渋さ知らズオーケストラ | 天幕渋さ大芸術祭 | 2019.10.06

30周年を福岡で祝った幸せな夜

9年前、福岡県と大分県の県境近くのうきは市で行われた渋さ知らズオーケストラのライブレポート(スマッシングマグ アーカイブス)にも書いたが、この大所帯、九州でのライブは簡単なものではないことは容易に想像がつく。しかし、だ。なんと先月もうきは市でライブを行っており、2ヶ月連続の福岡県でのライブとなった。しかも今回のライブ前日には、少数編成ながら福岡市で前夜祭的宣伝ライブも敢行し、結成30周年の節目にして福岡で”渋さ・フィーバー”が起こっているのだ。

今回の会場は、福岡市の中心・天神からほど近い大濠公園のすぐ脇にある舞鶴公園。普段は何もない野原に突如あらわれた天幕小屋に期待感が膨らむ。

開場した時には高かった日が傾きだした頃、この祝祭の主役たちが舞台に上がった。

元々は芝居の劇中伴奏音楽が成り立ちのバンドらしく、本編は演劇からスタート。福岡のご当地ネタをふんだんに盛り込んだ芝居で会場を笑いに包みつつ、徐々に会場の熱を高めていく。そして、役者たちの「渋さ知らズオーケストラ!」の声を合図に、一気に大音量を解放!ふと気づくと、傍に全身白塗りが佇み、夜空には銀色の龍が舞う。まるで、天幕小屋ごとどこか異空間に吹っ飛ばされてしまったかのような感覚に陥る。

そう、この感覚が味わいたくて、みんなこの場所に集ったんだ。そう思える、とっても幸せな夜だった。

Text by Toru Suguta
Photo by Toru Suguta