オースティンはいつだって音楽ファンを暖かく迎え入れてくれる故郷であり続ける
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思い返すと、昨年よりも多くのライヴを観ることができた気がする。その理由は、今年から公式の移動手段となったライドシェアの電動キックボード(英語ではelectric scooterといいます)によるところが大きいだろう。SXSWは街全体規模で開催される。これまでは観たいアーティストのライヴがあっても、現在地から遠いベニューだと行くのを諦めてきたが、こいつの登場によりそのハードルがグッと下がった。Uber JUMPをはじめ、LimeやBird、Lyftといった企業のサービスが導入されていた。スマホにアプリを登録し(入金も)、GPSで近くにあるキックボードを探し、ロック解除して乗り、目的地についたらロックして乗り捨てるだけだ。便利な時代になったものだ。ただし、このサービスが来年もあるかどうかは分からない。人でごった返しているSXSW期間中のストリートをビュンビュン飛ばすのは見るからに危険だったし(時速40kmほど出るのだ)、明らかにマナーの悪い人も散見された。街中に乗り捨てられたキックボードの充電に奔走するサービスのスタッフも大変だったことだろう。いずれにせよ、SXSWのアミューズメントパーク的側面を拡大してくれた大歓迎のサービスだ。遠くの郊外にも気軽に移動でき、乗りこなすのも簡単で楽しく、風を切って走らせるのが何とも気持ちいい。来年も期待したいところだ。
さて、続きのライヴレポートをお届けしよう。週末の金曜、土曜になるとオースティンに訪れる人が更に増える。SXSWのメイン通りの6thストリートが人で埋め尽くされ、ここからがクレージーなパーティーの本番という様相を呈してくるのだ。
SXSW Music Festival 2019 ライヴレポート
オーティンはいつだって音楽ファンを暖かく迎え入れてくれる故郷であり続ける
Part [ 1 | 2 ]
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Broken Social Scene | Radio Day Stage | 2019.03.15
本日のSXSW、レイディオ・デイ・ステージの1発目にカナダの国民的バンド、Broken Social Scene(ブロークン・ソーシャル・シーン)が登場!
ビッグネームということもあり、本ステージもここ一番の入りだ。MCの紹介だけで会場に大歓声がこだまする。かつては20を超えるほどのメンバーでごった返していた バンドだが、今回のセットは、ギター、ベース、キーボード、パーカッションにドラム、コーラス、とトロンボーンとサックスのホーン隊の総勢10名だ。メンバー全員が高いミュージシャンシップを持つ彼ら。代わる代わる楽器を持ち替えてあらゆるジャンルの壁を取っぱらったランドスケープを描いていく。これだけの数の楽器から音が出力されているにもかかわらず、音圧も音量のバランスが絶妙で耳にじんわりと馴染む。やっぱり彼らの音は最上の心地よさだ。
ラストは、感謝の意とともに「せっかくこの場にいるならティーンエイジャーのように楽しみまくろうぜ!」と“Stars and Sons”で爽快に締めくくった。
本日は計3回のステージを繰り広げるとのこと(昨日も3回やったとのことで、少々お疲れ気味。けど演奏は決して外さないのは流石)中にはSXSWオフィシャルではない無料のパーティーも含まれているので、本ステージを見逃した人はぜひ。
じきにリリースされるというEP『Let’s Try The After Vol. 1 EP』が楽しみでならない。
Photo by Ryota Mori
Cha Wa | Historic Scoot Inn | 2019.03.15
ハーレー・ダビッドソン主催、お昼のデイ・パーティーに登場するのは、第61回グラミー賞の“Best Regional Roots Music Album”部門でノミネートされた、注目のニューオーリンズからのマルディグラ集団、Cha Wa(チャ・ワ)だ。
フロントマンのジワン・ブードロー(J’Wan Boudreaux)を筆頭に、奇抜かつトラディショナルなマルディ・インディアンスーツに身をまとった二人組が登場し、のっけからCha Waのテーマを繰り出し、ディープなグルーヴで盛り上げていく。バンドがまだ出だしで場の雰囲気にノリきれていないからか、まだフロア前はガラガラだ。ブルージーなギターの入りがたまらない2曲目くらいから調子が出てきた。カウベル、タンバリン、ドラムにハンドクラップといった雑多なビートがせわしなく鳴り回る。総勢8名がオースティンにマルディグラの熱狂を創り出している。気がつけば、フロアのオーディエンスが踊り倒しているではないか。
ラップを入れてきたりと、単なるトラディショナルなブラスバンドにとどまらない新しさがキラリと光る。ここが評価されている所以だろう。引き継いでいく大切なものと、新しい世代・時代とのエンカウンター。人類はそこから新しい歩みを進めていけるのだ。単に楽しいだけではない、未来へと続く音楽の世界を感じさせられたライヴだった。
Photo by Ryota Mori
Swervedriver | Hotel San Jose | 2019.03.15
オースティンのダウンタウンから少し離れたところにある、ホテル・サン・ホセのJo’s parking lotという駐車場で連日開催されている無料パーティー、SXSJ(South By San Jose:サウス・バイ・サンホセ)にやってきた(今年で21回目とのこと)。本日のトリを務めるブロークン・ソーシャル・シーンをはじめ、すごいメンツが集まっている。こんな無料イベントがSXSWの期間中は至るところで繰り広げられているのだ。オフィシャルのチケットなど無くても十分に楽しめる。Molly Burch(モリー・バーチ)が可憐に場を緩めた後に出演するのは、90sのUKシューゲイザーシーンを代表するバンド、Swervedriver(スウァーヴドライバー)だ。最前列を牛耳っているのがそこそこ高齢の方々なのが興味深い。登場するなり出力した不協な音に胸踊る。曲がスタートすると、かつてのノイズはやはり抑えめでズシッと響くストイックなアンサンブルで押していく。ミドルテンポでオルタナへのリンクを感じさせる特有の甘いメロディと、巧みな演奏とサウンドスケープで会場を包み込み、オーディエンスを陶酔させるのだ。ラストでバンド全員であらん限りに音を出力し尽くし、永遠と続くんじゃないかという夢見心地にいざなった圧巻の締めくくりで魅せてくれた。
Photo by Ryota Mori
Amyl and The Sniffers | Hotel San Jose | 2019.03.15
お昼から開催されてきた無料パーティーSXSJ(South By San Jose:サウス・バイ・サンホセ)も19時を回った。
知人から「あのバンドのシンガーはネクスト、デボラ・ハリーだよ!」と聞いて、このバンドを目当てに観に来た。豪州メルボルン出身で紅一点のパーティー、エイミー・テイラー嬢率いる4ピースパンクロックンロールバンドのAmyl and The Sniffers(エイミル・アンド・ザ・スニッファーズ)だ。
エイミーは金髪で、真紅の口紅で染まった唇、上半身ブラ一丁で、舌を下品に突き出し、過激にヘッドバンキングを打ちまくり、ステージダイブを何度も繰り出し、ツバを吐きかける。ザ・ランナウェイズから脈々と継がれたガールズロックスターまんまの姿に思わず吹き出すとともに、その本物の格好良さに思わず唸ってしまう。
音はパンキッシュな直球ロックンロール!はい、大好物です!私を含め、「こういう音を待っていた!」というオーディエンスだらけなご様子。ま、こんなロックスターなオーラをムンムンにまとったフロントウーマンがいたら盛り上がらないわけがないよな。エイミーは、デボラ・ハリーというよりも、メイクから髪型、歌声までシェリー・カーリー(The Runnawaysの)だ。
矢継ぎ早にパンクロックンロールチューンをフロア目がけて打ち込んでいく。昨年、フジロックにも出演し、日本を強襲した同じく紅一点のフロントウーマン、オータム・デ・ワイルドを中心に据えたロックンロールバンドのStarclawler(スタークローラー)の人気を考えたら、このバンドもウケるように思えてならない。
エイミーのパフォーマンスはとどまるところを知らない。指揮者がタクトを振るかのようにリズムを取ったり、ボクサーのごとくパンチを繰り出したり、ボディビルのマッスルポーズなどなど…。ヘタをするとコミカルになっちゃうところだが、何をやっても様になるのだ。今回のSXSWで発見した大きな宝物のひとつと言って間違いないだろう。
Photo by Ryota Mori
奮酉(Furutori) | Elysium | 2019.03.15
日本のインディーバンドが出演するSXSWの名物イベント、Japan Niteの2番手としてに登場するのは、まっていこと高田蒔(Gt/Vo)と、あいしゃこと河西愛紗(Dr/Vo)による、2ピースツインボーカルバンドの奮酉(ふるとり)だ。
拳と拳を合わせて験担ぎし、ステージがスタート。フロアは後方までオーディエンスでぎっしり。
二人がグラサンをかけておどけ、あいしゃがラップを繰り出したかと思うと、“シグナル”ではヴォコーダーボーカルでしっとりと歌を聞かせてきたりする。コーラスを中心にガールズバンドのもつ「可愛らしさ」がありつつもクセになる一風変わったギターフレーズが絡んできて一筋縄ではいかない面白さが奮酉の持ち味だ。
そんな彼女らしさが爆発しているのが個人的名曲、“Bon-no!”だ。耳から離れなくなる特異なギターフレーズに、ラップ調の歌(「今夜はアバンチュール!」の可愛さに撃ち抜かれてしまった)、そして青春真っ只中にいるような強力なフックがこの曲にはある。この曲で会場を沸かせたことは言うまでもない。
ラストはまっていが「イエーオー!」と、オーディエンスとの楽しいコールアンドレスポンスを促し、そこから続くまっていのギターソロは震えるほどかっこ良かった。「また来年会いましょう!」と約40分のステージを締めくくった。
ぎっしりと埋め尽くされたフロアと鳴り止まない歓声こそがSXSWにおける大成功の証だ。ライヴミュージックの都、オースティンに愛された奮酉は、これからもっともっと拡大していくことだろう。
Photo by Ryota Mori
Graham Coxon | Central Presbyterian Church | 2019.03.15
SXSW Music Festivalも早いもので今日で5日目。週末になるとSXSWに訪れる人がグッと増えてくる。
数あるサウスバイのオフィシャルベニューの中でも特異な存在の教会、プレスビテリアン・チャーチ。静謐で厳かな雰囲気があって、大好きな会場だ。この会場で本日のトリを飾るのは、ブラーのGraham Coxon(グレアム・コクソン)だ。
歓声が上がる中、グレアムが登場。彼の最初のソロ作『The Sky Is Too High』から“R U Lonely”でショウをスタート。グレアムらしい憂いのあるフレーズと、暖かみのある歌声が会場を包んでいく。
お次の“Latte”では「コーヒー中毒をテーマにしたものなんだ。アルコールみたくね」と、その後も曲を演奏する前に毎回MCを入れてくる。シャイな感じはありつつも、言葉を通してオーディエンスと自由にやり取りをしていた。随所でミスをしたりするのだが、「わぁ、まだナーヴァスだ。ギターの陰に隠れたい」とおどける。こんなにお茶目で愉快なグレアムは初めて見た気がする。
グレアムのペンによるブラーの“You’re So Great”で会場を歓喜させ、個人的に本セットのハイライトとなった、同郷イギリスのスーパーグループ、Blind Faithの名曲“Can’t Find My Way Home”のカバーでは流石の巧みな爪弾きに思わず膝を打った。
「皆さんが、この後も最高な音楽探求の週末になることを祈っているよ」と言葉を残し、スタンディングオベーションの中、笑顔でステージを後にした。
グレアム最後に放った「素晴らしき音楽探求(amazing quest for music)」。この言葉がSXSWの真髄をよく表している。音楽は人生を通してずっと付き合っていくものだ。楽しく愉快で、そして音楽愛にあふれた素晴らしいステージを届けてくれた。
Photo by Ryota Mori
Celeste| Radio Day Stage | 2019.03.16
楽しすぎるSXSWもあっという間に最終日。連日極上の音楽を紹介してきたレディオ・デイ・ステージの最終日の一発目を飾るのは、イギリスはロンドンのシンガー、Celeste(セレステ)だ。
ピアノの優しいタッチと、都会的な鳴りに心躍るサックスとフルートの上を心地よく浮遊するかのようでいて、ディープソウルな歌声が響き渡る。まだ20代の前半ではないかと思われる若さだが、彼女の口から歌として語られる自分の人生に起きた悲喜こもごものリアルなストーリー。目を閉じて耳をすませばじんわりと全身に行き渡っていく感覚を覚えた。本日も初っ端から素晴らしいアーティストに出会えたことに感謝。
Photo by Koichi Hanafusa
Peelander-Z | Mohawk | 2019.03.16
サウスバイに来たからには、このバンドを観ずには帰れない。我らがPeelander-Z(ピーランダー・ゼット)が、地元オースティンの仲間バンド、Octpus Project主催のデイ・パーティーに登場だ。
「Go! Pz! Go!!」との掛け声からパーティーがキックオフ!「Taco, Taco, Tacos, yeah!!」と“Tacos”、「Wanna go back to highschool!!」と“Ninja High School”と楽しさ満載のチューンを矢継ぎ早に繰り出していく。
何度もピーランダー・イエローが叫んでいたが、「俺は演りたくない!みんなと演りたいんだ!!」と、場を一気に目覚めさせるこのパフォーマンス、音、空気感は一体何だ!?今、我々はピーランダー惑星(Planet-Peelander)にいるってことか!
イエローは何度も何度もステージダイヴを繰り返し、一ツ目で頭がギターの赤いイカのバケモノの被りもんをして会場2階まで担ぎ出されて、ステージダイヴをしたりと、なんでもござれの歓喜のステージは、ほんとにSXSWを代表するステージだ。
ラストに左右に会場全員で手を振り合って笑顔でエネルギー満タンに締めくくったかと思いきや、シンディー・ローパーの“Wanna Have Fun”をバンド全員でカラオケをし、「Peelander-SXSW!!」と戦隊ヒーローごとくポーズし会場を一体にして会場を後にした。最高だ!
Photo by Koichi Hanafusa
The Marked Men | Cheer Up Charlies | 2019.03.16
ピーランダー・ゼットの後は、ピーランダー・イエローに紹介された、地元オースティンのバンド、The Marked Men(ザ・マークド・メン)。モホークのすぐ隣のベニュー、チアアップ・チャーリーズまで観にやってきた。
移り変わる色んな時代のパンクロックを、次々と投下してくる真性ロックンロールバンド。いつまでたっても、何歳になっても、この手の激しいパンクロックに魅せられてしまう。オースティンが醸し出しだす、この雰囲気と相まって格別の格好良さで、パンクロックは俺らの中に鳴り響き渡るのだ。ロッケンロー!
Photo by Takafumi Miura
The Stiches | Hotel Vegas Patio | 2019.03.16
SXSW最終日、とっぷりと日も暮れ、締めくくりに選んだ場所は名物ベニューのHotel Vegasだ。Hotel Vegasは、Hotel Vegas、Hotel Vegas Patio、Hotel Vegas Annex、Hotel Vegas at Vosteadの4つのステージで構成されており、ひっきりなしにライヴが繰り広げられる。SXSWのラストを飾るのにうってつけの会場だ。さて、野外ステージのHotel Vegas Patioに登場するのは、アメリカはカルフォルニア州、オレンジカウンティで1994年に結成されたストレートAパンクロックンロールバンドのThe Stiches(ザ・スティッチーズ)。スローター・アンド・ザ・ドッグズとかスティッフ・リトル・フィンガーズといった英米の70s真性パンクロッカー好きにゃたまらないバンドだ。
開演前の挨拶とばかりに彼らのライヴDVD(『Live @ Der Weinerschnitzel 2003』)を3枚ほどフロアに向けて投げ飛ばす(しっかりゲットしたぜ!)。1発目にバンドと客のテンションが上がり過ぎて、演奏停止となったが、すぐに仕切り直してパンクチューンが連打されるとフロア前方にどんどんオーディエンスが押し寄せ、ぐちゃぐちゃなモッシュとポゴダンスの嵐に。周囲一帯に砂埃が巻き上がる。
ファッティーなオッサン5人組の勢いはまったく衰えるところを知らない。マイク・ローマンはスタンドマイクを振り回し、眼前の電線に引っ掛けようとしていたり、とにかく耳をつんざく音を撒き散らしてあっという間にステージを駆け抜けた。終演後、バンドメンバーが機材の片付けそっちのけでステージ下に降りてきて、集ったオーディエンスと談笑している様が何とも微笑ましかった。
Photo by Ryota Mori
Deathchant | Hotel Vegas | 2019.03.16
SXSW最終日も23時。深夜に差し掛かってきた。室内ステージのひとつ、Hotel Vegasに登場するのは、LAを拠点に活動するブラック・ザバス直系のドゥーム/ストーナー・メタルバンドのDeathchant(デスチャント)だ。開演予定時刻前にはじまってしまい、慌ててステージへ移動。オーディエンスをかけ分けなんとかステージ前方へたどり着いた瞬間に圧倒されてしまった。
超ド級の重量リフが左右のツインギターからザクザクと刻み込まれ、中央のベースからぶっとい音がブンブンと鳴り、ドラムはワンバスながらも腕を振り上げ、あらん限りに叩き込んでいる。
リヴァーブが効いたボイスとシャウトはちょっとした味付けのようなもの。彼らの真骨頂は、確かなミュージシャンシップに裏打ちされたグルーヴだ。モーターヘッドのようなロックンロール、つまり黒人音楽がしっかりとベースにあるメタルなのだ。だからこそ、オーディエンスが音に合わせてダンスすることができる。凡百のメタルバンドとの違いは火を見るよりも明らかだ。
ベースとギター(メインボーカルじゃない方の)が、いきなりステージ上でぶつかり絡み合い、床を転げ回る。その状況に呆気に取られているうちに、バンド全員で強烈なノイズを解き放ち、混沌を会場に完成させて、約20分程度のステージをあっという間に駆け抜けた。
Photo by Ryota Mori
Psychedelic Porn Crumpets | Hotel Vegas Annex | 2019.03.16
SXSW最終日も深夜12時を迎えた。Hotel Vegasの4つのうち唯一のテントステージ、Hotel Vegas Annexに姿を見せるのは、オーストラリアはパース出身の4人組のサイケデリックロックバンド、Psychedelic Porn Crumpets(サイケデリック・ポーン・クランペッツ)だ。
今回のSXSWでは、本当に多くの素晴らしい豪州アーティスト・バンドを発見することができた。このサイケデリック・ポーン・クランペッツも間違いなくそのひとつど断言できる。
ツインギターから出力されるブルージーで土臭いフレーズはアメリカ南部産のハードロックのごとくキメキメに鳴り響き、刻まれる幻惑的で妖しげなリフは、エフェクターのギミックなんて一切なくても十分にサイケデリックだ。4人が表現する音がめちゃめちゃグルーヴィーなため、フロアは音に合わせ踊り倒している。オースティンでは毎年4月にサイケデリックロックの祭典(Levitationという。https://levitation-austin.com )を開催しているくらいだから、サイケ耳が相当肥えているはずだ。そのオースティンでこの盛り上がりである。ほんとに完璧な、ええタイミングで、リヴァーブやフィードバックノイズを入れてくるんだよなぁ。盛り上げどころをよく分かってらっしゃる!
ラスト2曲で、バンドは歌と演奏にすべてを出し切ると、会場中央でモッシュが自然発生し、沸き起こる歓声と笑顔に包まれながらステージを後にした。
Photo by Ryota Mori
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オースティンの街中で体感したおもちゃ箱をひっくり返した感がありありとよみがえってくる。最後に今年のSXSWに対する所感を述べて締めくくりたい。かつてはブルース・スプリングスティーンや、ニール・ヤング、今は亡き殿下(プリンス)といった超大物が数多く出演していたが、昨年に引き続き、今年もビッグネームの出演率が落ち着いた感がある。SXSWが大手レコード会社主導によるプロモーションの場というところから、インターネット/SNS時代を経て、また一巡してSXSWの原点「地元の本当に良い音楽を世に発進する」場に戻ったと言えるのではないだろうか。上記にもその一端を示したとおり、世界中で魅惑的な新しい音楽がどんどん生まれている。音楽の世界は果てしなく広く、深い。SXSWは、時代が変遷しようとも音楽シーンを支え、毎年3月に戻ってくる我々音楽ファンを暖かく迎え続けてくれることだろう。
SXSW Music Festival 2019 ライヴレポート
オーティンはいつだって音楽ファンを暖かく迎え入れてくれる故郷であり続ける
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