KING BROTHERS | 大阪 堺ファンダンゴ | 2019.12.07

アーティストをも魅了していくステージ力

今年10月、ライブバー・ファンダンゴは十三から堺に移転した。一歩店内に入ると周りの静けさとは裏腹に、あの歓楽街のど真ん中にあったかつての姿をとどめていて驚かされた。移転後初めてキングブラザーズが出演したのは、12月7日に行われた、MASS OF THE FERMENTING DREGS(以降マスドレ) & SuiseiNoboAzの共催イベント”DESTROY THE UNIVERSE 宇宙ヲ破壊致シ候”だった。

“Big Boss”で始まったライブ、ステージを見やると、ゾニー(Dr)のトレードマークだった26インチのバスドラが標準的な22インチに、そしてドラムセットが一新されていた。”ドカドカ”では、より打音の輪郭が立ち、これまで地鳴りのように足元から鳴っていた音が、ギターと並んで直線的に飛び込んでくるのが印象的だ。

“魂をうりとばせ!”でフロアに飛び降りたマーヤ(G/スクリーム)が客に近寄りながら弾いていると、追って降り立ったケイゾウ(Vo/G)が負けじとギターを被せていく。突然始まった二人のブルース・ギター対決が本日のクライマックスだった。向き合う二人を囲む観客に、背後から突き刺さるゾニーの鋭角なビートが追い打ちをかけた。

真っ赤なライティングの中、ケイゾウは観客を煽りながら鋭い視線を送る。マーヤはステージ前に移動されたテーブルの上に立ち、よりグルーヴィーなビートにギターを乗せていく。”Do Do Scratch”は、緊張感と高揚感が共存する楽曲だ。

“スパイボーイズ”でマーヤは、ステージに上がりたい人いますか?とフロアに呼びかけた。手を差し伸べステージにあげると、俺たちは繋がっているWe are Rock’n’ Roll!と叫び、一斉にフロアへ飛び込ませた。

そんなマーヤはこの日、担がれながら「なっちゃん!」とマスドレ宮本菜津子(Vo/Bを)呼んだ。満面の笑みを浮かべた彼女はマーヤの目の前で観客の1人として無邪気に踊る。ステージ脇の階段からはSuiseiNoboAzの石原正晴(Vo)が少年のような目で食い入るようにステージを見ていた。キングブラザーズが出演するイベントに来ると、共演者がいちファンとしてフロアで踊っているのを見かける。時にはマーヤを担いでもいる。期待を裏切らないロックンロール然としたステージがあるのを知っているからこそ、アーティストも魅了するのだろう。

そんなキングブラザーズは、地元西宮で毎年行なっている『ゑびすロックフェスティバル』を12月28日(土)に開催する。西宮出身のあいみょんも出演した初回の2015年から、2016年2017年2018年と続いたこのイベント、今年はすり鉢状の特殊な構造を持つ、兵庫県立芸術文化センター・神戸女学院小ホールにて、全座席指定のもと開催される。世界中でアーティストをも魅了する彼らが、どんなステージを見せてくれるのか、またレポートを届けようと思う。

 

▼公演情報
DJ Nobby meets EVIS ROCK FESTIVAL!! 2019
日時 : 2019年12月28日(土)
会場 : 兵庫県立芸術文化センター・神戸女学院小ホール
住所 : 兵庫県西宮市高松町2丁目22(阪急西宮北口駅徒歩2分)

開場/開演:14:30/15:00
出演 : 葉山久瑠実、リーテソン+ BAND、蠣崎未来、KING BROTHERS、
司会 : DJ Nobby、ひぐちのりこ

イベント公式ウェブサイト : http://e-nobby.com/live

問合せ : 西宮さくらF M(0798)37-5512(平日10時~17時)
主催 : さくらFM株式会社
協力 : KING BROTHERS

 

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Text by Tomoko Okabe
Photo by Tomoko Okabe