eastern youth | 東京 日比谷野外音楽堂 | 2019.09.28

街の底からかき集め

イースタンユースの日比谷野外音楽堂でおこなわれたライヴは満員だった。年齢層は40歳前後が中心だろうか。男が多い。「かき集めるといるもんですね」とギター&ヴォーカルの吉野がいったように、それぞれの場ではひとりかもしれない人たちが野音を埋め尽くす光景は壮観だった。しかし、吉野はきっぱりいう「集団的熱狂は求めてませんから」。

日比谷野外音楽堂は、雨も降らず気温も半袖で過ごしても問題なくちょうどよかった。まだ夏といってもいい気候だけど、轟音が止むと秋の虫の声がする。物販には長蛇の列、酒やお菓子などを売る店にも列があった。

イースタンユースは、東京都内や郊外の商店街を歩いていて「あ、夕方だ」とふと空を見上げたときに鳴るにふさわしい。曲のタイトル、歌詞、ジャケットやPVのヴィジュアルイメージなどに夕暮れが頻出するので、夕暮れから始まる野外ライヴは、あまりにシチュエーションがハマっていて気持ちが上がってくる。

始まる前は古いR&Bが流れている。17時30分に天井桟敷レーベルから1972年に発売されたオムニバスアルバム『薔薇門』から「性解放宣言」が流れる。強烈なオルガンの音色をフィーチャーしたロックに、従来の性道徳を糾弾するアジテーションが乗るというなんとも奇妙な曲が流れてメンバーが現れる。ギターの吉野、いつものようにトートバッグを持って登場するベースの村岡、ドラムの田森と気負いもなく、どこで演奏しても同じだよという雰囲気を漂わす。

それから2時間半、初期『EASTERN YOUTH』から最新作『SONGentoJIYU』まで満遍なくベストな選曲といっていいセットリストで演奏されていく。日比谷野音を囲むビルの窓ガラスまで震えているのではないかと思えるほどの轟音が響く。ギターが引っ張るだけでなく、地から湧き上がるようなドラムやベースの迫力が三位一体となって、野音のポテンシャルを十分に発揮した音響を作る。

ライヴは「ソンゲントジユウ」で始まった。続いて「夏の日の午後」「砂塵の彼方へ」と鉄板の曲を演奏して序盤のピークを作る。イースタンユースのライヴでピークといったとき、他のお客さんたちの盛り上がりとは関係なく自分の気持ちがどう動いたかなので、その場にいた(会場の外で音漏れを聴いている人も)人、ひとりひとりがそれぞれのピークを作ったことだろう。

「雨曝しなら濡れるがいいさ」と「サンセットマン」は野音がどっちの天気になっても心に沁みる絶妙な選曲である。

「何回だってやり直す」と歌う「矯正視力0.6」のやさしさとその裏にある寂しさ悲しさがゆったりした演奏の中に交差する。

この日、日比谷公園でおこなわれた日韓交流イベントに「どこの国の人だって一緒だよ。酔っ払ってフラフラ帰るのは一緒。切ねえのも一緒。泣きてえのも一緒。話しましょうよ、ふるさとはこの街ですよ。この街がふるさとですよ」と吉野がコメントしてから「街はふるさと」。生まれたところから離れ東京に住む。東京は嫌なことも嫌なやつも多いけど、一方で寄る辺ない人たちが生きていける余地がある。そうした人たちにとっては、その街自体がふるさとなのだ。この街に生きる人は一緒なのだ。

森田童子のカヴァー「たとえばぼくが死んだら」「荒野に針路を取れ」「夜明けの歌」「街の底」と続けて本編が終わる。最後までテンションを切らさずにやり抜いた。

アンコールの声がかかり「歌は夜空に消えてゆく」。すっかり暗くなった日比谷の空に向かって歌う。ルイ・アームストロングの“What a Wonderful World”が流れて、これで終わりかと思いきや、続くアンコールの声に応えて「DONQUIJOTE」を最後の最後に演奏する。そして坂本九の「上を向いて歩こう」が流れて、3人はステージを後にして、野音に来た人たちはそれぞれの場所に帰っていった。

<SET LIST>
01.ソンゲントジユウ
02.夏の日の午後
03.砂塵の彼方へ
04.故郷
05.扉
06.いずこへ
07.雨曝しなら濡れるがいいさ
08.サンセットマン
09.踵鳴る
10.スローモーション
11.月影
12.青すぎる空
13.道端
14.裸足で行かざるを得ない
15.矯正視力〇・六
16.ナニクソ節
17.街はふるさと
18.時計台の鐘
19.たとえばぼくが死んだら
20.荒野に針路を取れ
21.夜明けの歌
22.街の底

E1.歌は夜空に消えてゆく

E2.DON QUIJOTE

<極東最前線 〜にゅーでいらいじんぐ2019〜 >

2019年 12月8日(日) 渋谷クラブクアトロ
GUEST: NITRODAY
開場 17:00 / 開演 18:00
前売:¥4,000円(前売/ドリンク代別)
詳細:https://smash-jpn.com/live/?id=3261

オフィシャル先行予約 ※WEB抽選制
受付期間: 10/3(木)11:00〜10/6(日)23:59
https://w.pia.jp/t/easternyouth-fareast/

一般発売:10/19(土)
チケットぴあ(P:163-986)/ ローソンチケット(L:73487)/
e+(Pre:10/12-14・QUATTRO Web:10/12-14)/ 岩盤(ganban.net)/ 会場

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Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by Keiko Hirakawa