【朝霧JAM’23】朝霧の地でこそ堪能したいアーティスト11選

秋の夜長は朝霧JAMで

今年の朝霧ジャム開催まで3週間を切った。雄大な富士山を一望できる静岡県富士宮市の朝霧アリーナで2001年から開催され、今年で20回目を迎える朝霧ジャム(祝!)。お客さんから主催者まで、来場者のほぼ全員がテントを張り、キャンプをして2日間を楽しむ。ふもとっぱらでのキャンプが楽し過ぎてライヴを観なかった人が続出と耳にするほど、キャンプに主眼が置いたフェスであることが見て取れる。グラストンバリー・ミュージックフェスティバルに起因する、キャンプ・フェスティバルの文化をフジロックとともに日本に根付かせた朝霧ジャムの功績は計り知れないものがある。

朝霧アリーナが、フジロックの候補地だったという話をご存知の方も多いことだろう。直撃した台風のため、二日目がキャンセルとなった富士天神山スキー場で開催された伝説の第一回目フジロック。翌年、富士天神山スキー場での開催が不可能になった時点で候補地のひとつだったのがここだ。フジロックという名にふさわしい富士山を望む絶景。フジロックと同等規模の入場者や、キャンプ泊や車中泊しか選択肢がないことなどを踏まえての断念と思われるが、もし開催されていたら?とあれこれ夢想してしまうことは禁じ得ない。

さて、本題である今年のライヴの話に移ろう。前述の通り、キャンプに重きが置かれているため、例年出演陣の数やタイムテーブルもゆったりと組まれている印象があったのだが、今年はそんなことはない。RAINBOW STAGEとMOONSHINE STAGEだけでもかなり被っている上、CARNIVAL STARが復活したこともあって大変なタイムテーブルになっている。これは忙しくなりそうだ。

今年も、朝霧ジャムの“ジャム”というキーワードに込められているジャンルレスに様々なミュージシャンが集い、音楽を楽しむというコンセプト通りの素晴らしいアーティスト・バンドが国内外から集結する。朝霧の地でこそ観ておきたい注目株をセレクトした。今年の被り問題対策のいち参考にしていただけると幸いだ。

HOVVDY

10/21(土) RAINBOW STAGE 14:30〜15:20

ウィル・テイラーとチャーリー・マーティンからなるインディーロック・デュオ、Hovvdy(ハウディ)。本サイトでも頻繁に取り上げているSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)の本拠地、米国はテキサス州オースティンで2014年に結成された。これまでに4枚のアルバム、Double Double Whammy在籍時のレーベルメイトのLomeldaと互いの楽曲をカバーし合ったEP『Covers 』、Coldplay、Charli XCX、Paramore、Frou Frouの秀逸なカバー集『Covers 2』など、コンスタントにリリースを重ねてきた。この度、晴れて初来日を果たす。DusterやYo La Tengo、Pavementと比較されたというローファイ感ある初期の作品もいいが、押さえておくべきは2021年リリースのアルバム『True Love』だろう。Bon IverやBig Thiefを手掛けるアンドリュー・サーロが共同プロデューサーとして加わったことによりHovvdyのサウンドを決定づけるとともに、同時期にメンバー二人ともが結婚し、自分自身や愛する人のために曲を書いてレコーディングするという形に戻ったと自ら公言する好盤である。彼らが奏でるレイドバックし暖かみのある音色と歌声は朝霧の舞台にドンピシャだ。最上の心地よさを提供してくれることだろう。朝霧ジャム直前の10/20には東京渋谷のWWWにて単独公演も決定している。オープニングを務めるのは青葉市子。昨年10月に行われた青葉市子の全米ツアー全公演に帯同したチャーリーのリクエストによる友情出演だという。正真正銘の初来日にして初公演の機会となる。必見だ。

THE ALBUM LEAF

10/21(土) MOONSHINE STAGE 18:00〜18:45

HOVVDYでWWWでの単独公演のことを書いたが、同日に同ビルの2階で5年ぶり(バンド編成としては6年ぶり)の来日公演を披露するのは、ジミー・ラヴェルによるソロ・プロジェクト、THE ALBUM LEAF(ジ・アルバム・リーフ)だ。マルチ・インストゥルメンタリスト、 アーロン・レイズによるソロ・ユニットのRAAYSがゲストアクトとして、フィーチャリング・ゲスト・ボーカルとしてMAIKA LOUBTÉ(マイカ・ルブテ)の出演が決定している本公演も見逃せないが、富士山を見渡す朝霧アリーナで大空の下浴びる音はひときわ壮大に鳴り響き格別であること間違いなし。新ドラマーとして参加するアーロン・レイズがグルーヴの要となることだろう。今回は7年ぶりにリリースされた新譜『Future Falling』を引っ提げのステージ。本作中心のセットとなるばずなので予習は必須だ。“Prologue”からKimbraやBat for Lashesとのコラボ曲を挟み“Epilogue”まで。全編を貫く、孤独で荒涼とした世界観。パンデミック間の産物であることがうかがえる音像だ。創作とは元来孤独なものなのかもしれない。ジミー自身、フェイバリットのひとつだという“Stride”の心臓の鼓動のようなベースビートにみんなで身体を揺らせるのを心待ちにしている。

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN

10/21(土) MOONSHINE STAGE 12:30〜13:15

細野晴臣御大の孫(Yuta(Ba.))が在籍するバンドとして耳目を集める3人組、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN(チョコパコチョコキンキン)。この摩訶不思議なバンド名は、キューバ民謡の基本的なリズムパターンの一つで、キューバのストリートでDaido(作曲/映像)にコンガの叩き方を教えてくれたおじさんから最初に受けたレクチャーだったことに由来している。中南米からブギウギ、秩父のお祭りまで、民族的なパーカッションの生音が電子音にミックスされたエキゾチックでポップな世界観。意識的にではなく、メンバーの興味や関心から実験しながら、たまには迷走しながら(笑)楽しんで楽曲を創り上げているようで、その様がおもちゃ箱をひっくり返したような楽曲群から見て取れる。小学校4年の頃から未完成なものの曲を作っていたという3人ならではの関係性とケミストリーがあるからこそだろう。これからどんな音楽ミックスの妙技で魅せてくれるのか。楽しみでならない。朝霧ジャムに集まる音楽ファンたちのハートを撃ち抜くこと必至だ。

BADBADNOTGOOD

10/21(土) RAINBOW STAGE 20:40〜21:55

カナダはオンタリオ州トロントを拠点に活動するジャズトリオ、BBNGことBADBADNOTGOOD(バッドバッドノットグッド)が7年ぶりのパフォーマンスを繰り広げに帰ってくる。ロバート・グラスパー・フォロワーな生演奏ヒップホップ・バンドからキャリアをスタートし、Ghostface Killah、Bootsy Collins、Kaytranada、Thundercat、Frank Ocean、Kendrick Lamarといった錚々たる大物アーティストたちとのコラボ歴を持ち、これまでに5枚のアルバムをリリース。最新作『Talk Memory』では、70sなヴィンテージ感あるジャズ・ロックやフュージョンをアルトゥール・コルテス・ヴェロカイによる弦楽アレンジやFloating Pointsによるエレクトロで装飾し、作品ごとに新境地を拓いてきた。朝霧でのステージは、音源のようなゲストはおらず、メンバーのマット・タヴァレス、アレックス・ソウィンスキー、チェスター・ハンセンが巧みに奏でるシンプルでストレートなジャズを堪能できることだろう。直前10月18日のLIQUIDROOMでの単独公演も見逃し厳禁だ。

KASSA OVERALL

10/21(土) RAINBOW STAGE 17:30〜18:20

BBNGに続くは、ドラマー、プロデューサー、MCと様々な顔を持つ鬼才、KASSA OVERALL(カッサ・オーバーオール)。朝霧前の東京での単独公演はすでにソールドアウトと、注目度の高さがうかがえる。ジャズ畑から出てきた人ではあるが、ジャズで括ると怒られてしまうのではと思わせるほど越境しまくりの音楽性には脱帽だ。最新アルバム『ANIMALS』は、カッサ自身が多大な影響を受けたSquarepusherやFlying Lotusが所属するWarp Recordsからリリース。ジャズ、ヒップホップ、ソウルファンクにディスコ、エレクトロと何でもござれだ。音楽に対する深い冒険的・実験的な探求とともに、現代の人間誰しもが抱える精神的疾患やメンタルヘルスについて扱っている。今の時代をダイレクトに表現するアーティストの生は目撃しておくしかないだろう。今回、バンドの一員として参加するトモキ・サンダース(父親はフリージャズの巨人、ファラオ・サンダース)が繰り出すアルトサックスとの絡みも楽しみだ。

WAAJEED

10/22(日) MOONSHINE STAGE 17:00〜18:20

アメリカミシガン州デトロイト出身のDJ・プロデューサー、ロバート・オウブライアント(Robert O’Bryant IV)によるWAAJEED (ワジード)が2日目の17時、MOONSHINE STAGEに登場だ。10代でDJやビートメイカーとして参加したT3、 Baatin、J Dillaによる伝説のヒップホップグループのSlum Village、昨年リリースされた最新作『Memoirs of Hi-Tech Jazz』のタイトル、ここからのリードシングルの“Motor City Madness”はURことUnderground Resistanceにリミックスされている。この辺りのデトロイトな背景や繋がりにグッとくる人も多いことだろう。そして、彼が手掛け、スピンする音楽もデトロイトど真ん中だ。ひたすらにジャジーでドープ。漆黒のグルーヴにただ身を任せるしかない。

KITTY, DAISY & LEWIS

10/22(日) RAINBOW STAGE 15:50〜16:40

彼らの出演決定も本当に嬉しい。イギリスはロンドンから長女のデイジー、次女のキティ、長男のルイスのダーラム3兄弟によるKITTY, DAISY & LEWIS(キティー・デイジー & ルイス)のお出ましだ。2018年の『SUPERSCOPE』ツアー来、5年ぶりの来日となる。デビュー当時の2008年に初来日するきっかけとなったのが朝霧ジャムへ出演だった。2015年のフジロックはフィールド・オブ・ヘブンのステージは、父グレームと母のイングリッド・ウェイス(レインコーツのメンバー)とともにルーツミュージックを互いに楽器をクルクル交換しながら嬉々と奏でる様が最高で、こんな家族が増えれば世界はもっと平和になるのにと憧れたものだ。10月6日には日本独自の編集による『Singles Collection』が発売される。てことは、これまでの軌跡を総括するようなベストセットが繰り広げられる可能性が高い。朝霧直後の東京と大阪での単独公演はどちらもソールドアウトとなっている。これは朝霧で観ておくしかないというもの。

冥丁

10/21(土) MOONSHINE STAGE 15:10〜15:55

日本文化とアンビエントやエレクトロニカは親和性があると感じている。日本の自然や街並み、伝統的な家屋の奥ゆかしい空間、固有の間を埋めるのはミニマルな音に聴衆が想像力を与えるこそと思うのだ。涼音堂茶舗が主催し、毎年夏の終わりに京都の法然院にて開催されている大好きなイベント『電子音楽の夕べ』(祝!今年で20周年)に行き、庭園での秋の虫たちの声とエレクトロニクスとの共演を堪能する度にそんなことを感じてしまう。冒頭から話が逸れたが、日本文化から失われつつある過去の時代の雰囲気を「失日本」(LOST JAPANESE MOOD)と呼び、日本古来の世界観を電子音楽で表現しているのが広島在住のアーティスト、冥丁(めいてい)だ。『怪談』、『Komachi』に『古風』と作品に裏打ちされたコンセプトと披露される幽玄な音世界はThe WireやPitchforkなど各紙から高い評価を受けている。出演は2日目の昼下がりから夕方へゆるやかに切り替わっていく時間帯。MOONSHINE STAGEで、夢見心地に「失日本」な世界へと我々をいざなってくれることだろう。

CHET FAKER

10/22(日) RAINBOW STAGE 14:20〜15:10

オーストラリアはメルボルン(ここはAC/DC縁の地でもあるんだぜ!)から現れた、口髭が印象的なシンガーソングライター、ニコラス・ジェイムス・マーフィーによるChet Faker(チェット・フェイカー)も朝霧の地を踏む。明らかに米ウエストコースト・ジャズ・シーンの代表的トランペット奏者でヴォーカリストのChet Baker(チェット・ベイカー)をもじり、自らフェイカー(偽物)とするネーミングからして粋だ。様々な音楽を参照しながらもあくまでもポップスの土壌で、暖かみのある歌声で我々をリラックスさせてくれる。朝霧アリーナという富士山を見渡す絶景の中で体験する一期一会なライヴは格別だろう。

くるり

10/22(日) RAINBOW STAGE 17:20〜18:20

10月4日(水)に新譜『感覚は道標』がリリースされる、くるり。森信行が復帰し、久しぶりにバンド結成時の3人が集結するこのタイミングでの朝霧出演はベストとしか言いようがない(しかも、自身が手掛ける京都音楽博覧会の直後だ)。出番は2日目の陽が落ちる頃という本年の朝霧ジャムを総括するような時間帯に登場だ。本新作からの1stシングル“In Your Life”、続いて出た“California coconuts”から感じられたのは、気負いなくリラックスして純粋にロックを楽しんで奏でているということ。それがどうしようもなく「くるり」で思わず目頭が熱くなってしまうのだ。3人が揃うとなると『さよならストレンジャー』やインディーズ時代の楽曲たちが飛び出すことにもついつい期待してしまうが、たった今表現されるリアルなロックを心ゆくまで堪能したい。

浅草ジンタ

10/21(土) CARNIVAL STAR 15:00〜16:00

CARNIVAL STARの復活がアナウンスされた。2019年の台風での中止以来なくなっていた、DJ陣を中心としたテント・ステージ。今年の出演陣の顔ぶれを見れば分かる通り、スタンドアップコメディにフジロックでお馴染みのファミリーDJ陣がずらっと揃っている。つまりはTHE PALACE OF WONDERな場所ってことだ(規模的にはかつてのDJテント、BLUE GALAXYが近いか)。朝霧ジャムをフェスティバルたらしめている場所と言ってもいいかもしれない。必ず足を運んでほしい。さて、ここの出演陣の中で、チャッキーズとともに数少ないライヴアクトとなるであろう浅草ジンタ。フジロックをはじめとした国内外の多くのフェスやイベント行脚や、『笑点』出演をはじめお茶の間にも姿を見せているためもうお馴染みかもしれない。場所がどこであろうとも一瞬で浅草のゴキゲンな酒場へと一変させてしまうステージは、CARNIVAL STAR復活に向けた一番の祝砲となることだろう。

リムプレスでは、本稿でピックアップしきれなかったアーティストを含む今年の出演全アクトのプレイリストを作成した(CARNIVAL STARのDJ陣とチャッキーズは除く)。こちらも当日に向けての予習に活用いただけたら幸いだ。
秋深まる夜長は、朝霧ジャムで極上の音を浴びながら大切な仲間たちとの至福の時間を楽しんでほしい。

イベント公演概要

朝霧JAM ’23
富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱら
2023年10月21日(土)〜22日(日)

<チケット券種(詳細はこちら)>

入場券

2日通し券 ¥19,800 (お1人様/税込)
※キャンプ利用を含む

1日券 ¥13,000 (お1人様/税込)
※一般発売から販売開始となります
※キャンプ利用はできません
※駐車場は「場外駐車場」となります

NFT(朝霧JAMのデジタルアート)特典付き入場券(2日通し券)
¥21,000 (お1人様/税込)
※キャンプ利用を含む
※NFT特典付き入場券とは
NFT(Non-Fungible Token)を活用することで唯一無二の価値をもった朝霧JAMのデジタルアート(アートワーク、ロゴ、フォト)特典がついた入場券です。特典は本番開催後に送付予定です。また、取り扱いは ローソンチケット のみとなります。

駐車券

場内駐車券 – SOLD OUT
¥10,000 (1台/税込)
※2名様より受付

ふもとっぱらオートキャンプ駐車券
¥12,000 (1台/税込)
※2名様より受付

ふもとっぱらパーク&キャンプ駐車券(場外駐車場)
¥8,000 (1台/税込)
※2名様より受付

場外駐車券(2日通し券)
¥5,000 (1台/税込)
※2名様より受付

場外駐車券(1日券)
¥5,000 (1台/税込)
※2名様より受付
※キャンプ利用はできません

<購入方法(詳細はこちら)>

一般販売 (先着順)
9月15日(金) 12:00 〜 開始
(※売り切れ次第販売終了)
イープラス
岩盤
チケットぴあ
ローソンチケット
楽天チケット

ふるさと納税 (先着順)
8月4日(金) 18:00 〜 9月30日(土) 23:59
ふるさとチョイス

入場券付きバスプランWEB販売
8月4日(金) 18:00 〜
朝霧JAM オフィシャルツアーセンター(コラボレーション)

Text by Takafumi Miura
Photo by  LIM Press