新たなソウルクイーンとの邂逅
カンザス州、カンザスシティ出身の次世代ソウル・クイーン、ジャネール・モネイ。これまでリリースしてきた3枚のアルバムと1枚のEPは数々の音楽メディアの高評価を獲得し。シンガーソングライターとしてはグラミー賞ノミネート、女優としては出演する作品がアカデミー賞受賞を果たしたりもした。そんな彼女が初来日を果たすと決まったときは昨年のケンドリック・ラマー出演決定の報と同じくらい胸が高ぶった。
彼女の作品の世界観は独特だ。「ジャネールのDNAから生まれクローン”シンディ・メイウェザー(コードナンバー57821)”が表現する世界」それがジャネール・モネイの世界の基本軸になっている。しかし新作『Dirty Computer』では、その軸からいったん離れ、ジャネール自身が今発信したいことがベースになりアルバムができていて、よりダイレクトに聴き手に伝わる作品になっている。
今回のセットリストはそんな最新作中心としたセットリストになっていて、その圧倒的な存在感とパフォーマンスに多くの人たちを魅了した。プリンスやマイケル・ジャクソン、アニタ・ベイカーに影響を受けたそのスタイルは、インスパイアだけに留まらず彼女にしかできないスタイルへと圧倒的進化を遂げている。ラストのアウトキャストのビッグ・ボーイと共作した“Tightrope”で生まれた最高のクライマックスがそのことの証明だ。