PHONY PPL | FUJI ROCK FESTIVAL | 2019.07.28

固定観念を飛び越える次世代ネオ・ソウル

ネオ・ソウルバンド部門を代表するLA発のジ・インターネット。彼らが「西(海岸)」を代表する存在ならば、「東(海岸)」を代表するのはNY発Phony PPL(フォニー・ピープル)である。90年代以降、従来のソウル・ミュージックにジャズやヒップホップ、ファンクなどがミックスされることに生まれたのが、ディアンジェロやローリン・ヒルなどに代表される“ネオソウル”と呼ばれるジャンルで、彼らはその10世代に位置する最先端のネオソウル・バンドと言っても過言ではない。

その要因となっているのは、この日のステージでも明らかだった「圧倒的なソウル・シンガー力」「高い演奏テクニック」そして「その予想の斜めをいくパフォーマンス」。開演前、おもむろに自転車でステージを横切ってみたり、陽気なテンションでステージを縦横無尽にかけ回るパフォーマンスが成立するのも、彼らのベースにあるネオ・ソウルの楽曲の良さにあることは日を見るより明らかな事実だ。ラスト2曲、メロウな“Why iii Love the Moon.”から“Before You Get a Boyfriend.”への流れ・コントラストは、彼らのバンドとしてのアイデンティを表していたように思えた。

Text by Shuhei Wakabayashi
Photo by Ryota Mori