【朝霧JAM ’24】リムプレスライターが選ぶ注目アクト3選

英米日以外のアーティストからお勧めしてみました

今週末は朝霧JAMです。直前だけどもお勧めアーティストとして3アクトを挙げたいと思う。もちろん、コーネリアスとかキョンキョンとか普通に観たいアーティストはいるけれども、さまざまな国から朝霧へ出演があるので今回はそうした国から選んでみた。

XAVI SARRIA RAINBOW STAGE 10月12日(土) 14:00~

今年「フジロックの賑やかし枠」についての記事をフジロッカーズorgに書いたけど、朝霧JAMにもこの手のバンドがでることが多い。朝霧JAM→フジロック、フジロック→朝霧JAMと出演した順番はそれぞれだけど、フジロックに出演経験のあるバンドと重なることもある。

シャビ・サリアはOBRINT PASというバンドのフロントマンであった。オブリント・パスは2011年にフジロックに出演している。そのときのレポートを引用したい。

アマドゥ・エ・マリアムとマヌ・チャオと共に、オブリント・パスが数百人規模のスペースにブッキングされている…こららのアーティストを立て続けに見られるってことは、ヨーロッパではまず考えられない事だそうで、バンダ・バソッティやフェルミン・ムグルサといった百戦錬磨の猛者たちが、声を揃えて「フジロックはヤバい!」と言っていたそうだ。

(中略)ほとんどのフジロッカーにとっては所見であろうオブリント・パス。それでも、彼らは20年近い歴史を持った、スペイン語圏ではつとに知られたバンドだ。なにせ、FCバルセロナが優勝を決めると、その本拠地であるカンプ・ノウでのライヴを行うほどにビッグなアーティストなのだから。

2014年にオブリント・パスは活動停止になりシャビ・サリアはソロとなった。オブリント・パス時代から変わらずパンクを基にスカなどを取り入れたうえに、ドルサイーナというバレンシアの木管楽器の響きが特徴的であり「賑やかし」として十分な条件を満たしている。シャビ・サリアは作家としても15000部を売り上げる短編集を出版する才人の姿を目撃しよう。

KIASMOS (LIVE SET)RAINBOW STAGE 10月12日(土)17:00~

キアスモスは2007年に結成されたオーラヴル・アルナルズとヤヌス・ラスムセンの2人によるアイスランド出身のエレクトロニック・ユニット。オーラヴルは2000年代初頭から音楽活動を始め、複数の楽器を演奏するプレイヤーであり、映画やテレビ番組の音楽を担当してソロでも活動している。キャリアの初期にはハードコアパンクバンドでドラムを叩いたりしていたようだけど、基本は温かみのあるメロディと音色を持つアコースティックな楽器と電子音が融合したサウンドが持ち味である。ヤヌス・ラスムセンはアイスランドのエレクトロニック・バンドBloodgroupのメンバーである。Bloodgroupはポップでダンサブルなサウンドで人気を博していた。その2人が組んだキアスモスは繊細で温かく上品な電子音が心地よく、夕暮れの朝霧高原というシチュエーションがかなり合っていそうで期待は高まる。

ELEPHANT GYM RAINBOW STAGE 10月13日(日) 11:20~

台湾出身の3ピースバンド。2022年にフジロックに出演しているし、今年1月にも来日公演をおこなっているので、かなりお馴染みである。ギター、ベース、ドラムのシンプルな編成であり、それぞれが超絶なテクニックで演奏力を披露する。それでいて、音の感触はオシャレで心地よい。楽器の上手い人がメタルとかプログレとかを目指さずにオシャレな方向に向いているのだな、と時代の変化を感じさせる。

バンドの魅力はそれだけでなく、ベースのKTが明るく奔放に振舞って会場が笑いに包まれることだ。真面目なギタリストTell ChangはKTの兄で、この兄妹のバランスがよい。ステージから感じられる多幸感を朝霧でも味わいたい。

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by  LIM Press