう」といったところは通訳される前に笑い声が起きたりしたので、言葉がわかる人たちが多かったのだろう。お客さん同士で話している言葉も中国語が多いように感じたから、台湾で観ている感じがしてきた。
フジロックのときはブラフマン/OAUのトシロウが歌っていた名曲“晩安台灣(おやすみ台湾)”ではステージ袖で観ていたハスキング・ビーの磯部がでてきて日本語で歌う。いるなら1曲目の“残像モーション”も歌えばよかったのに(磯部のTwitterによると1曲目には間に合わなかったらしい)。この曲は、何度も語られるけど2014年の「ひまわり学生運動」で学生たちを支えた歌であった。
ゆったりとスケールの大きさを感じさせる曲である“1945”や“海上的人”、美しいラブソング“十二月的你”、地元の人たちに人気ある“長途夜車”、ポジティブな姿勢を表す“繼續向前行”、そして“希望的明日”で締める。
そのまっすぐな姿は心を揺さぶられる。そうしたバンドに日本の音楽が多大な影響を与えていることを嬉しく思うとともに、影響を与えたり、コラボレーションをした日本のミュージシャンたちがそれに恥じない存在であるかが問われるのだ。またミュージシャンだけでなく、FIRE EX.を観る日本にいる人たちにもただ聴いて消費するだけでない姿勢が求められる。FIRE EX.のまっすぐさは、私たちが応援するに者にふさわしいかどうかを問うてくるのだ。
Set list
残像モーション
基隆路
1945
晩安台灣
海上的人
十二月的你
長途夜車
繼續向前行
希望的明日