KING BROTHERS | 京都 西院ネガポジ | 2019.02.10

堂々と、その覚悟を示す

「新曲聴いて下さい」2019年最初のワンマンライブは、ケイゾウ(Vo/G)の一言で始まった。The Jimi Hendrix Experienceへのオマージュが随所に現れる、ミディアムテンポの楽曲だ。マーヤとケイゾウが交互にリードを取る予想外の始まりに観客は驚きの表情を浮かべ、ケイゾウはニヤリと笑った。

京都西院ネガポジを2019年最初のワンマンライブの場所に選んだキングブラザーズはこの日、奇を衒うことも無くストイックに演奏し続けた。マーヤ(G/スクリーム)は観客の反応を受け、はじけるように踊り、演奏する。ゾニー(Dr)はパワーだけではない深みを打音に乗せ、バンドの舵を取っていた。

昨年最初の名古屋でのワンマンライブは、20周年の幕開けに相応しい、初期衝動丸だしのライブだった。アニバーサリーイヤーを終えた2019年、もう既に何本かのライブを経ている彼らからは堂々たる印象を受けた。と同時に昨年までのステージには緊迫した空気が多かれ少なかれあったことに、今更ながら気付かされた。序盤「Doo Doo Scratch」「King of Booggie」は、今の彼らが最も映えるテンポ感で、メンバー3人の魅力を浮き彫りにしていた。

「We are KING BROTHERS from NISHINOMIYA!」と「69」の最中に叫んだケイゾウは、更に声を張り上げマーヤとゾニーを、俺たちがキングブラザーズと自らを紹介した。「どこに行けばいい?転がるように」という歌詞の上に刻まれるマーヤのリフが胸を突く。そこに続く「Bang! Blues」はケイゾウのスライドギターにゾニーのドラムが頂点へ誘うブルースだが、差し込まれるケイゾウの「行くぜ!」という合図で重低音が加速していく、まさにアンサーソングとなる曲順となっていた。

セットリストは初期作から最新作までバンドの歴史を行き来する。中盤に挟まれた「Super X」は2001年のアルバム『In The Red』からだし、「ACTION!!!!」は2010年のアルバム『THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN』の1曲目に収録されている楽曲だ。ベーシストを加えて活動していた7年間に世に出された楽曲の中で、ゾニーが加入して再びベースレスになった今も演奏されている曲は少ない。久しぶりに聴いた「ACTION!!!!」に炙り出されたのはどの時代をも超える為に3人が抱いてきた覚悟と挑戦だった。常に過去と比較されてきたであろうキングブラザーズが聴き手に突きつけた答えは「俺たち3人が最初に作った曲」というケイゾウの紹介で始まった「Keep on Rolling」に詰まっていた。

「GET AWAY」ポップにマーヤとケイゾウのコーラスが重なると、抑えがちの照明、暗いフロアの中でも、観客が大きく踊っていることがわかる。ライブ終盤になると盛り上がり必須の「XXXXX」、ケイゾウがその曲名を叫ぶだけで聴く者を沸点へと連れていく「スパイボーイズ」、マーヤのスクリームが冴え渡る「魂を売り飛ばせ!」で疾走感と達成感を残して本編が終了した。

フロアにドラムセットが降ろされたアンコールの「マッハクラブ」で初めて、本編でマーヤがフロアに飛び込まなかった事に思い当たる。マーヤが飛び込むから盛り上がるわけではないし、盛り上がるからマーヤが担がれるわけでもない。メンバーがステージ上にいても当然、観客は感情を揺さぶられ喚起させられる。畳み掛けるように演奏した20曲で終わったとしてもよかった。しかし、命を燃やしていると比喩するには有り余る熱量でフロア演奏する3人の、汗と体温と気迫を体感する事から得られる衝動は言葉では言い表すことができない。それを見せつけて観客の胸に確かな傷跡を残す。見るものを捉えて離さないのだ。

2月21日(木)はJON SPENCER ソロアルバムTOUR 大阪公演 梅田シャングリラのオープニングアクトに、3月23日(土) 名古屋 sunset BLUEにて80名限定【生音】ワンマンライブ、4月18日(木) は東京・下北沢シェルターでのワンマンライブと、更に5月までのスケジュールが決定している。詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。


▼JON SPENCER ソロアルバムTOUR
場所:梅田 Shangri-La
日時: 2019/2/21(木) 18:30 open / 19:30 start
料金: ¥6,500-(税込/All Standing/1Drink別) 各プレイガイド発売中

▼『ONEMANLIVE 2019 』 in 名古屋編 【生音ライブ特別編】 
場所 : 名古屋 sunset BLUE
日時 : 3月23日(土) 18:30 open 19:00 start
料金 : キングブラザーズ オフィシャル web 先行価格 3300円 (1Dr別)
*80名限定
店等メール予約 3800円 (1Dr別)、当日券発売未定
発売日 : キングブラザーズ・オフィシャルweb先行は2/11(祝) 午後18時より発売予定、
店頭メール予約は3月上旬より開始予定

『SHELTER ONEMANLIVE 2019』 in 東京編
場所 : 東京 下北沢シェルター
日時 : 4月18日(水) 19:00 open 19:30 start
料金 : キングブラザーズ オフィシャル web 先行価格 3000円 (1Dr別)
一般プレイガイド前売 3500円、当日券発売未定
発売日 : キングブラザーズ・オフィシャルweb先行は2/24(日) 正午より発売予定、
各プレイガイド発売は3/17(日)午前10:00より発売開始予定

<SET LIST>
1.新曲
2.Paint It Black
3.KILL YOUR IDOR
4.Doo Doo Scratch
5.King of Booggie
6.69
7.Bang! Blues
8.Sympathy For The XXXXX
9.Big Beat
10.Big Boss
11.スーパーX
12.Keep on Rolling
13.ジャッジメントマン
14.No! No! No!
15.ACTION!!!
16.GET AWAY
17.☆☆☆☆
18.XXXXX
19.スパイボーイズ
20.魂を売り飛ばせ!

EN.マッハクラブ

 

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Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe