Sad から Happyへ
マリンスポーツの出来る兵庫県甲子園浜は、阪神甲子園球場から車で10分ほど南に下った場所にある。8月14日、リンダ&マーヤのライブが行われたモンタージュは、甲子園浜海浜公園のライブが行える海辺のカフェで、この日はあいにくの雨だったが晴れていれば最高なロケーションにあった。1部はNaNoMoRaLのワンマンライブで、2部にリンダ&マーヤとのツーマンライブという2部構成でライブは行われた。
ちょうどNaNoMoRaLの雨宮未來が誕生日とあって、まずは「ハッピーバースデートゥユー 」をリンダとマーヤがアカペラで歌い、ライブは始まった。ツインボーカルで始まる”愛と誠”は、サポートドラムの跳ねた和田晋侍(DMBQ、DODODO BAND)のドラムが入り、よりロックンロール感が際立っていた。
「ようこそお越しくださいまして、雨の中ありがとうございます」とリンダが「まだまだ現実的にヤバいんで皆さん気をつけて、今日この一瞬だけ楽しんで帰りましょう」とマーヤが客に笑顔を向けた。“ダンス終わらナイト”でリンダがバケツドラムを叩くと、キングブラザーズからは想像出来ない、意外に通る声でマーヤがヴォーカルを重ねていく。リンダとのシャウトの掛け合いにギターの爆音が重なる、そのぶっとい音圧からキャッチーなメロディに戻る巧みさに、毎度ながら感動してしまう。
曲間でリンダは客に「どうやって辿りついたの?タクシー?バス?歩き?ええー30分くらい!?」とフランクに会話をする。チューニングを終えたマーヤも、来る途中で見かけたお客さんの話を笑いながら話す。二人のゆるさと距離の近さ。さっきまでのスキのない二人のカリスマ性は何処へやら。
「“Very Sad”という曲をやりたいんですけど、今日はハッピーな日なんで歌詞一部変えてお送りします」とマーヤはギター1本で”Very Happy”を奏でた。リンダとマーヤのハモりに引き込まれていると、和田晋侍のリズムがどこまでも優しく寄り添う。”I’M WAITING FOR THE SUN”や”Very Sad”などの歌詞に漂う、諦念ややるせなさに湿っぽさは感じられず、二人はそんな事を歌いながらも笑い飛ばしているかのようだ。
”人生はLO-FIだ”ではマーヤは客の真ん中を抜け、雨の上がった店の外まで抜けてギターをかき鳴らした。底抜けに明るい二人の笑顔がフロアにも笑顔が伝染していく。「ケーキじゃ生温い、夏はスイカや!」とマーヤはNaNoMoRaL雨宮美来を呼び込むとスイカ割りを披露させ、会場全員で誕生日を祝った。
出口のない混沌とした日常で、Happy と Sadを行き来する気持ちを抱えたアーティストと観客が、せめておめでとうと言える場があってよかったと思う。
ラストは“たかがアクション”だ。スピード感のあるアレンジでバンドは疾走していく。
やっぱりリンダとマーヤにはロックンロールが、似合う。
1.愛と誠
2.I’M WAITING FOR THE SUN
3.ダンス終わらナイト
4.Very Happy(Very Sad)
5.人生はLO-FIだ
6.たかがアクション
▼リンダ&マーヤ結成5周年
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2017年に発表されたEPが新たにミックスされ、初のアナログ化。豪華シルバージャケット仕様でメンバー直筆ナンバリング入りの限定盤に、アコースティックバージョンのCD-R特典が封入されている
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