【朝霧JAM ’22総括】手探りで始まったフェスだから、手探りで再開すればいい

4年ぶりに戻ってきた朝霧JAM。一番楽しみにしていたスピリチュアライズドは直前にキャンセルになってしまい、意気消沈したけど、やはり朝霧高原にいってしまえば楽しかった。

9時前に駐車場に着くと、すでに入場を待つ長蛇の列ができていた。1時間後にキャンプサイトAに入ると、まだ余裕があった。テントを建てて、昼前にキャンプサイトBを巡ってみると、さすがにJとかKは埋まっていたけど、Mから先は空いていて、奥地はガラガラだった。

そこからテントに戻り、まったりと座ってライヴが始まるまで過ごす。この何もない2〜3時間が朝霧のよさなのだ。富士山は最初のうちはみえたけど、雲に隠れてしまった。

1日目(土曜日)はムーンシャイン、2日目(日曜日)はレインボーステージにずっといたけど、どれもすばらしいライヴで楽しく過ごせた。特にギターとドラムだけでロックンロールをぶちかましたジ・インスペクター・クルーゾ、レゲエ/ダブに強いメッセージや可愛い歌を乗せた、いとうせいこう is the poet with満島ひかり、4つ打ちのハウスで踊らせたヴィーガン、若さと才能が溢れたアルフィー・テンプルマン、フェス出演に万感の思いが強かったレジェンド・加山雄三、新感覚のブルース、ファンタスティック・ネグリートと充実したものが観られてスピリチュアライズド不在を埋めたのだった。

天候は土曜の朝から曇りがちだったけど、富士山をみることができた時間はあったし、土曜日の夜は十三夜の月も雲の間から望めた。日曜日の朝は富士山から昇る朝日も拝めたけど、午後になって雨が降り始め、加山雄三のときにはけっこうな雨になった。朝のうちにテントを撤収してよかったと思った。

天候が保ってくれればと思うけど、こればかりは仕方ない。

一方、場内の飲食店が少なくなって、どの店も長い列になっていることが多かった。電子マネーが使えるはずだったけど、携帯電話の電波の調子が悪く、特にQRコード決済ができなくなってしまった。もちろん、電波がなかなかつながらないのでスマートフォンでメッセージのやりとりもできなくなっしまった。タイムテーブルも紙での案内はなく、サイトで確認ということになったので、あらかじめ画像を保存してないと出演時間をみることができなかった。

場外駐車場へいくシャトルバスも長い列になっていたし、常に列ができていた印象がある。こうしたさまざまな問題があるものの、やっぱり「朝霧JAMが帰ってきてよかった」と思えた。

フジロッカーズorgで朝霧JAMの歴史という記事を書いたけど、初期の朝霧JAMのことをみていると手探りで始まったフェスなのだから、今回も手探りで再開するのでいいのではないか、と思った。またこれから新しい朝霧JAMの歴史を作ればいい。

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by Nobuyuki Ikeda、Ryota Mori、Masami Hara