明かされた西宮の夜
12月17日、地元西宮市の音楽スタジオ、モンジャクシンでキングブラザーズがスタジオライブを行った。天井からぶら下げられた電飾と裸電球が一灯だけの薄暗い中、ライブ後にはメンバー背面の鏡が曇って何も映さなくなるほど、狭いスタジオ内は熱気で溢れていた。
“デッドソウル”で始まったライブでは、マーヤが何度もニシノミヤ!と叫び、ケイゾウはギターを振り上げながら噛み付くように歌う。ゾニーのDrが乱打され“BIG BOSS”へと続くと、ただでさえ狭いスタジオに爆音は満ち、観客はつま先から頭のてっぺんまで浴びるように全身で音を受け止めていた。”凸凹”でバンドはその勢いを更に加速させていく。その中心でゾニーはビートを見事に操っていく。
『これほど興奮させられるバンドを、ライブを、私は他に知らない。キングブラザーズの音楽が持つ破壊力は、写真や言葉で語り尽くせるものではないのだ。彼らのリミッターが外れた瞬間に産み出されるエネルギーは、ライブでしか体感し得ないもの。胸の内にくすぶっているロックンロールという初期衝動を昇華させたいなら、キングブラザーズのライブを見てほしい』
この文章は、LIM PRESSの前身、Smashing Magに初めてキングブラザーズを掲載した2005年10月11日のライブレポートの一節だ。当時掲載した写真と同じアングルでファインダーを覗いた時の興奮がわかるだろうか。このレポートをこの日のライブレポートと差し替えたとしても、この日の写真を当時のライブレポートに添えたとしても全く違和感がない、そんなバンドが他にあるだろうか。
どこにでもあるような町の、どこにでもあるような商店街の音楽スタジオで、マーヤは観客に担がれながら待ってたぜ西宮、と叫んだ。バンドにとってはこの日もただの通過点にすぎなかったかもしれない。しかし、時代が変化しどんな状況下にあっても決して彼らが手放さなかったものを、ここ西宮で種明かしされたようなライブだったのだ。
1.デッドソウル
2.BIG BOSS
3.★★★
4.凸凹
5.闇の中ブルース
6.×××××
7.マッハクラブ
8.ルル
詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。
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