ザ50回転ズ | 東京 下北沢 SHELTER | 2023.05.10

歓声が戻った「50の日」

アンコールの”LET ME ROCK”で気合いが入り、すさまじい強度を持つ演奏が終わり、客電が点いて、ブリンズリー・シュウォーツの”What IS So Funny About Peace Love & Understanding?”が流れる。ステージ前にいるお客さんたちは拍手をやめない。曲がモット・ザ・フープルの”Golden Age of Rock N Roll”に変わってもさらなるアンコールを求める拍手は続く。

そして再び会場が暗くなって、仕上げの一曲、”Thank You For RAMONES”を最後にぶちカマしてステージを去っていった。

この日は5月10日、「50の日」ということでザ50回転ズの主催ライヴである「ROCK & ROLL GENERATION!#8」が下北沢シェルターでおこなわれた。オープニングアクトにMONKEY GROW、対バン相手に大阪が拠点のThe Dahliaを迎える。50回転ズもキャリアが長くなり、若いバンドのフックアップをおこなう役割も果たすようになった。

The Dahliaが終わってセットチェンジ中にバンドがでてきてリハーサルを兼ね″Wipe Out″を演奏する。その時点からギターのダニーもお客さんたちを煽るし、それに応えて盛り上がるフロア。一旦、メンバーたちは下がって20時35分ころ、改めてドクター・フィールグッドの”Riot in Cell Block Number 9”がいつものように流れて登場する。

ライヴは「50回転ズのテーマ」で始まる。チケットはソールドアウトになり、あまり身動きとれないフロアを埋め尽くした人たちは一斉に踊りだす。声をだすのもOKとなって、かつてのライヴハウスが戻ってきた感じの盛り上がり。お客さんたちは手を挙げて合唱し、モッシュが起きてクラウドサーフを試みる者もでてきた。

ベースのドリーが歌う「サンダーボーイ」でもステージ前の人たちによる「オイ!」という掛け声と突き上げられた拳があって、軽快でポップな「夢見るタイムトラベラー」を挟んで、ドラムのボギーが歌う「夜明けに走れ」が非常にソリッドなロックとしてフロアを引っ張っていく。

ドリーの「放課後のロックンロール」が躍動して、”KILLER”へ突入。縦ノリでフロアが揺れていく。既発音源にはない粘っこいギターソロが印象的だった。

対バン相手のThe Dahliaについてこの3日後に長野県でライヴをおこなうので、東京に滞在中にリハーサルかレコーディングをおこなうかと思ったら、彼らはディズニーランドにいく、ということをダニーがMCでイジる。おそらく50回転ズが東京に数日滞在することになったらリハーサルかレコーディングをするのだろう。そういうマジメにコツコツやってきたバンドからすると若いバンドの行動は世代間ギャップとして映る。といっても自分たちだって子どもであると宣言する”We Are The Kids”を経て、終盤に向けて走りだす。

”Vinyl Change The World”、”Youngers On The Road”と定番曲で盛り上げたうえにRCサクセションのカヴァー「雨あがりの夜空に」のパンク高速ヴァージョンで最高潮へ。フロアからの「どうしたんだヘイヘイベイベー!」の掛け声も決まる。ラストの「おさらばブギウギ」はコール&レスポンスがコロナ禍以前のように声をだしてできる喜びがあった。それを受けてメンバーたちも嬉しそう。そうした盛り上がりがアンコールにつながっていったのだった。

50回転ズはこの後、5月後半デンマークとドイツでライヴをおこなう旅にでる。「よかったら次のライヴも来てください」って次はコペンハーゲンなんで、いける人はぜひ。

<セットリスト>

1.50回転ズのテーマ
2.サンダーボーイ
3.夢見るタイムトラベラー
4.夜明けに走れ
5.放課後のロックンロール
6.KILLER
7.We Are The Kids
8.Vinyl Change The World
9.Youngers On The Road
10.雨あがりの夜空に
11.おさらばブギウギ

LET ME ROCK

Thank You For RAMONES

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by Ryota Mori