The Vaccines | 東京 DUO MUSIC EXCHANGE | 2018.11.21

熟成された小気味よさ

香港のフェス、Clockenflapでザ・ヴァクシーンズを観て10日後、東京で再びヴァクシーンズを観る。バンドはその間に北京でライヴをおこない、タイのフェスにでて、日本というルートであった。

始まる前にブルース・スプリングスティーン、ビージーズ、バズコックス、エルヴィス・コステロ、トム・ペティなどがかかり、20時05分ころ、場内が暗くなり、まずはバッハの「トッカータとフーガ」が流れ、続いてABBAの”Dancing Queen”が流れてメンバーが登場した。

曲を叩きつけるように、ギターをかき鳴らし短い曲を立て続けに演奏する。1950年代のエルヴィス・プレスリーからパンク、グランジ、ガレージを経て2018年までの「ロック」のシンプルな面を味わい尽くすようなライヴだった。

もちろん、キャッチーなメロディ、グイグイ迫るジャスティン・ヤングのヴォーカル、タイトな演奏があってのものである。小気味よいライヴとは? と聞かれたら、このライヴだといいたくなる。

新しいアルバム『Combat Sports』から”Nightclub”でライヴがスタートした。ギター唸りを上げる。そして勢いよく”Wreckin’ Bar (Ra Ra Ra)”へ。早くも定番曲でステージ前は盛り上がりをみせる。選曲は『Combat Sports』と1stアルバム『What Did You Expect from The Vaccines?』の曲が大半を占める。お客さんの求めるものをきちんと押さえていた。

アコースティックギターの響きあり軽快なポップソングである”Take It Easy”、ベンチャーズを思わせるようなイントロの”I Always Knew”など、曲のもバラエティもある。後半の”If You Wanna”に向けて着実に積み上げて気分を高揚させる。”I Can’t Quit”などは早くも定番曲の風格があるし、本編ラストの”Family Friend”は曲の後半にノイズを放出してシューゲイザーやグランジを思わせるものだった。

アンコールは3曲。新しいアルバムのトップを飾っていた曲、”Put It on a T‐Shirt”、これは完全な新曲になるのかな? “Let’s Jump Off the Top”。タイトル通り、フロアにジャンプを促すような曲になっている。そして定番曲の”All in White”。香港のフェスで観たときより3曲多い20曲、約1時間10分のライヴだった。バンドが充実している姿をみせてくれた。この勢いでフジロックにでてほしいと願う。

<setlist>

Nightclub
Wreckin’ Bar (Ra Ra Ra)
Teenage Icon
Dream Lover
Wetsuit
Out on the Street
Your Love Is My Favourite Band
Post Break-Up Sex
Norgaard
All My Friends Are Falling In Love
Take It Easy
Handsome
No Hope
I Always Knew
If You Wanna
I Can’t Quit
Family Friend

En.

Put It on a T‐Shirt
Let’s Jump Off the Top
All in White

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by Keiko Hirakawa