キャリアを総括する圧巻のステージ
初日のヘッドライナーを務めたレディオヘッドは照明の消えた暗いステージに登場した。
静かなピアノのイントロが印象的な「デイ・ドリーミング」でライヴが始まる。ゆっくりと囁くように歌いだすトム・ヨーク。望遠レンズで撮っていると時々トムと目が合ったと感じる時があって、その虚ろな表情に吸い込まれそうになる。
幻想的な一曲目から流れるように始まった「ラッキー」で一気にエモーショナルになったバンドの演奏にこの場に集まった10万人はいるだろう観客から物凄い歓声と大合唱が産まれる。続く「フル・ストップ」では瞬くストロボの中で見悶えながら歌うトムの姿が印象的だった。この日のライヴは20周年を迎えた『オーケー・コンピューター』と新作『ア・ムーン・シェイプド・スーン』を中心にバンドの代表曲のオンパレードとなったけれど、合唱が起きるメロディアスな曲から強靭なビートで畳みかける曲まで、本当にどんな音楽でもやれるんだなと今更ながら思う。
撮影が終わり、後ろ髪を引かれつつもプレステントに戻って作業していると「クリープ」が始まり、観客による地鳴りのような歓声がここまで聴こえてきた。ラストの「カルマ・ポリス」ではメンバーがステージを去った後も合唱が止むことはなく、それを聴きながらレディオヘッドが本当に特別なバンドだという事を実感した。
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