KING BROTHERS | 東京 渋谷www | 2018.7.14

この瞬間が全てという証

キングブラザーズとはこうあるべき、という縛りを生み出してきたのは我々ファンだったのかもしれない。ことごとくそれらを打ち破り、バンドの在り様をアップデートする度に彼らはファンの度肝を抜く。その都度腑に落とされた我々の胸のうちを、見透かすかのように絶対的なライブを見せつける。なんなんだ? 20年目を迎え、更新スピードは加速度を増している。観客は、もはや振り落とされないように、しがみつくようにライブを見なければならなくなっている。

キングブラザーズ20周年記念&Newアルバム発売記念パーティ東京編が、渋谷WWWにて行われた。DECKRECつながりの旧知のバンドであるPOLYSICS、SCOOBIE DOがパーティを盛り上げる。1999年に初めてキングブラザーズと対バンした日、このバンドの後にやりたくなかったというライブの衝撃を語ったPOLYSICSのハヤシ(Vo)は、マッハクラブのリミックスをSEに使いホールを沸かした。SCOOBIE DOのコヤマシュウ(Vo)はマーヤと遠い遠い遠い親戚という冗談を挟んだ後、華麗にフロアに飛び込んだ。両バンドのキンブブラザーズへの愛は手加減なしのステージングに全て現れていた。

“Big Boss”の神々しいまでの登場で、いつもと違っていたのはマーヤ(G/スクリーム)が青いギブソンを携えていたことだ。マーヤのギターといえばアイコンのように使われてきたフレッシャーだが、この日はかつてないほどクリアに響き、リフのひとつひとつの輪郭が際立ち、ケイゾウ(Vo/G)のBo Diddleyモデルとのバランスが素晴らしかった。ゾニー(Dr)の音色鮮やかな存在感のある打音に、2本のギターがどう彩っていくのか。ギターが変わることでリズムと理想はどのように変化していくのか。こうして追い求める音に辿り着けるというのは、20年バンドマンとしてあり続けたからこそだ。

「20年間やってたら怒りのナンバーばっかりになってました」というケイゾウのMCで始まった”Judgement Man”は、ゾニーが加入して最初に発表された楽曲であるが、ライブでこなされるうちにスピード感のある今のバンドサウンドとして磨かれている。それは旧曲もリリースされたばかりの楽曲ですらそうなのだ。底上げされた表現力は、バンドの瞬発力と相まって、観客の胸を撃ち抜く。”Doo Doo Scratch”が纏った焦燥感は、この曲が生み出された時にはなかったものだ。“The Machine”のグルーヴ感を彼らはいつ身につけたのだろう。前任者の気配は払拭され、むき出しのバンドは今この瞬間が全てだった。

ケイゾウは叫び続け枯れてしまった声で絶叫する「ロックンロールで世界を変えてくれ。20周年、21年、22年、40年、60年後も俺たちはロックンロールだけやるぜ」と。何万回叫んだら満たされるのだろう。わからないからこそ、ロックンロールは続いていく。

フロアが後部に向かって階段上になっている渋谷WWWをマーヤは躊躇なく飛び込んでいく。

「今日はありがとう、これが今のキングブラザーズです。変わってへんこともあるし、変わったこともいっぱいあるよ。SCOOBIE DO、POLYSICS、今のあいつらです。むちゃくちゃ格好ええやんけ!ということでロックンロールはまだまだ安泰です!」マーヤは拳を高くあげ、ロックンロールをどこまでも連れて行けと叫び続けた。そう叫びたいのはこっちだと、満面の観客は思っていたに違いない。

本日は梅田バナナホールにて、キングブラザーズ20周年記念&Newアルバム発売記念パーティ大阪編が行われる。

<SET LIST>
01.Big Boss
02.★★★
03.No.Thanks
04.Kick Ass Rock
05.魂を売り飛ばせ!
06.Judgement Man
07.GET AWAY
08.踊る屍
09.Doo Doo Scratch
10.KILL YOUR IDOR
11.The Machine
12,Sympathy For The XXXXX
13.No! No! No!
14.No Want
15.Bang! Blues
16.マッハクラブ
En.ルル

 

KING BROTHERS 『何も欲しくない [No Want]』MUSIC VIDEO”

 KING BROTHERS 20周年記念 & NEWアルバム発売記念パーティ
『wasteland』

<東京編>
日程:2018年7月14日(土)
会場:渋谷WWW
出演:POLYSICS / SCOOBIE DO / KING BROTHERS /
DJ:ネモト・ド・ショボーレ(DECKREC)
問合:WWW 03-5458-7685
公演詳細:http://www-shibuya.jp/schedule/009013.php

<大阪編>
日程:2018年7月15日(日)
会場:梅田バナナホール
出演:GUITAR WOLF / SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER / KING BROTHERS /
DJ:KODAMA(TIME BOMB RECORD)
問合:梅田バナナホール 06-6809-3016
公演詳細:https://banana-hall.com/

<両公演共通>
時間:open 17:30 / start 18:00
料金:
KING BROTHERS WEB限定先行(4/28〜)3,969円 (特典付/(1Dr別)
一般前売り4,000円(1Dr別)/当日5,000円(1Dr別)
*20才おめでとうキャッシュバック有!
(今年成人式を迎えた二十歳の若者は、当日受付で身分証提示で1000円キャッシュバック)
*入場順は、オフィシャル最速先行>一般前売>当日券となります。
*一般発売の詳細は後日発表。

 

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Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe