ザ50回転ズ | 兵庫 神戸Varit. | 2023.07.02

ステージとフロアとの信頼感

アンコールの「ロックンロール・マジック」までロックンロールで駆け抜けた約45分間、バンドだけでなく、フロアにいるお客さんもステージから放たれる音に呼応し終始フロアを揺らし続けていたのだった。

この日の神戸VARIT.には忘れてモーテルズ、the Tigerが出演した。50回転ズはVARIT.と同じく19年という歳月を重ね、すでにベテランの域に差し掛かる。MCでダニー(ヴォーカル、ギター)は共演したバンドの若さについてよく触れるようになった。

VARIT.のいいところは、2階建になっていてガッツリ観たい人はフロアがある1階(地下2階)、俯瞰でじっくり観たい人は2階(地下1階)とわかれている。2階でも見やすいし、ステージを近く感じることができる。セットチェンジ中はビートルズがずっと流れていた。曲がいつものドクター・フィールグッドの”Riot in Cell Block Number 9”に変わりバンドが登場する。まずは「50回転ズのテーマ」でいきなり飛ばしていく。ドリー(ベース)が歌う「サンダーボーイ」で電圧高めで盛り上げ、もうひとつの自己紹介的な曲としてケルティック(アイリッシュ)パンクな「レッツゴー3匹!!」を経て、ボギー(ドラム)が歌う「エイトビートがとまらない」と初めてのお客さんにも50回転ズがどんなキャラクターを持つバンドなのか冒頭の4曲でわかるようになっているし、常連のお客さんたちも安心して盛り上がることができる。

割と定番な流れの後にレアな曲を用意する。「日雇い節」なんかはダニー曰くコロナ禍のときはやってなかったので、少なくとも3年はやってなかったものだし、ドリーがヴォーカルを取る”OH!ALL NIGHT LONG”も自分にとっては久しぶりだった。

ダニーはMCでVARIT.の店長が音楽を楽しめるキャンプ場を作ったことをイジったり、ひとつ前に演奏したthe Tigerのヴォーカリストの動きが「ショーケン(萩原健一)入ってる」ことで「大阪で生まれた女」をドリーに止められるまで歌ったりしていた。突っ込んだりボケたりでダニーはフロアからの笑いを引きだす。

そして夏を感じさせる曲「サム・クックがきこえる」で一旦スローダウンさせて、”Vinyl Change The World”、”Youngers On The Road”の定番曲でフロアは再び湧き上がり、「涙のスターダスト・トレイン」が切なく疾走して、「おさらばブギウギ」で締めくくる。恒例のコール&レスポンスも制限なしで大きな声でやりとりして、ドリーやボギーが笑顔を浮かべていたのが印象的だった。関西でのライヴだとホーム感が漂い、お互いを知っている物同士の呼吸みたいなのを感じることができた。

拍手が止まずにステージに再びでてきて「ロックンロール・マジック」でもう一度盛り上げて終わった。今後もバンドは精力的に活動していく。7月30日には大阪でイースタンユースとの対バンをおこなうのでいける人はぜひ。

セットリスト

50回転ズのテーマ
サンダーボーイ
レッツゴー3匹!!
エイトビートがとまらない
日雇い節
OH!ALL NIGHT LONG
サム・クックがきこえる
Vinyl Change The World
Youngers On The Road
涙のスターダスト・トレイン
おさらばブギウギ

アンコール
ロックンロール・マジック

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by Tomoko Okabe