パンと音楽とアンティーク2023 | 東京オーヴァル京王閣競輪場 | 2023.11.18

定着してほしい東京のローカルフェス

昨年もいった「パンと音楽とアンティーク」がおこなわれたので、昨年と同じ会場である東京オーヴァル京王閣競輪場にいってきた。11月の18日と19日の2日間開催で、自分がいったのは18日土曜日の方だった。

この日は風が強かったものの晴れていたので、たくさんの人が来ていた。子ども連れから老人まで年齢層は幅広い。音楽ファン、パン好き、アンティーク好きが程よく混ざっている。一般的なフェスであまりみかけない感じの人もいる。新宿から電車で20分、駅からはすぐと交通の便もよいことから気軽に来られるフェスとしての位置付けもあるのだろう。ハードルの低さが魅力なのだろう。

ステージは昨年と比べて改善された。アコースティックなのは野外、ロック色強いのは1階のポストカードステージに集約されて、3階はアンビエントステージとして落ち着いて楽しむ場になっていた。ポストカードステージにはステージがみえない人にスクリーンが設けられていた。パン販売やアンティーク販売のブースも変わり、スタンドは全てアンティークや雑貨となって全体的にアンティークや雑貨の店舗が増えた感じ。パンは野外に集約されたようだ。パン以外のケータリングカーも増えて食べ物の選択肢は広がった。

イベント自体は10時に開場だったけど、自分はちょっと遅めに昼過ぎに着いた。まずは会場をひと回りしてから、チェリーステージで安齋肇のトークショーを観る。「タモリ倶楽部」の空耳アワーでお馴染みの安齋であるけど、今回は、みうらじゅん原作で安齋が監督を務めた映画『変態だ』に出演した山本圭祐と主演の前野健太(後にオレンジステージにもでる)がでてきて『変態だ』の裏話を語る。観たことのない映画の裏話だけど、エピソードのひとつひとつが面白かった。途中で抜けて、野外で円状にステージを囲んでいるオレンジステージのカジヒデキへ。

イギリス風の帽子とジャケット姿で下は短パンという風貌でアコースティックギターの弾き語り。10何年前の映画『デトロイト・メタル・シティ』の曲”甘い恋人”を今でも大事に歌っているのも素晴らしいし、途中の1曲は弾き語りでなくカラオケにして飛び跳ねて歌ったり、この後チェリーステージにでるかせきさいだぁがゲストで”灼熱少女”を一緒に歌ったりして、最後“ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~”で最高潮に盛り上げた。

ポストカードステージでトリプルファイヤーの最後だけちょっと観て、2階のDJブースでクラブスヌーザーチームのDJを聴いて、ポストカードステージでニコニコタンタン。パソコンなどの機材と生ドラムの2人で、打ち込みで作るダンサブルなサウンドにドラムが強いビートを加える。途中機材トラブルで電子音が鳴らなくてもドラムのソロでつないで対応力の強さが感じられた。

チェリーステージでかせきさいだぁを少し観てポストカードステージでyonige。「フェスでトリになったのは初めてです」と牛丸ありさ(Vo/G)が語る。アコースティックなバンドだけど、ドラムとギターのサポートメンバーを含めてしっかりとしたアンサンブルはロックぽい迫力を持つ。孤独であるがゆえに突き放した視点を持つ歌詞を牛丸がギターを弾きながら歌う。ひんやりとした冷たさがあるのに、柔らかくて芯は固い。矛盾を呑み込んでいく彼女から滲みでる才能を感じて、会場を後にしたのだった。

会場は19時に終わるのだけど、土曜日なら屋内ステージで20時くらいまでやってもいいのではないだろうか。ナイター競輪だってそれくらいの時間までやっているのだし、そうすれば飲食の売り上げも増えるのではないだろうか。

Text by Nobuyuki Ikeda
Photo by Nobuyuki Ikeda