KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD | FUJI ROCK FESTIVAL | 2019.07.26

日本での1回戦はメタルで直球勝負!

今回の出演陣の中でも、個人的に最も楽しみにしていたバンドのひとつが、オーストラリアはメルボルンのロックバンドのKing Gizzard & The Lizard Wizardだ。2010年の結成から既に14枚もアルバムをリリースしていて、その上どれも一定以上のクオリティーを確保しているのだから頭が下がる。

会場のホワイトステージ一帯は、ジプシー・アヴァロンへと至るステージに向かって左側の導線スペース以外はほぼ埋まっていて、バンドに対する注目度の高さがうかがえるというもの。

のっけから”Self Immorate”にはじまり、”Mars for the Rich”に”Organ Farmer”とスレイヤーばりのスラッシュ・メタルチューンを立て続けに連射し、問答無用に拳突き上げとヘッドバンギンを強いる導入。ぎゅうぎゅうのステージ前方は一瞬で沸点に達する。頭をブンブン振り回して圧倒的なパフォーマンスを繰り広げる、バンドの中心人物のストゥー・マッケンジーのTシャツはメタリカなのだからこの入りに頷ける。

“Robot Stop”以降の中盤からはとぐろを巻くようなズブズブなサイケデリアが繰り広げられた。終始バックに流れる鮮明に彩られた酩酊感にまみれた映像がよく映える。演奏のテンポに合わせて雨が打つスピードもどんどん上がっていくようで、破れかぶれなステージ前方のオーディエンスはクラウドサーフにモッシュと楽しみまくっていた。

本ステージのハイライトは導入部3曲と完結部2曲のメタルの饗宴だ。完結部の”Venusian”も”Planet B”もツードラムがビシバシと8ビートを叩き出し、総勢7名が渾身のものすごい熱を放出しまくってステージを後にした。今回はフェス仕様の勢いで押す、とてもメタリックなセットだった。日本での初披露はこれでよし。しかし、彼らの守備範囲はこんなもんじゃない。ジャズにブギー、ローレルキャニオン風のソフトロックなどなど…。違った質感のステージも堪能したいと思ったのは私だけではないだろう。またぜひ戻ってきてほしい。

Text by Takafumi Miura
Photo by Ryota Mori