eastern youth | 東京 LIQUIDROOM | 2018.08.21

鋭い切れ味、絶え間なく

東京・恵比寿にあるライブハウス、LIQUIDROOMの14周年を記念する企画で、11年ぶりに共演したeastern youthと怒髪天。平日にもかかわらずほどよく埋まったフロアには、bloodthrsty butchersの『kocorono』が「2月」から順に流れていた。11年前、2007年11月の両バンドの共演の際、彼らとともにもうひとつ同じステージを踏んでいたバンドは、bloodthrsty butchersだった。

「10月」が始まった20時。フロアが暗転し、Pharoah Sandersの”Love Is Everywhere”が流れ、eastern youthのメンバーがステージに登場した。吉野寿(Gt/Vo)のギターが強弱をつけて鳴らされ、厳かな空気から「ソンゲントジユウ」が始まり、歓声が返ってくる。曲間の静寂と爆音の演奏の、くっきりとしたコントラスト。「夜明けの歌」で吉野がイントロでエフェクターを踏むときのマイクを通さない気迫満点の掛け声や、「街の底からやってまいりました。我々イースタンユースです」という毅然としたMCから「街の底」に入る様子もとても映えていた。

静かなフロアに向かって「本気で観ろ!」と声を上げるフロアの男性客を、吉野は「残念ながら何言ってんだか、半分くらいわからない」といなしながら、「いい時も悪い時もいっぱいありましたよ。なんだかわからないけど、相変わらず、あの頃とずっと一緒。こんな感じでね、やっておりますけど。一個だけ、共通して変わらないことがあって。ずーっと、いつまでたっても、危機一髪!」と語って「男子畢生危機一髪」から後半へ。「青すぎる空」「矯正視力〇・六」が続き、さらにグッと引き込んでいく。

最後に吉野は「よかったですよ、一体感ない感じで」とフロアに声をかける。「こうなったら、死ぬまでロックで一つにならない運動を続ける」と宣言して観客が沸くなか、「夏の日の午後」で締めた。最後まで緊張感の途切れない、切れ味の鋭い演奏に、惜しみない拍手が送られた。

一方、怒髪天は登場時のSEの三三七拍子から、フロアの一体感は最高潮。増子直純(Vo)は吉野のMCを受けて「ロックでひとつになろうぜ! ひとつじゃなくて、ふたつくらいになろうかな?」と語り、観客は大爆笑。札幌のパンク・シーン出身で30年を超えるキャリアを持つ両者の、現在のパフォーマンスや人物像の好対照ぶりを印象付ける顔合わせは、見応え充分だった。

<SET LIST>
01.ソンゲントジユウ
02.明けない夜はないのだ
03.夜明けの歌
04.街の底
05.男子畢生危機一髪
06.青すぎる空
07.矯正視力〇・六
08.夏の日の午後

Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa