KING BROTHERS | 兵庫 西宮フレンテホール | 2018.12.01

20周年の華、西宮の地に咲く

2014年1月11日西宮フレンテホール。眩い光に包まれた3人のキングブラザーズが目の前に現れた日から5年、バンドは20周年の締めくくりとして再びその地に立った。ベーシストを入れた4人体制の7年間を経て、ベースレス3ピースというバンド初期の体制に回帰した記念すべき場だ。

“BIG BOSS”で火蓋を切ったライブは、ケイゾウ(Vo/G)が西宮ロックシティと叫ぶごとに、フロアもメンバー自身も気迫が上昇していくのが見てとれた。マーヤ(G/スクリーム)も足を踏み鳴らしながらブレイクに「ニシノミヤ!」と差し込んでいく。”★★★”のゾニー(Dr)は軽々と重たいビートを打つ。

1998年、アメリカのバルブレコードからファーストアルバムを出した後、国内で発売された初めてのアルバム「★★★★★★★(通称:星盤)」の頭に収められた2曲からライブは始まった。「みんな新しいアルバム買ってくれましたよね?」とケイゾウがフロアに投げかけると、そこからは西宮で録音され今年8年ぶりに発売された「wasteland」の再現ライブへと突入する。ケイゾウに呼び込まれたオルガンプレーヤーの岩井ロングセラーが、アルバムタイトル曲を彩っていく。ケイゾウのハープとオルガンがシンクロし、一体感をより感じさせるアレンジだ。”No,Want”は疾走するマーヤのギターが炸裂するところに鍵盤が乾いた音で色を添える。続く”Bang! Blues”は「行くぜ、行くぜ!」と煽るケイゾウの声をゾニーのドラムがかき消した。ビートに体ごとダイブしているかのような爆発力を持つ楽曲に、フロアは沸点さながらの盛り上がりを見せた。

転じてミドルテンポの”踊る屍”はケイゾウの歌が突出していた。フロアに降りて、拳をあげ、体を折りたたみ叫んではハープを吹く。言葉を塊にして吐露する姿から、歌詞に込められた彼自身がヒリヒリと伝わり、突き刺さる。”最果ての場所”はタイトルのイメージどおり、焦燥感に支配されるメロディに少しくぐもったケイゾウの声が情景を色濃く伝えて行く。ギターのストラップが取れるハプニングもあったが、ギターを抱えながら演奏に徹するマーヤの情感溢れるギターに一筋の光を見るようだった。

“No Thanks”の後、再びステージに岩井ロングセラーが登場し、ジョン・ロードよろしくディープ・パープル”Burn”のフレーズをかき鳴らすと、ゾニーとのセッションタイムが始まり、スペシャルな時間にフロアは酔いしれた。転じて畳かけるように速度をあげて”Kick Ass Rock”、ケイゾウの鬼気迫る”Break  On Through”から”No,No,No”のポジティブさへと、起伏に富んだ歌唱に揺さぶられていく。そしてアルバムの最後を飾るのは”The Machine”だ。一気にエネルギーが解放されるゾニーのビートが、まるで荒野をひた走る爽快感を感じさせた。

アルバム全11曲を再現し、ケイゾウがマーヤとゾニーをいつものようにベタ褒めのメンバー紹介をした後「俺を紹介して」とマーヤに振るとマーヤは一呼吸置き「西宮初の大統領!いや日本発の大統領!世界の大統領、松尾ケイゾウ!」と叫んだ。大声援を受けて満面の笑みを浮かべる3人のキングブラザーズ。そこに、20周年のクライマックスを見た。

仮面を被ったもう一人のサポートギタリスト(14代西宮市長、彼もアルバムのゲストプレーヤーだ)が加わりマーヤのスクリームで始まった”マッハクラブ”、続く”魂を売り飛ばせ!”と、加速しながら終盤に向かって音と音がぶつかり合っていく。何度壁にぶち当たって留まってもバンドを動かしてきたケイゾウとマーヤが数え切れないほど演奏してきたこの曲たちを、20年経ても尚爆発的な上昇気流を生むことに毎度ながら震えさせられる。マーヤがヴォーカルをとる”GET AWAY”でフロアは昇天する。”ルル”でフロア全員「ニ・シ・ノ・ミ・ヤ!」を西宮の地で叫ぶ多幸感。限界を幾度も越え、西宮の地から世界へロックンロールで殴り込みをかけてきた。過去を超える為の今、通過点である今日という日、その繰り返しが彼らの20年を積み上げてきたのだ。何年やっても何も変わらずキングブラザーズとして進化し続ける音を、彼らはこれからも聞かせてくれることだろう。

<SET LIST>
1.BIG BOSS
2.★★★
3.wastland
4.No Want
5.Bang! Blues
6.踊る屍
7.最果ての場所
8.No Thanks
9.Kick Ass Rock
10.Break On Through
11.No! No! No!
12.The Machine
13.Sympathy For The XXXXX
14.マッハクラブ
15.魂を売り飛ばせ!
16.GET AWAY
17.ルル

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Text by TOMOKO OKABE
Photo by TOMOKO OKABE