KING BROTHERS | しょんべんフェス in 十三 246GABU | 2019.09.15

30分の鮮烈

去年に引き続き、Donut Recordsによる音楽フェス『しょんべ んフェス』が大阪・十三で開催された。メイン会場である十三 246GABUのトップバッターとしてキングブラザーズは出演した。

赤ふんどし一丁のよさこいマンによるカオスな開幕宣言の後、時間は正午ぴったり、真っ赤なライティングの中に3人が登場すると、ざわついていた会場の空気が一変した。ケイゾウが「行きましょう、キングブラザーズ」と噛み付くように叫ぶと”スパイボーイズ” でライブは始まった。ふわりとした身のこなしでステージ前に踊り出たマーヤは、ダイブ禁止の張り紙を尻目に、躊躇なく集まった客に飛び込み、マイクを咥えながら吠えまくった。ゾニーのシャツは見る見る汗だくになり、そのビートをノンストップで繰り出していた。

“魂を売り飛ばせ”の中盤でケイゾウがゾニーの手を止め、フロアを指さすと、マーヤのリフが鳴り止まない中、ドラムセットとマイクが客のど真ん中に降ろされる。ゾニーのカウントで再びバンドが動き出すと、ステージからの眩い光が3人のシルエットをあぶり出した。”XXXXX”で怒鳴り声にも似たケイゾウの歌は鬼気迫り、マーヤは目の前の客を挑発する。”Kill Your Idor”で「お前のアイドルをズタズタにしてやるよ」と歌えば、取り囲む観客も呼応するように叫んだ。ゾニーのドラムが連打されると、ぐっとそのバンドの中心に神経を集中させるような視線を幾つも見た。

マーヤのストッパーは”マッハクラブ”で外され、ケイゾウの声にスクリームを重ねていく。「お昼とか関係ない、受け渡せ!」と叫びながら客に飛び込むと、マーヤはゾニーとケイゾウの頭上を運ばれていった。終盤に向けて爆音がトルネードのように盛り上がっていく。そんなバンドの演奏に圧倒されながら一歩下がってしまう者、クラウドサーフするマーヤを担ぎ上げるため、バンドの中心に突っ込む者。そのどれもがキングブラザーズを生で、目の前で感じるからこそ得られる体験だ。SNSでエゴサーチして得られる情報の薄っぺらさを、彼らはライブで見せつけた。

「あと何分ですか?あと4分、あと4分行けますか? ロックンロールを受け渡せ!」と客に担がれたまま指示をすると、ライブを作り上げる一員として観客は、拳をあげ、マーヤを持ち上げ、言葉にならない声をあげていた。今日1日分の体力を根こそぎ奪われたような、それでいて満面の笑みを浮かべる観客の顔が印象的な30分だった。

 

公演日:2019年9月17日(火) 大阪・Live House Anima
出演 : SPARTA LOCALS / キングブラザーズ
開場&開演 : open 18:30 / start 19:00
料金:¥4000(1Dr別)

公演日:9月20日(金) 山口・萩 玉ネギ畑(山口県萩市大字今魚店町106-2)
出演 : キングブラザーズ / ニートビーツ(OPあり)
開場&開演 : open 18:30 / start 19:00
料金:KING BROTHERS WEB最速先行¥3,500 /一般前売 & 前売予約¥4,000 / 当日¥4,500(全て1Dr別)

公演日:9月21日(土) 島根県立古墳の丘古曽志公園『シマネジェットフェス ヤマタノオロチライジング
開場&開演 : 09:00-17:00

 

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Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe