ダブリンからロサンゼルスまでデイヴの紆余曲折
フロッギング・モリーの歴史を調べると、このバンドの中心人物であるデイヴ・キングのフロッギング・モリー以前の歩みが非常に興味深い。デイヴは1961年にアイルランドのダブリンに生まれ、1983年にロンドンで元モーターヘッドのギタリストであるエディ・クラークと出会いファストウェイ(Fastway)を結成する。ファストウェイは、80年代前半のへヴィメタルブームに乗ってある程度の商業的な成功を収める。音楽的にはレッド・ツェッペリンをシンプルにしたような王道のハードロックで爽快感があった。デイヴの声はロバート・プラント直系のハイトーンヴォイスであり、外見は長髪だし、現在とは似ても似つかないスタイルだったのだ。
Fastway – Say What You Will
Easy Livin’ – Fastway
FASTWAY – All Fired Up
デイヴはファストウェイで4枚のアルバムを残し脱退。ロサンゼルスに向かい、エイジア(AISA)にも在籍したことがあるマンディ・メイヤーとカトマンドゥ(Katmandu)を結成してアルバム1枚で解散する。このときもデイヴはロバート・プラントと比較される歌いっぷりで王道のハードロックを披露する。レッド・ツェッペリンやAC/DCやホワイトスネイクが好きな人は気に入ってもらえそうである。ただ、このとき1991年は、グランジが台頭してきたこともあり、こうしたハードロック・/へヴィメタルの需要が少なくなってきている時期で、こうした音楽性のバンドは大御所でない限り苦しい活動を余儀なくされていたのだった。
Katmandu – The Way You Make Me Feel
その後レコード会社はデイヴをジェフ・ベックのヴォーカリストになるように望んでいたらしいけれども、それを辞退。デイヴはソロアルバムの制作に取り掛かったけど、アイルランドの伝統楽器を使った音楽をやりたいというアイデアをレコード会社に反対され袂を分かつことになった。
そして、ロサンゼルスのアイリッシュパブ『Molly Malone’s』で演奏するデイヴのもとに集まったメンバーでフロッギング・モリーができた。ハードロックからアイルランドの民謡とパンクが融合した「ケルティック・パンク」(「アイリッシュ・パンク」は日本でのみ通用する呼び名)にスタイルが大胆に変化。ケルティック・パンクの代表格として活躍して今に至る。おそらくフロッギング・モリーのファンはハードロックなデイヴのことは知らないだろうし、YouTubeのファストウェイの動画についているコメント欄には「フロッギングモリーなんか理解できない」みたいなコメントが書き込まれていたりする(英語で)。その断絶は深いのだろうけど、デイヴの歩みがフロッギング・モリーに深い味わいを加えているし、ライヴでAC/DCの”Highway to Hell”を鼻歌で歌ったりするところをみると、決してハードロック時代を捨て去ったわけではない。やりたい音楽をやること、続けていくことの困難さを知る男だから伝わるものがある。
Flogging Molly – Drunken Lullabies
Flogging Molly “Going Home”
公演情報
東京 4月23日(火) 渋谷 TSUTAYA O-EAST
OPEN 18:00 / START 19:00 ALL STANDING 前売¥7,500(税込み/ドリンク代別)
Info. 03-3444-6751(SMASH)
大阪 4月24日(水) 梅田 CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00 ALL STANDING 前売¥7,500(税込み/ドリンク代別)
Info. 06-6535-5569(SMASH WEST)
名古屋 4月25日(木) 名古屋 CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00 ALL STANDING 前売¥7,500(税込み/ドリンク代別)
Info. 052-6535-5569(CLUB QUATTRO)