【サマソニ・ソニマニ ’23】リムプレスライターが選ぶ注目アクト vol.2

俺たちの夏が戻ってきた!

真夏の風物詩『サマーソニック』(以下サマソニ)と『ソニックマニア』(以下ソニマニ)が目前に迫ってきた。今年のサマソニは史上最速で、5月には全券種がソールドアウト。サマソニのチケットは参加を迷っている間になくなってしまうので、先行販売のタイミングでゲットしておくのが安心だ。
例年比較的若い人たちが参加し、運営的に盤石と見えるサマソニとソニマニが、高い人気を得ている背景には、都心からのアクセスの良さや、新旧織り交ぜた絶妙な出演ラインナップもさることながら、コロナ禍の反動が影響しているように思えてならない。否が応でも人と人の接触が絶たれた3年間。中学生や高校生なら、入学してから卒業してしまう時間の経過だ。会話もろくにできず、マスクで覆われてお互いの表情もよく分からない、ライヴハウスなどの自由な表現の場が槍玉に上げられ、仲間と一緒に楽しんだり単純に遊ぶことすら困難。青春ど真ん中にいる人たちにとっては可哀想としか言いようがない状況が続いた。
ようやく、徐々にではあるがコロナ禍も落ち着き、開催されるようになってきたライヴやフェスティヴァルは、喜びを共有し失われていた人との繋がりを取り戻す場として、渇望されているのは間違いない。そのかけがえのない場創りに大成功を収めているのがサマソニでありソニマニなのだろう。マスク着用や声出しも解禁され、いよいよ思う存分に夏を全身で感じ、大爆発できる時がやってきたのだ。

BABYMETAL/METALVERSE

BABYMETAL
大阪 8/19(土) MOUNTAIN STAGE 19:25〜
東京 8/20(日) MOUNTAIN STAGE 20:10〜

METALVERSE
東京 8/20(日) MOUNTAIN STAGE 10:20〜

「大爆発!」とくるとこのアクトを外すわけにはいかない。MOMOMETALが正規メンバーとして加入し新生BABYMETAL(以下ベビメタ)となったベビメタが、2019年来4年ぶりに帰還するのだ。もしあなたがいまだに“メタル×アイドル”グループと認識しているなら見当違いもはなはだしい。演奏にダンス、照明や映像といったステージ上の装飾や仕掛け…超一級のクリエイター集団が創り上げるまったく新しい極上ライヴエンターテインメントが、ベビメタの正体だ。特に、凄腕の神バンドが出力する爆音の上を、余裕かつ華麗に飛び越え聴衆の耳と脳天を直撃するSU-METALの歌声の化け物っぷりは現場でしか決して体感できない。
フードエリア内におけるお笑い芸人を中心としたサイドショーステージからのスタートとなった初出演の2012年、世界への挑戦と展開のきっかけとなった2013年のMETALLICAとの邂逅、今に繋がるBring Me the Horizonとの同士たる友情を育んだ2019年など、ベビメタと最も縁が深いフェスティヴァルがサマソニだ。
今春のワンマンライヴで顔見世となったマルチバースプロジェクト、METALVERSEが務める当日マウンテン・ステージのオープニング・アクトにもワクワクが止まらないし、更にはRage Against the Machineのギタリスト、Tom Morelloをゲストに迎えた新曲“メタり!! (feat. Tom Morello)”は8/16の公演で初投下され、その「盆踊りメタル」っぷりをいち早く体験した知人のファンから発狂状態かつ歓喜の声が届いている。観ておくしかなかろうというもの。
以下の2曲からもいかにBABYMETALが「なんじゃこりゃ!?」な面白いことを繰り広げているかを垣間見ていただけることだろう。

JACOB COLLIER

東京 8/19(土) BEACH STAGE 20:40〜

問答無用に楽しく、そして感動のステージを届けてくれること間違いなしなのが、米ロンドン出身のシンガーソングライターにして超人マルチ奏者、Jacob Collier(以下ジェイコブ)だ。共にソールドアウトとなった昨年11月の大阪と東京公演ぶりの来日となる。
超人マルチ奏者と言えば、先日のフジロックに出演していたFKJLouis Coleが記憶に新しい。ジェイコブが、その場に居合わせたオーディエンスとともにまさしく一期一会な場を創り上げていく力量はあの二人をも凌駕する。今年のグラストンベリーにおけるQueenのカバー曲“Somebody to Love”の様子から確認いただけることだろう。
今回、ジェイコブは『 “so sad so happy” Curated by Gen Hoshino at SUMMER SONIC BEACH STAGE』と銘打たれた星野源がキュレートするビーチ・ステージに特別出演する。星野の飛び入り参加にも期待大だが、海沿いの環境の下、集うオーディエンスたちとジェイコブがどんなまたとないステージを繰り広げるのか、本当に楽しみでならない。私は直前の8/17(木)、豊洲PITでの単独公演も楽しんだ上でサマソニのスペシャルなビーチステージにのぞむ予定だ。

THE LOUNGE SOCIETY

東京 8/19(土) PACIFIC STAGE 16:50〜

2000年にはじまったサマソニ。これまで世界中から質の高いインディーロックバンドが数多く出演してきた。1stアルバムリリース直後だった2006年に初出演し、翌年の2007年には大トリに大抜擢されたArctic Monkeysのようなモンスターバンドから、将来有望視されつつもあのバンドは今どこへ状態のバンドまで。
今年のインディーロック勢の中で注目しているのが英ウェストヨークシャーはヘブデンブリッジの4人組ロックバンド、THE LOUNGE SOCIETYだ。彼らの音を耳にした私の妻が思わず「不良」と口にしてしまうほど、気だるくてガラが悪くとがった音のオンパレード。
一般受けするのは、こちらも晴れて初来日となる、よりキャッチーでバラエティーに富んだ楽曲を提供するThe Snutsの方と思われるが、世界最強の三羽烏、AC/DCとMotörhead、The Ramonesだってひたすらに自分たちにしか鳴らせない音楽を追求し深化させて世界を獲ったのだ。バンド拡大の着火点となり得る本ステージをみんなで目撃しておこうじゃないか。

さぁ、今週末はソニマニからサマソニへ。不眠不休の3日間が幕を開ける。3年間耐えてきた我慢はもうやめだ。思いきり声を上げ暴れよう(もちろん周囲への配慮は忘れずに!)ここはベビメタのライヴで定番の煽りで締めくくりたい。

「諸君、首の準備は出来ているか!? Are you ready to HEADBANG!?」

関連リンク

【サマソニ・ソニマニ】リムプレスライターが選ぶ注目アクト vol.1

Text by Takafumi Miura
Photo by  LIM Press