リムプレスライターが選ぶフジロック’22注目アクト〜韓国・台湾バンド編〜

欧米だけじゃない。洋楽ファンに聴いてもらいたいバンド3選

フジロックには今までも多くのアジア圏のバンドが来ている。今回も注目すべきバンドがいるので韓国のSay Sue Me、台湾のFire EX. (滅火器)、同じく台湾のElephant Gym (大象體操)を取り上げたい。

Say Sue Me 7/30 (Sat) 14:00-15:00 RED MARQUEE

暑さのピークであるフジロック2日目の14時、涼を求めるならばレッドマーキーにいくといい。韓国・釜山出身のSay Sue Meは、涼しげなギターロックで、ヴォーカルのSumi Choi(女性)の声がそのサウンドにふさわしい爽やかでキュートなのだ。

歌詞は英語中心で、音だけを聴くとどこの国のバンドだかわからない。USのインディーロックに影響を受けたバンドであり、バンドが発するギターの音色はフジロッカーたちが好む世界の共通言語みたいなものである。曲によってはサーフ・ロック風だったり、ギターの轟音が響くシューゲイザーの要素も感じられる。


スタジオライヴの様子。魅力が伝わる。


Netflixのドラマ『わかっていても』に曲を提供。心地よい。

Fire EX. 滅火器 7/30(Sat) 12:30-13:20 WHITE STAGE

Fire EX.は台湾を代表するバンドで、日本のアーティストとも交流が深く、HUSKING BEE磯部正文、ELLEGARDEN細美武士、ASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文、BRAHMAN……と一緒に曲を作った人たちをみると音楽的な傾向もわかるだろう。

パンクに根差した熱いロックで、歌詞は台湾語だったり、英語だったり、日本人アーティストとコラボレーションするときは日本語だったりと言葉を巧みに使いメッセージを発する。その中でも「島嶼天光」(この島の夜明け)が2014年の「ひまわり学生運動」のアンセムとなり、学生側の勝利に貢献したように台湾の社会と密接に関わっている。ときに攻撃的な鋭いギター、ときに包容力のあるやさしいサウンドを奏でる。この懐の深さ、スケールの大きさを堪能できるステージを期待したい。


BRAHMANとの曲。めちゃくちゃ格好いい。


やはりこの曲を知ってほしいです。

Elephant Gym 7/31 (Sun) 14:00-15:00 RED MARQUEE

Fire EX.が主催して台湾のスタジアムでおこなわれたフェスには日本から前述のHUSKING BEE、ELLEGARDENをはじめマキシマムザホルモン、木村カエラなど豪華なメンツが参加していた。もちろん、地元台湾のバンドも落日飛車(Sunset Rollercoaster)などフジロックに出演したことがあるバンドが名を連ねていた。このElephant Gymもフェスに出演した。

Elephant GymはFire EX.と同じく台湾南部の高雄の出身で、男女3人のバンドである。このバンドは洗練されて心地よいサウンドを奏でる。マスロックと呼ばれるジャンルに属するけど、精密に音を作り上げるというより、エレガントで柔らかい印象がある。KT Changのベースが超絶なテクニックでリード楽器のようにメロディを産みだし曲を牽引する。ヴォーカル入りの曲には日本からYeYeやchilldspotの比喩根が参加しているように日本人アーティストとの交流もおこなっている。また、KT Changがヴォーカルを取る曲もあり、その涼しさは昼下がりのレッドマーキーにちょうどよい。


やっぱり魅力はライヴなのでは。日本のフェスにでたときの映像


自ら代表曲と呼ぶ“Spring Rain”

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by SMASH