浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS | 京都 磔磔 | 2018.03.24

相拮抗しあう熱量

春の陽気のせいか、はたまた桜が呼び寄せた高揚感か、いや、開場前から会場の中は期待に胸膨らませた客でいっぱいだった。浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS『Sugar Days Tour 2018』ツアー4本目は古都京都、去年築100年を迎えた磔磔である。

磔磔に出演するアーティストは2階の楽屋から階段を降り、客の脇を通ってステージに上がる。例にもれず、この日もメンバーは差し出される沢山のファンとハイタッチしながらステージに向かった。浅井健一(Vo/Gt以下ベンジー)は最前列の客にも近付き、更にハイタッチした。

新譜『Sugar』を中心に、ライブは息つく間もない疾走感に次ぐ疾走感にフロアが大きくうねる。序盤からベンジーが「京都最高!」とフロアの歓声に応えると、ライヴはさらにヒートアップしていく。

グルーヴを根こそぎ動かす中尾憲太郎のベースとクールでキレのいい小林瞳のドラムが、トルネードのようにテンションを上げていく。そこへ、甘く時に刺激的なベンジーのギターとぶつかり合い、より大きな高揚感を産む。耳が贅沢をしている、そんな感想が頭をもたげるほどに、刺激的なバンドのアンサンブル。「懐かしいやつ」とベンジーが前置きして過去曲が差し込まれると、フロアは更に沸き上がった。

緩急つけられた、圧倒的な演奏が終盤に向けて繰り広げられる。ベンジーのリリックに集中し聴き入っていると、次の瞬間爆発的なバンドのエネルギーに狂ったように踊らされ、聴く者の欲望をこれでもかといわんばかりに揺さぶられる。かと思えば「おしゃべりタイム、誰か喋りたい人いる?」とフロアに投げかける和やかな場面も見られた。

浅井健一という個から生み出される数多くの楽曲、ソロワークスを始め、BLANKEY JET CITYやSHERBETS、JUDEにPONTIACS、その全てが彼の突出した美意識で彩られ形作られているのは言わずもがなである。ひとつのバンドをとことん突き詰めていく人生とは対照的に、音楽への多角的な解釈をもって次々と形にしていく生き方。メンバーが変われば予想外の反応を起こすのがロックンロールだ。浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSは決して一刹那の衝動ではなく、まるで希望へ向かっていくように3人が拮抗しあうバンドだ。砂糖がやめられない者を称して”シュガーブルース”と呼ぶが、1回のライブで中毒症状を起こさせるこのバンドの凄みを見た。

「アンコールありがとう!」というベンジーの一声で始まったアンコールも、瞬発力を失わないまま一気に駆け抜けた。「またどっかで会おうぜ、それまで皆元気でね」というベンジーの声に「ありがとう」と口々に声をかけていた観客の笑顔が印象的だった。しかし、それで終わりではなかった。客電が灯され、SEが流されても鳴り止まない拍手の中メンバーが再び現れ、バンドは胸がすくような1曲を置いていったのだった。楽屋に戻る階段の途中で振り返り、笑顔で手を振ったベンジーに、フロアからはその日一番の歓声があがった。

ツアーは北へ南へと続き、大阪、名古屋、そして5/12(土) 新木場STUDIO COASTにて千秋楽を迎える。どこまでもぶっ飛べるロックンロールに是非踊らされてみて欲しい。

 

浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS『Sugar Days Tour 2018』

▼ツアー日程詳細
3/16(金) 千葉LOOK(千葉LOOK
3/21(水/祝) 松阪M’AXA(ジェイルハウス
3/23(金) 岡山IMAGE チケット(夢番地岡山
3/24(土) 京都磔磔 チケット(清水音泉
3/30(金) 金沢vanvanV4 チケット(キョードー北陸チケットセンター
3/31(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE (キョードー北陸チケットセンター
4/6(金) 仙台MA.CA.NA (GIP
4/7(土) 盛岡the five morioka(GIP
4/14(土) 宮崎SR BOX(キョードー西日本
4/15(日) 福岡 DRUM Be-1(キョードー西日本
4/22(日) 札幌cube garden(マウントアライブ
5/4(金/祝) 大阪Shangri-La(清水音泉
5/5 (土/祝) 名古屋CLUB QUATTRO(ジェイルハウス
5/12(土) 新木場STUDIO COAST(SMASH

▼チケット代 ¥5,000(税込み・ドリンク代別)

▼関連リンク
オフィシャルサイト(SEXY STONES RECORDS)
ローソンチケット
チケットぴあ
イープラス

▼関連記事
浅井健一& THE INTERCHANGE KILLS | 記事一覧
SMASHING MAG アーカイブス

Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe