まず、立ち上がる
まずは避けて通れない話である。入り口で来場WEBアンケートをスマートフォンでおこなってメール登録し、手指の消毒、検温を受けてからの入場。お客さんたちは皆マスク着用して全員着席、声をださずにライブを鑑賞するというスタイルである。もうすでに繰り返されている話だけど、新型コロナウィルス以前と以後ではすっかり変わってしまった、新しいライブ体験を作っていくしかない。
ライブが始まる前、多少の談笑はあるけど、今までと比べればずいぶん静かなフロアである。パンクの名曲がずっとフロアで流れている。「満員のフロアがもたらす高揚感、すし詰めになった人たちが発する前のめりになった期待が、ライブの前から少しずつ漏れてきて、ライブ前にかかる曲が終わるたびに歓声が上がり、もう待ちきれない!」というのが失われいくことを実感する。静かな気持ちで開始を待つ、というのも新しいライブ体験ということか。
18時を過ぎたころ、場内が暗くなり、吉野、田森、村岡が登場した。平熱な感じで楽器を持ち演奏を始める。しかし、そこからでた音はいつもの轟音のギター、迫力の低音、そして叫ぶ吉野であった。新しいアルバムからの曲であっても老舗の味のごとくイースタン印である。歌うことは、コロナウィルスがあろうがなかろうが、自分たちを押さえつけようとしている力に抗い、俺は俺でどんな状況でも生き抜いてやるという宣言、決意である。
吉野のギターアンプの上には、中指を立てたデッサンハンド、広島カープのティッシュ箱、(ヨーロッパ風?)家のペーパークラフト、2輪のガーベラの花、なんらかの怪獣のフィギュアが置かれている。主張と遊び心。
吉野は最近の写真でご覧の通り、口の周りに髭を生やし、MCではユーモアを交えつつコロナ禍を語るので、ストイックな修行僧から面白髭おじさんになっていた感がある。しかし、演奏に入れば、6本の鉄の線を掻きむしり、感情を声に変えて叫びとなって座って聴いている人たちに届ける。
そのギターによるひとりノイズ・オーケストラと重さと速さを兼ね備えたドラムと官能的にうねるベースが放射されるとき「やはり遠慮のない轟音を求めていた」のだと梅田クラブクアトロにいた人たちは実感しただろう。自粛期間中にライブの場が失われ、数ヶ月もそうした音を浴びる機会がなく、待ちに待ったイースタンユースの音がこういう形であっても「ある」のと「ない」のでは大きく違う。「とにかくやることにしました」という吉野の言葉が沁みるのであった。
「みなさんはここに来ているだけで自己主張してますよ」と吉野。この状況下、語らずとも行動するだけでメッセージになってしまう。自分の行動にここまで意味と責任が生じてしまう。普段はそこまで考えずにフェスやライブにいったり、CD買ったり、サブスクリプションで音楽を聴いたり、好きなバンドのグッズを買ったりしていたのだけど、それが誰かを助け、人の命を繋ぎ、音楽への愛を示す尊い行為であるとともに、重い決断がいることであり、それがもたらすかもしれない結果に不安を抱く。全部受け止めてそれが自己主張であることを思い知らされる。
演奏されたのは、新しいアルバムからの曲もあるけど、ファンが望む定番曲も多かった。フロアでは、椅子に座りながらも身体を揺らし、手を挙げて、無言で応えていた。人のバイブレーションが大事だと語る吉野にファンができる最大なこと。お互い持てるものを交換する場としてのライブコンサートを捉え直した2時間となった。
【eastern youth初のワンマンライブ配信決定!】
アルバム『2020』リリース・ツアーの全公演ソールドアウトを受け、 12月5日(土)に開催されるツアー最終日・東京公演(渋谷O-EAST)の有料ライブ配信が急遽決定しました。
『2020』の冒頭を飾る”今日も続いてゆく”をはじめとしたeastern youthの数々のPVや、今年3月発売のDVD『eastern youth 日比谷野外大音楽堂公演 2019.9.28』を手がけている川口潤監督が映像監督として参加します。今回のツアーのチケットを入手することができなかった方、未だ収束しないコロナ禍で家族や仕事などを考慮して会場に行くことができない方もリアルタイムでライブ映像を観られる、eastern youth初のライブ配信です。アーカイブ期間中に繰り返し視聴できますので、当日会場にお越しの方も、終演後にライブを振り返ることができます。
チケットは11月24日(火)より、12月13日(日) 21:00まで購入可能です。詳細はこちらのURLをご覧ください→https://smash-jpn.com/live/?id=3411
<配信期間>
2020年 12月5日(土)18:00~ 12/13(日)23:59
<視聴ページ>
OPEN 12/5(土)17:30 ※18時前後は回線が混雑しますので、お早めのページ接続をお奨めします。
※リアルタイム・ライブ(12/5東京Tsutaya O-EAST公演)のため、公演の都合により ライブ配信の開始時間が遅れる場合があります。
視聴チケット: ¥3,000
発売期間: 11/24(火)17:00〜12/13(日)21:00
購入サイト: https://w.pia.jp/t/easternyouth-fareast/
『eastern youth 極東最前線 2020 あちらこちらイノチガケ』
https://smash-jpn.com/live/?id=3411
名古屋 11/21(土) 名古屋 CLUB QUATTRO
open 17:00 / start 18:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)
大阪 11/22(日) 梅田 CLUB QUATTRO
open 17:00 / start 18:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)
東京 12/5(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST
open 17:00 / start 18:00 前売 ¥4,500(前売/1 ドリンク別)
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