地元でもはじめまして
この日のザ50回転ズは、50回転ズのテーマで始まり、おさらばブギウギで終わった。その間の選曲は50回転ズの王道中の王道で、この日の対バン相手であるgrating hunny(オープニング・アクト)、PK shampoo、THE BAWDIESのお客さんを意識して、初めて50回転ズをみる人たちに自己紹介するようなセットリストだった。
さらにダニー(Gt/Vo)は「50回転ズはこういうバンドですよ」と初めての人にも優しいMCをする。ホームといってもいい大阪のライヴハウスでもこの丁寧さである。最近は年齢ネタも増えて、今年はバンド20周年だけど、30年後の50周年記念ツアーのときは椅子やソファを用意するという。足腰が弱くなってもバンドを続けていくという意思でもある。
また、ダニーが唐突に歌いはじめた「ボゥディーズあるあるいいたい〜」は「早よいえや」というドリー(B/Vo)のツッコミもあり、愛ある対バンイジりになっていた。共演するバンドの関係性を大切にしていることがわかる。
この日は「This is ROCK’N’ROLL.」と題したイベントで、そのわりにセットチェンジ中には主に70年代後半から80年代のディスコ/ソウル/R&Bが場内にはかかっていた。それまで流れていたキャンディ・ステイトンの“Young Hearts Run Free”の音量が下り、ドクター・フィールグッドの“Riot in Cell Block Number 9”に変わりメンバーが登場する。それからのステージはまさにThis is ROCK’N’ROLLといった楽しさに溢れたものだった。
圧巻の“50回転ズのテーマ”で始まり、勢いそのままにドリーが歌う“サンダーボーイ”、街から街へとツアーに明け暮れるバンドの姿勢を歌ったケルティック(アイリッシュ)パンクで“レッツゴー3匹!!”と進んでいく。ボギー(Ds/Vo)が歌う“エイトビートがとまらない”ではギターソロでダニーが高音カッティングをぶち込んできていつも聴いている曲の光景を変えてしまう。お馴染みのセットリストでもこうした楽しみがある。ポップな浮遊感ある“デヴィッド・ボウイをきどって”、いつも「ロマンティックな曲」と紹介してから歌うバラード“サム・クックがきこえる”のあとは、“Vinyl Change The World”から後半をロックンロールで駆け抜ける。
ラストは鉄板の“Youngers On The Road”、“涙のスターダスト・トレイン”、“おさらばブギウギ”の3曲だった。ステージ前にいた人たちは拳を突き上げ、踊り、バンドのコール&レスポンスに合わせて合唱していた。フロアの状態をいつもここまで持っていくことができるバンドの信頼感、熟練度を思わせる。“Youngers On The Road”はドリーが歌う軽快に疾走していくポップなパンクナンバー、“涙のスターダスト・トレイン”は切ないメロディと歌詞でお客さんたちの盛り上がりに併走するメロディックなパンクナンバー、“おさらばブギウギ”はお客さんたちとコース&レスポンスをおこなうクラシックなロックンロールナンバー。演奏中に勢い余ってドリーが転倒しダニーも巻き込まれて倒れても、ちゃんと音は鳴り続けていた。
短い時間であったけど、バンドの魅力を伝えるには十分なステージだった。このあと、バンドは4月下旬に東京、5月10日には恒例「50の日」で下北沢にて自主企画イベント、5月11日には横浜銀蝿主催のフェスに出演、を経て5月下旬〜6月頭に昨年に引き続いてヨーロッパツアーにでる。主に首都圏で観る機会があるのでぜひ体感してほしい。