KING BROTHERS | ライブハウス ジャッジメント in 神戸 at 兵庫 神戸VARIT. | 2020.06.21

ここから始める新たな決意

6月21日(日) CHICKEN GEORGE、VARIT、太陽と虎、ART HOUSEの4つのライブハウスによるイベント『ライブハウス ジャッジメント in 神戸』が開催された。4つの会場で前もって無観客で収録されたライブを、フェス形式のタイムテーブルで配信したサーキットフェスだ。

そんな中全てのライブ配信後、生配信で殴り込みをかけたバンドがいた。キングブラザーズだ。いつもはソファと物販が置かれる2Fのバーカウンター前にセットが組まれていた。ケイゾウ(Vo/G)は噛みつくように歌いながらギターをカメラに擦り付け、マーヤ(G/スクリーム)はマイクをくわえてはスクリームする。「戻らない?戻すぜ」とマーヤはカメラの向こう側の視聴者に訴えた。「イかれた世界に叫び続けるぜ」というリリックが今この情勢にハマりすぎる“デッドソウル”では、不敵にゾニー(Dr)が中指を立てて見せた。

中盤には、前日の6月20日に発売された7インチアナログ盤『CRAYON SPLIT COLLECTION VOL.1』に収録されている、The Jimi Hendrix Experienceの“Purple Haze”を彷彿とさせる楽曲“-UFO-”が演奏された。最新曲が生配信とはいえ演奏されるのは嬉しい。

「間違いなくライブハウスは悪もんじゃないですよね、ライブハウスは最も正しい場所です」というケイゾウのMCからの“JUDGEMENT MAN”「言い訳はやめて罰をくらいなよ」と怒りをぶちまける歌に、胸がすく思いだ。カメラは前回の彼らの配信同様、普段見られない至近距離の姿を捉えていた。ゾニーの手元、足元から背後からまでも映し出され、振動までも映し込む生々しさがあった。

最後の曲“ルル”でマーヤはギターを置いて叫んだ。「We are King Brothers、ロックンロールをやる場所がたとえなくなっても、ロックンロールは消えへん。戻らないらしいね、は? しょうがないな、我々に出来ることは例え戻らなくともギリギリまで戻してやるぜ、そのためにロックンロールをぶちかましょう」そして、その場にいた二人を手招きし自らを支えさせたのだ。「ここから始めようロックンロールが飛び込むぜ」マーヤは最後にそう言って、支えるふたりの上で「ニ・シ・ノ・ミ・ヤ」と何度も叫んだ。

カメラが執拗に彼らを追いかければ追いかけるほど、それを凌駕する熱量が30分のライブ配信から溢れていた。

今後のライブ予定詳細はキングブラザーズ オフィシャルサイトにてご確認ください。

<SET LIST>
01.スーパーX
02.デッドソウル
03.SPACESHIP
04.XXXXX
05.-UFO-
06.JUDGEMENT MAN
07.ルル

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Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe