Suchmos | 朝霧JAM 2017 | 2017.10.08

2年ぶりの朝霧で見せた驚きのモンスター・バンドっぷり

テントを撤収した人も傾斜でまったり見ている人も、今年の大トリを待っている。ちょうどツアーをスタートさせたばかりのサチモスは結論から言うと、この朝霧JAM以前のフェスよりもさらにスタジアムが想像できるだけの演奏、アレンジのブラッシュアップを経て、オーディエンスを圧倒した。

とにかく全員の楽器の音がいい。タイキング(TAIKING)のギターはクリーントーンも歪み系も明瞭。スー(HSU)のベースも自由度が増した。本編を「ミント」でスタートし、隙間の多い抜き差しで魅了したかと思えば、ヘヴィロックばりの「バーン」。ソリッドにロックを研ぎ澄ますだけじゃない。「フェイス」や「オールライト」では、このバンドがジャズファンク、フュージョンすらも、ルーツに敬意を払うが如く、レベルミュージックとして機能させてしまう独特なスタンスを感じさせた。

一曲ごとにアドリブを交えたスキャットや、ファルセットのロングトーン、また、スムーズなだけじゃないハードなボーカルも聴かせるヨンス(YONCE)の前のめりかつ独自のエンタテインも際立つ。ヨンスは「2年ぶりの朝霧JAM、まさかのヘッドライナーは恐縮っていうか、うおー!って感じ?」と本音を覗かせたが、正直、フジロックのグリーンステージも容易に予測できる新しいロックのあり方だったのだ。

もはや「ステイ・チューン」だけを待っている、そんなオーディエンスが珍しいほど、彼らの音楽は浸透し、その先に期待が募る地点にあった。

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Text by Yuka Ishizumi
Photo by Masahiro Saito