SXSW Music Festival 2019 リムプレスが注目するアーティスト15選!

「ライヴ・ミュージックの都」オースティンが街を挙げて盛り上がる世界最大級の音楽見本市

さぁ、今年もこの時期がやってきました!そう、サウス・バイ・サウスウエスト・ミュージック・フェスティバル(以下SXSW)はもう目前。今年は3月11日から17日にかけて開催される。毎年、60を超える国から、2000を超えるアーティストの出演が予想されているSXSW。昨年に引き続き、現時点で出演が決定している中からリムプレスの注目株15組をピックアップ!(※15. Riverboat Gamblersは除く)SXSWの成り立ちは昨年に冒頭でお伝えしたので、そちらで確認いただくとして、早速アーテイストの紹介といきましょう。

1. PAWS

(犬・猫などの動物の)足の意のバンド、ポーズ。スコットランドはグラスゴー出身の3ピース・インディー・グランジー・パワーポップバンドだ。彼らの音に触れたのは、大阪でスコットランドをはじめとした極上のミュージックとともに欧風フードをサーブするグラスゴウ食堂で『Cokefloat!』を店頭販売していて、ピンときて購入したのがきっかけだ。グランジーな鳴りは個人的にキャンサーズ並みにヒットしましたわ。あの時代を体験した人にはドンピシャじゃないかな。毒っ気がありヒリヒリするサウンド、そしてどこまでも青臭く泣かせるメロディ。さてさて、生はどんなもんでしょうかね。


2. Really From

一聴して「え、アメフト(American Football)!?」と勘違いしてしまうほどのエモい音をこれでもかと浴びせて来るバンド、リアリー・フロム(エモといえば、去年7年振りの最新EP『Kicker』をリリースした、ザ・ゲット・アップ・キッズも今年出演するみたいですよ!)。ボストンを拠点に活動している4人組バンドだ。物憂げに鳴るトランペットが最高(これもアメフトとの共通項ですね)。夕暮れ時なんかに聴いたら泣いちゃいそうな音。大好物です。


3. Sis

さて、お次はサンフランシスコのシスをご紹介。作曲家のジェニー・ギレスピー・メイソンが手掛けるプロジェクトだ。とってもエクスペリメンタル。おもちゃ箱をひっくり返したような色んな音が飛び交う愉快な音像。ニック・ツァムートとポール・デ・ヨングによるザ・ブックスを思い起こさせられた。アーティスト自身が心底楽しんで作っていることが見て取れる。この手のバンドのライヴは音源から受ける印象を裏切るようなステージを繰り広げてくれることが多いんだよなぁ。期待大!


4. Drivin N Cryin

SXSWでせっかくアメリカを訪れるのなら、こんな王道ハードロックバンドに触れてはいかがだろうか。今年で結成33周年を迎えるドライヴィン・アンド・クライン。アトランタを拠点にひたすら活動を続けて来たバンドだ。アメリカの広大な大地と土臭さを感じさせてくれる音。まっすぐな道が地平線に消えて無くなり、見渡すと青空と原っぱ以外何もないような彼の地でこそ聴きたい。


5. Calliope Musicals

カリオペ・ミュージカルズ。サイケデリックにしてグラマラス、そして実験的だけどポップで親しみやすい。とてもオースティンらしいバンドだ。新譜のリリースが目前とのことで、SXSWの期間中、あちこちに姿を見せることだろう。元々は地元オースティンのアーティストを世界に知らしめる趣旨ではじまったSXSW。オースティンに戻ってくる度に、いかに地元のアーティストが世界各地から集結する音楽ファンに愛されているかを目の当たりにする。どのバンドも質が高く、世界を見据えているのだ。SXSWは始まるべくして始まったと感じずにはいられない。


6. The Pinheads

ザ・セインツレディオ・バードマンをはじめ、多くの良ガレージ・ロック/パンクバンドを輩出し続けているオーストラリアからの新たな刺客。ザ・ピンヘッズなんて名前からして大いにパンクってわけだ。とってもローファイで、サイケで、どうしようもなくロックンロール。いいなぁ。


7. Cha Wa

フロントマン、ジワン・ブードロー(J’Wan Boudreaux)のインディアンルックな出で立ちからマルディグラの饗宴を感じさせるチャ・ワ。アルバム『Spy Boy』が第61回グラミー賞の“Best Regional Roots Music Album”部門でノミネートされた。ブラスがファンキーに響き渡るニューオーリンズのトラディショナルな音と、楽しさ満載なステージはライヴハウスよりもストリートで観たいところ。彼らがSXSWのメインストリートの6thストリートを練り歩いたりなんてしたら最高だろうな。


8. 奮酉(FURUTORI)

高田蒔(Gt/Vo)と河西愛紗(Dr/Vo)による、2ピースツインボーカルバンドの奮酉。SXSWで毎年粋な日本人アーティストが集って開催される名物イベント「JAPAN NITE」への出演が決定した。一癖も二癖もあるフレーズ、ドキドキするほどキャッチーなフックに可愛らしい二人のハーモニー。大ウケすること間違いなし!


9. Graham Coxon

今更言わずもがな、ブラーの変態ギタリスト、グレアムがSXSWに参戦決定!オフィシャル・ページには新しいソロアルバムを出すなどの何もアナウンスはないが、ベニューを確認して、一気に熱が上がった。SXSWオフィシャル会場の教会、プレスビテリアン・チャーチ。ジェイムス・ブレイクもかつてここで静謐な情感たっぷりなライヴを披露した唯一無二の会場だ。これは足を運ぶしかないな!


10. Ho99o9

昨年リリースされたザ・プロディジーの新譜『No Tourists』の‟Fight Fire With Fire”での客演が記憶に新しい、ホラー(Ho99o9と書いてHorror(ホラー)と読む)が登場!過去に出演したSXSWでは、オーディエンスのモッシュが激しすぎて、2曲で中止になったという伝説を残している。バッド・ブレインズばりのオールドスクール・ハードコアと、デス・グリップスを思わせるハードコア・ヒップホップのハイブリッドな音は、今浴びておくべき音と言えるだろう。彼らのデビューアルバム『United States Of Horror』も要チェック!


11. Esther Black

ここらで、邪悪なメタルを投下しときましょうか。エスター・ブラックというバンド名にして曲名は‟El Diablo”(「悪魔」)ときたもんだ。はい、ヘドバン決定。インダストリアルでデジタルなスパイスや、唐突にキャッチーなギターフレーズを入れてきたりと一筋縄ではいかないサウンドも美味ですな。


12. The Night Thief

アメリカはロスアンゼルスの3ピース・エレクトロニカ/シンセポップバンド、ザ・ナイト・シーフ。‟Twisted Little Sister”なんて曲名で盛り上げておいて(明らかにディー・スナイダー率いるトゥイステッド・シスターをもじっている)、アンニュイな音で肩透かしを食らわしたりとインディー感満載なのが何とも良い。これはお洒落な老若男女にドンピシャな音でしょう。


13. Morabeza Tobacco

スウェーデンはストックホルム付近のマリアトリエットの小さなタバコ屋から名付けられた、ドリームポップ・デュオのモラベザ・タバコ。脳内をゆらゆらと漂う浮遊感が気持ち良すぎる音はまさしく桃源郷。この音がライヴになると、音量と音圧がシューゲイザーバンドのごとく激変するような予感がしている。


14. Swervedriver

90年代UKオリジナル・シューゲイザーバンドのスワーヴドライヴァーが4年ぶりにSXSWに帰還。名盤『Raise』の頃のヘヴィーでノイジーなキレはないものの、いぶし銀たっぷりな音で会場をじんわりと充満させてくれることだろう。


15. Riverboat Gamblers

最後に紹介するのは、私が2004年に初めてSXSWに訪れた際に目撃しノックアウトされた、真正パンキッシュ・ロックンロールバンド、リヴァーボート・ギャンブラーズ。当時の最新作『Something To Crow About』はめちゃめちゃ聴いたなぁ。まだ現時点ではオフィシャルサイトに登場していないが、地元テキサスだし、ハイエナジーでクレイジーなライヴを繰り広げる準備は整っているはずだという期待を込めてのピックアップ。ぜひ彼らの気合いの入ったロックンロールを体感してほしい。


SXSWの常連バンド、我らがピーランダー・ゼット(Peelander-Z)の出演もまだ公式サイトで発表されていない。3月に入ったことだし、これから連日出演者の決定が発表されていくことだろう。SXSWの期間中、昼間にはその多くが無料で開催される非公式なパーティーが繰り広げられているし、故プリンスやグリーン・デイといった大物アーティストがシークレット・ライヴを決行したりする。そして、オフィシャルでアナウンスがあったアーティストの出演が誤報だったなんてこともざらにあるのだ(去年のNasのように)。そんなハプニングも含めて楽しみ尽くすことができる、音楽ファンにとってかけがえのない7日間はもうすぐそこ!ワクワクするねぇ。

Text by Takafumi Miura
Photo by Ryota Mori