これぞ生粋のロックンローラー
フジロック2日目のホワイトステージ。アンノウン・モータル・オーケストラの次に登場したのは、2016年以来、約3年ぶりに苗場に帰還するオーストラリアはメルボルンのシンガーソングライターのコートニー・バーネットだ。
本ステージを観てまず驚いたのは、3年前に十八番だったグランジ色を濃く感じたのは中盤にやった”I’m Not Your Mother, I’m Not Your Bitch”のみだったということ。”Small Talk”や、ギターのアレンジはもはや音源の原形をとどめていなかった”Depreston”や”Elevator Operator”などはブルーズに裏打ちされた黒い音で鳴り響き、コートニーがパティ・スミスを想起させる白のタンクトップに黒ジーンズという出で立ちで、生粋のロックンローラーへと変貌していたのだ。今年の4月にリリースされた最新作である”Everybody Here Hates You”もいなたいフレーズが満載で、フックにはザ・トロッグスの名曲”Wild Thing”のような分かりやすさがある。コートニーがステージ前方で雨に打たれながら、唾を吐き荒々しくソロをかき鳴らすカッコよさは往年のロックスターそのものだった。
本セット中、何度もベースとドラムのメンバーを紹介していたのだが、その様を見て、コートニー個の表現だったところから一旦離れ、ロックバンドとしての表現の可能性を模索しはじめたようにも感じられたステージだった。今後の彼女の一手が楽しみでならない。