KING BROTHERS | 大阪 Namba BEARS | 2023.11.25

破壊と再生の場所ベアーズ

「今月いっぱいでキングブラザーズをお休みさせて頂きます!」とゾニー(Dr)の活動休憩発表があった。2023年11月25日大阪・Namba BEARSでのイベント出演が休憩前のラストライブとなった。フロアからはいくつものゾニーを呼び込む声があがる。3人が客の間をかき分けてステージに登場すると、ジェイソンマスクを付けたゾニーはドラムの上に立ち、フロアを見渡した。1曲めは“メッセージ”だ。ケイゾウ(Vo/Gt)は初っ端から枯れんばかりの声で歌う。ゾニーはスティックの先でマスクを後ろに飛ばすと、情感と衝動を入り交ぜた演奏で歌詞と歌詞の間を埋め、歌の持つ世界観を際立たせていく。マーヤ(Gt/スクリーム)はゾニーに身体を向け、口元をきりりと結びギターに没頭していた。バンドの没入感は凄まじく、その姿に3人の決意を感じずにはいられなかった。

 いくつもの悲しみも
 乗り越えてオレはココへ来た
 誰の為に行くんじゃない
 答えなんて意味も無いだろ?
 今は前に進まなきゃ
 新しい朝は来ない
  “メッセージ”より


2014年1月11日、西宮フレンテホールのライブから、ゾニーはキングブラザーズのドラマーとして活動してきた。あれから国内外含め、1000本近いライブをこなすうちに10年が過ぎ、バンド史上最長歴のドラマーとなっていた。

その光景はいつもならライブ終盤に見られるのだが「今日はゾニーがぶっ叩きまくるぜ」というケイゾウの声を合図に、ゾニーは2曲目“ACTION”のイントロでドラムセットをフロアに降ろした。ステージそのままの立ち位置で、ベアーズの真ん中でゾニーが轟音を打ち鳴らす。パワードラムを叩くゾニーの、バスドラが、タムが、スネアが起こす風を間近で受けたことがあるだろうか。シンバルの音圧を皮膚で感じたことがあるだろうか。ゾニーを中心に音が噴き上がる様は、息を呑み呼吸すら忘れてしまうほどだった。昂揚感がフロアを埋め尽くすと「めちゃくちゃにしてやるんだよ!」とケイゾウの咆哮に煽られ、彼らを取り囲む観客も拳を挙げながら声にならない叫び声をあげた。

“GET AWAY”で「I Love You!!」とゾニーを指差しながら歌うマーヤの姿には正に愛しかなくて、観客からも笑顔がこぼれた。ゾニーのカウントで始まる“Big Beat”はゾニーがバンドのコンダクターであることを再認識する。ケイゾウは「ゾニーゾニー」と名前を叫び、呼応した観客の声に包まれながらゾニーはフロアを熱狂させていく。怒涛のビートはゾニーの真骨頂だ。ドラムソロの余韻に浸ったまま“マッハクラブ”でマーヤはフロアをぐるぐると舞う。ケイゾウはゾニーにビタリと張り付き、低音に低音を重ねながら煽っていく。フロアはとんでもない熱狂の渦に飲み込まれていった。

続く“Sympathy For The XXXXX”のジャングルビートもコールアンドレスポンスも、ゾニーが加入する以前には想像つかなかったキングブラザーズの新しい世界感だ。ケイゾウはその軽快なリズムに、誰よりもノリながらハープを吹く。キングブラザーズは初期衝動を鳴らしながら進化し続けてきた。歴史の長いバンドに見られる「熟練」とは無縁だからこそ最高なのだ。それは“ルル”のタメにタメたドス黒さが、オリジナルアルバムに納められた疾走感と対照的であるのに、初期衝動を煽りに煽られることからもわかる。

カウベルを叩くゾニーの横でマーヤが「ニシノミヤ叫べますか? 西宮の爆弾野郎、ゾニーゾニーゾニー」と連呼すると、観客も次々と名前を叫び、ベアーズはゾニーの名前で溢れた。「まだまだ一緒に西宮を叫んでくれよ!」というマーヤの叫びはフロアに向けられ、ゾニーにも向けられた言葉だったと思う。マーヤはいつまでもニシノミヤとゾニーを叫び続け、ゾニーは嬉しそうな顔を浮かべながら爆音でそれに応えた。

「破壊と再生の場所ベアーズ、最高だぜファックユー! ゾニーロックンロール!」とマーヤが締めると、ケイゾウも残りのパワーを込めて「ゾニー!」と声の限り叫んだ。



12月以降、バンドはサポートDrを迎え、止まることなく進む道を選んだ。ケイゾウとマーヤが転がし続けるキングブラザーズをLIM PRESSは引き続き追いかけようと思う。


<SET LIST>
1.メッセージ
2.ACTION
3.GET AWAY
4.Big Beat
5.マッハクラブ
6.Sympathy For The XXXXX
7.
ルル

【モダンラヴァーズ 10周年記念ライブイベント】
会場:名古屋・今池HUCK FINN
日時:2023年12月1日(金) 開場:19:00 開演:19:30
入場料:予約3,800円 当日4,000円 22歳以下 ¥3,000 ※+1drink共に
出演:KING BROTHERS、ザ・ダービーズ、O.A. 10x the Modern Lovers


【DURAN Tour 『The Venomous Rift in Humanity Tour』】
会場:神戸・太陽と虎
日時:2023年12月6日(水) 開場:18:30 開演:19:00
入場料:予約4,500円 当日5,000円
出演:DURAN、KING BROTHERS


【KING BROTHERS TWO-MAN Series Cafe Blue 30th Anniversary】
会場:大阪・NAMBS Mele
日時:2023年12月15日(金) 開場:19:00 開演:19:30
入場料:予約4,000円 当日4,500円 学割 ¥2500 ※来場時要学生証提示+1drink共に
出演:アニメーションズ、KING BROTHERS

詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。

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Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe