eastern youth | 大阪 UMEDA CLUB QUATTRO | 2023.05.14

見えない何かがあればいい

5月14日、eastern youthがT字路s主催の『まむしの2マンツアー』大阪公演に登場した。T字路sと、eastern youthの吉野寿(Gt/Vo)のソロプロジェクト、outside yoshinoは2016年5月に新宿で共演したことがあるが、T字路sとeastern youthの共演は今回が初めて。梅田クラブクアトロのフロアは、両者の顔合わせを見届けるために集った観客で埋まっていた。

先攻のeastern youth。1曲目のイントロからフロアには歓声が沸き上がり、終われば吉野と村岡ゆか(Ba)の表情には笑顔も見える。吉野、村岡、田森篤哉(Dr)の3人が紡ぐ燃え上がるような響きに圧倒され、吉野が大きくギターを振り下ろし、マイクスタンドにギターのネックを当てて音を軋ませ、入魂の歌唱を放つ姿には視覚的な興奮も加わる。

「居場所ってどこですか。俺たちの居場所ってどこですか。あそこですか。そこですか。ずっと子供の頃から探してまいりました。一世紀が100年だとして、半分ちょっと生きてきましたけれども、全然見つからない。え、ロックミュージックの『そこ』じゃないですか? まあ、そうですよ」

「(中略)だけど結局、我々とかT字路sのお二方もおそらくそうだと思うんだけれども、なにか踏み外しているんですよ。レールみたいなものを踏み外して、糸の切れた凧のようにどこに飛んでいくかわからないような、そういうところがあると思うんですよね。そしてそれは、間違いじゃないと思っています。俺はそういう人たちと、見えない何かがあればいいと思っているんですよ」

中盤に吉野はこう語る。後半は曲間に大阪の観客と微笑ましいやりとりなども挟みつつ、ソリッドかつ情景を喚起させるような演奏に引き込んでいく、緩急ある流れとなった。4月の極東最前線、ARABAKI ROCK FEST.23の勢いのまま突き進む、バンドの充実ぶりを感じられた50分間だった。

T字路sの伊東妙子(Gt,Vo)はライブ序盤にeastern youthについて、「憧れという言葉では足りないほど憧れの存在」と語り、「でも今日だけは、憧れるのをやめよう!」と宣言。観客から大きな歓声が上がる。ライブ後半ではeastern youthの”夜明けの歌”のカヴァーを披露した。伊東のシンプルにきらめくギターと、それを温かく豊かな表情で支える篠田智仁(Ba)のベースに伊藤のパワフルな歌声が乗り、楽曲の持つ力がストレートに突き刺さってくる。

「T字路sにも実は”夜明けの唄”という歌がございまして、2020年に作った曲なのでもちろん全然後からの曲なんですが、名前をつけた後に『あぁ、そうだ!』(=eastern youthの曲に”夜明けの歌”がある)と気づきまして、急遽漢字だけ変えたという」

T字路sバージョンの”夜明けの歌”の演奏後には伊東からそんな秘話も明かされ、次に”夜明けの唄”が続くという、スペシャルな展開もあった。”夜明けの唄”で歌われる当て所のなさをグッと受け止めながら、吉野が語った「なにか踏み外しているんですよ」という見立てを思い出す。それぞれが独立独歩の存在だが、対峙した時に立ち上る「見えない何か」はたしかにあると確信できる、濃密な競演となった。

5月21日(日)にeastern youthは名古屋クラブクラブクアトロで開催される「鈴木実貴子ズ企画 『心臓の騒音』特別編」に登場する。6月、7月も各地のイベント、ロックフェスティバルへの出演が決定している。

<SET LIST>
01.夜明けの歌
02.街の底
03.風ノ中
04.青すぎる空
05.ソンゲントジユウ
04.時計台の鐘
05.故郷
06.夏の日の午後

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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa