KING BROTHERS | 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO | 2019.8.12

勇猛であれ

毎年恒例となった、キングブラザーズ、ザ50回転ズ、ザ・ニートビーツが繰り広げるイベント『ROCK’N’ROLL EXPRESS! 2019』。今年は8月12日梅田クラブクアトロのみの開催とあって、階段状になった後方までフロアはぎっしりと客が埋まっていた。開場と共に始まるザ・ニートビーツによるDJで、いつものように開演前から観客は楽しんでいた。

トップバッターはキングブラザーズだ。異様な期待感に満ちた会場に「ここにはロックンロール好きなやつばっかりですよね? 今日はメチャクチャになろう!」というケイゾウ(Vo/G)のMCが突き刺さる。バンド史において最も演奏されれた曲ではなかろうか、”マッハクラブ”でケイゾウはバンド初期から何ひとつブレない真っ直ぐな想いを吐露する。マーヤ(G/スクリーム)は、前に集まれ、サイドも後ろもいらないと叫びつつ客を集め、躊躇なくそのド真ん中に飛び込み、ギター掴んでかき鳴らした。

“スパイボーイズ”の爆発的な推進力に、観客は拳を振り上げ盛り上がる。何もかも取っ払おう、ケイゾウは”Break On Through”の前に言い放った。毎回限界を越えながらゾニー(Dr)の轟音は止まることを知らず、ギターチューニングの間にもビートを繰り出していく。”King of Booggie”でケイゾウとマーヤのギターが交差しながらグルーヴィーにうねる中、気迫をねじ込んでいくゾニーの打音に圧倒された。

“GET AWAY”でマーヤは、先日ROCK IN JAPAN FESTIVAL  2019のステージで全てのボタンを引きちぎったシャツを全開に、鬼気迫る形相でフロアを煽っていた。観客が、まるでTVや動画を見ているかのように立ち尽くしているという、アイドル混在のロックフェス。この日のクアトロはその真逆を見せていた。”ルル”でフロアに機材を降ろしたフロアライブでも観客は、目の前で汗を滝のように流しながら、がむしゃらに演奏するバンドに果敢に食らいついていた。信念を曲げることなくロックンロール道を邁進してきた刹那の連続は、時に痛みと美しさを見せながらも、観るものの胸を掴んで離さないからだ。

キングブラザーズは来月9月26日〜29日にアメリカ・メンフィスで開催される『Gonerfest 16』への出演が決定している。The Mummies やThe Obliviansと並び、日本の、いや西宮のガレージロックを見せつけてくれるに違いない。

 

▼公演情報
公演日:2019年8月22日(木) 京都・MUSE
出演:キングブラザーズ / SIX LOUNGE(OPあり)
開場&開演 : open19:00 / start19:30
料金:adv¥3,000 / door¥3,500(1Dr別)

公演日:2019年9月7日(土) 大阪・NAMBA Mele
出演 : キングブラザーズ / オールディックフォギー
開場&開演 : open 18:00 / start 19:00
料金:adv¥3500 / door¥4000(共に1d別)

公演日:2019年9月17日(火) 大阪・Live House Anima
出演 : SPARTA LOCALS / キングブラザーズ
開場&開演 : open 18:30 / start 19:00
料金:¥4000(1Dr別)

公演日:9月20日(金) 山口・萩 玉ネギ畑(山口県萩市大字今魚店町106-2)
出演 : キングブラザーズ / ニートビーツ(OPあり)
開場&開演 : open 18:30 / start 19:00
料金:KING BROTHERS WEB最速先行¥3,500 /一般前売 & 前売予約¥4,000 / 当日¥4,500(全て1Dr別)

公演日:9月21日(土) 島根県立古墳の丘古曽志公園『シマネジェットフェス ヤマタノオロチライジング
開場&開演 : 09:00-17::00

 

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Text by Tomoko Okabebe
Photo by Tomoko Okabe