問いかけ、問い続ける
8月7日、広島クラブクアトロで行われたイベント、“EIGHT SIX live”にeastern youthが出演した。“EIGHT SIX live”は音楽やアートを通じて広島の原爆の日である8月6日を再認識する趣旨のイベントで、毎年恒例となっている。
eastern youthはトリ前で登場。フロアから歓声で迎えられるなか、吉野寿(Gt/Vo)が、
「特別な歌はやりませんけど、いつもどおりの歌を歌わせていただきたいと思います。特別な歌なんか歌いたくねえよ。ロックでひとつにならないでください。この時間だけ、ひとりになってください。お願いします」
と語ると、フロアの喧騒がスッと引く。「ソンゲントジユウ」から始まり、2曲目は吉野が「街の底で会おうぜ」と言って沸いた歓声とともに「街の底」。すぐに「夜明けの歌」へ入る。緊張感をたたえた空気の中、田森篤哉(Dr)と村岡ゆか(Ba)が織りなす盤石のリズムに吉野の爆音のギターが重なる。歌にも気迫が漲っている。
「同調回路」の演奏前に、吉野はこう語る。
「昔はもっと気楽に世の中のこと言えたような気がします。『戦争嫌だ』とかさ、『ミサイル買う金あったら他に使う金あるんじゃねえの』とかさ。気楽に言えた気がしますよ。今はもうダメ。ちょっと言ったら、すぐどっかから石が飛んでくる。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。避けられない。当然こちらだって血まみれですよ。だからおっかなくなっちゃって、黙っちゃう。それでみんな同じ顔になっちゃう。あたりさわりなく」
「ロックで一つになってほしくないわけ。バラバラになってほしいわけさ。だって一人ですからみなさん。一人ひとりですから。そこ一番、大事な話なんじゃねえかなって話」
続く「自由」の前にもMCが入った。
「あれから73年経ちまして、俺たちは自由になった。自由に物が言え、自由にどこでも行ける。自由に何にでもなれる。自由に、自由な自分になれる。俺たちは自由になった。自由になったよ。自由になれたか。自由になれているのか。自由になったのか」
演奏曲数6曲、40分の持ち時間で、吉野は演奏とともに、個への抑圧へ抗う姿勢を示し、真の自由とは何かと問いかけてみせた。この日は最後の「夏の日の午後」まで、吉野の言葉を受け止めるように、じっと立ち尽くして聴いている観客が多かった。演奏後、吉野の「ありがとう、また会う日まで、さよなら!」の別れの言葉とともに、盛大な拍手がフロアを満たした。
<SET LIST>
01.ソンゲントジユウ
02.街の底
03.夜明けの歌
04.同調回路
05.自由
06.夏の日の午後
【eastern youth 極東最前線/巡業 ~石の上にも三十年~】
9/23(日)千葉 LOOK
9/29(土)京都・磔磔
9/30(日)金沢 GOLD CREEK
10/6(土)札幌 cube garden
10/27(土)仙台 CLUB JUNK BOX
10/28(日)盛岡 the five morioka
11/3(土)新潟 CLUB RIVERST
11/4(日)長野 LIVE HOUSE J
11/10(土)福岡 DRUM Be-1
11/23(金・祝)広島 4.14
11/24(土)岡山 ペパーランド
12/1(土)大阪・梅田CLUB QUATTRO
12/2(日)名古屋 CLUB QUATTRO
12/8(土)渋谷 TSUTAYA O-EAST