シカゴシーンの聡明でチャーミングなラッパーがその場を一つに
同郷のシカゴシーンが活況を呈する中、いまだチャンス・ザ・ラッパーを日本で未見のまま、新世代のラッパー、リリシストであるノーネームの出演はヒップホップ、ラップミュージックファン垂涎の出来事だ。
ギター、ドラム、キーボード(この人はシンセやシンベの音も出していた模様)からなるバンドの演奏に乗せて、アルトボイスかつ平熱感のラップを繰り出すノーネームはまさに現代詩を詠うよう。オーガニックなジャズファンク調から、新世代ジャズ的な変則的なビートも含み、クリーントーンのギターやエレピが温かい。彼女は今ここでシェアできることを楽しむ姿勢で、オーディエンスにクラップなどの参加を促し、お互いのリアクションで笑顔が広がっていく、そんな知的でニュートラルな緩やかなワークショップのようなライブなのだ。
誰も疎外されないのだ。そのつもりがなければ。それはひとえにノーネームのフロウがピースフルだからだろう。因みにラフないでたちを良く見ると、朝霧のTシャツ。どこまでもナチュラルな人だった。
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