THE STRYPES | Shibuya O-EAST | 2017.11.13

更新していくバンド

まずは19時ちょうどくらいにオープニング・アクトのDYGL(デイグロー)が登場する。自分がこのバンドを観るのはこの前のフジロック以来だった。曲を聴いていると、雨の中非常に混んでいるレッドマーキーで観たときの空気を思いだす。「Let it Out(レット・イット・アウト)」からライヴが始まる。

約4カ月前と比べて、演奏がシャープになった感じがする。新曲を披露し、イギリスでライヴをやることを告げる。約30分駆け抜けてストライプスのお客さんたちにもアピールして終えた。疾走感のある「Come together(カム・トゥゲザー)」をやらないで、お客さんを惹きつけたのも興味深い。初見の人たちには一番効果的な曲だと思うけど、それをやらない挑戦的なステージだった。

セットチェンジがあり、20時ちょうどにザ・フーの「Ox」を流してストライプスが登場する。まず、以前とはかなりルックスが変わっていた。まずヴォーカルのロス・ファレリーは白いつなぎを着て黄色と黒のストライプ柄のギターを持つ。黄色と黒のカラーリングだと、工事現場、阪神タイガース、アメリカのクリスチャン・メタルのバンドでストライパーなんていうもの連想させる。サングラスは相変わらずだけど。

リード・ギターのジョシュ・マクローリーは髭を生やしグッと大人……というかおっさんに近づいた。まだ若いのに。ベースのピート・オハンロンは髪型がさっぱりしていた。アグレッシブにステージ上を動き回りロスと振り付けを一緒にしたりする。ドラムのエヴァン・ウォルシュはリーゼントになり、非常に手数の増えたプレイをみせてくれた。

デビューが16歳でそこから5年くらい経っているので変化は当然。10代後半で成長しないほうがおかしい。ライヴは新しいアルバム『Spitting Image(スピッティング・イメージ)』から「Behind Closed Doors(ビハインド・クローズド・ドアーズ)」で始まる。最初から湧き上がるお客さんたち。その勢いそのままに「Easy Riding(イージー・ライディング)」と立て続けに披露する。新しいアルバムが中心の選曲も、要所要所で今までの曲も、現在のストライプスとして演奏するので、印象は新鮮だ。先にも触れたけど、エヴァンのドラムが豪快になり、増えた手数のおかげで躍動感があって、やはりライヴこそストライプスのよさが生きていると実感するのである。

そして、若いのにライヴの現場で鍛えられているなぁと思うのは、ステージの見せ方がどんどん進歩していることで、ロスとピートがじゃれ合いながらみせるコミカルなアクションをしたり、マネキン・チャレンジのようにバンド全体で動きを止めてお客さんたちの眼を引き付けたり、わざと音を小さくしたりと強弱、緩急をつけるのが上手くなっている。またフロアのお客さんを座らせ、演奏を激しくしたところでジャンプさせる演出などをおこないうなど、この辺は天性のライヴバンドだと感じた。

ブルースな「Angel Eyes(エンジェル・アイズ)」の終盤にジョシュがピンク・フロイドの「In the Flesh?(イン・ザ・フレッシュ?)」のようなフレーズを忍び込ませてニヤリとさせられる。ライヴ後に友人と話をしていてストロークスの引用をやったんじゃないかという指摘もあり、彼らの巨大なアーカイヴをみせてくれる思いだ。疾走感のある「Mystery Man(ミステリー・マン)」などから勢いづいた終盤はお馴染みの曲の連打で、大合唱の声でお客さんの女の人の比率が高いことを知らされた「Scumbag City(スカムバッグ・シティー)」で本編を締めくくる。

アンコールは、先日亡くなったトム・ペティ追悼で「Anything That’s Rock ‘n’ Roll(エニシング・ザッツ・ロックロール)」。引き出しの多さを感じさせる。次いでお馴染みのニック・ロウのカヴァーで「Heart of the City(ハート・オブ・ザ・シティ)」。一旦ステージを去り、もう一度アンコールに応えてみんなが待っていた「Blue Collar Jane(ブルー・カラー・ジェーン)」でライヴを盛り上げて終わったのだった。

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Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by  LIM Press