eastern youth | 兵庫 ONE MUSIC CAMP | 2019.08.25

刻みつけた50分9曲

8月25日、eastern youthが兵庫県の三田アスレチック・野外ステージで開催されたフェスティバル、ONE MUSIC CAMPに出演した。前日、山口県で開催されたWILD BUNCH FEST.に次ぐ、2日連続のフェス出演である。

14時50分、メインステージのSTAR FIELDに吉野寿(Gt/Vo)、村岡ゆか(Ba)、田森篤哉(Dr)が登場する。緑豊かな公園の中、会場内にはプールもあり家族連れもたくさん目に付く。コンパクトだが、地元の人たちによる手作り感があふれ、居心地の良いフェスだ。

「ご来場の皆様方には非常に申し訳ありませんが、我々の音楽には癒しはない。憩いはもってのほか。全くありません。なんなら希望もない」

開口一番、吉野はきっぱりと言い切る。同じ口調で「テレビもない、ラジオもない、車もそれほど走ってねえ……」と続けて笑いが起こる。

「eastern youth、50分9曲」

の言葉に歓声が沸き、1曲目の”夏の日の午後”が始まった。田森のドラムを中心に据えた重量感のあるリズムに、ノイジーなギターと吉野の叫びが乗って醸すダイナミックな響きが周辺一帯を揺さぶる。階段状の観覧エリア後方には椅子に座ってステージを眺めている人たちが多く見え、ステージ近くには歓声を飛ばしたり、曲に合わせて合いの手を入れたり、じっくり見入ったり、思い思いに演奏を受け止める人たちが集まっている。5曲目の”青すぎる空”までは一気に演奏された。

演奏開始時はステージに直射日光が照りつけ、こんな環境で50分も持つのだろうか? と心配になったが、途中から日が翳り観やすくなった。次の曲、”時計台の鐘”のフレーズを吉野はゆっくりと、しかしギターの一音一音をテンションを込めて紡ぐ。

「クソSNSが発達しすぎたせいで、いつ何時も、自分の証明を迫られている。逃げ隠れできねえ。こんな山に入ってきたって、電波は追っかけてきてる」

「証明セヨ、証明セヨ、証明セヨ。応答セヨ、応答セヨ、応答セヨ。……既読マークなんて一生付かねえからな」

毅然と語り、”時計台の鐘”が始まった。吉野が歌う寂寞とした歌の世界と、村岡の清らかさのあるコーラスが胸に迫る。次の”たとえばぼくが死んだら”と合わせて聴くと、フェスのピースフルでリラックスした雰囲気からも、SNSのつながりに追い立てられる日常からも完全に切り離され、自分が本当は孤独であることを思わずにいられない。さらに”夜明けの歌”が演奏されるのだからたまらない。

最後の曲は”街の底”。サビの「生きてる!」の絶叫が、前3曲の流れでグラグラになった心に突き刺さってくる。ゆるぎない演奏で、eastern youthのあり方を刻みつけた50分間。仮想現実では味わえない、観客の実感を伴った濃密な邂逅となった。ビシッとキレの良いラストと同時に沸き上がった拍手と歓声に送られて、3人はステージを後にした。

春から全国各地のロックフェスティバルやイベントに出演してきたeastern youth。9月1日(土)には再び関西を訪れ、大阪・味園ユニバースで開催される「夏の魔物2019 in OSAKA」に出演する。9月28日(土)に開催される日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブへ向けて、ラストスパートに入る。

<SET LIST>
01.夏の日の午後
02.砂塵の彼方へ
03.ソンゲントジユウ
04.男子畢生危機一髪
05.青すぎる空
06.時計台の鐘
07.たとえばぼくが死んだら
08.夜明けの歌
09.街の底


<eastern youth 日比谷野外大音楽堂公演 開催概要>
2019年 9月28日(土) 日比谷野外大音楽堂
開場 16:45 / 開演 17:30
※雨天決行・荒天中止
前売:¥4,500(全席指定) / ペアチケット:¥8,000(全席指定) / 立見:¥4,000
※未就学児童は保護者同伴に限り入場可(小学生以上はチケット必要)
※未就学児童でも座席が必要な場合はチケットが必要です。
詳細: https://smash-jpn.com/live/?id=3150


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Text by Keiko Hirakawa
Photo by Keiko Hirakawa