クソみたいな、素晴らしい世界で
4月28日、eastern youthがARABAKI ROCK FEST.24に出演した。昨年同様、フェスティバル2日目、TSUGARUステージのヘッドライナーを務めた。
出演時間の19時5分。昼間は快晴で、eastern youthは日没時にサウンドチェックを行い、夕闇が降りてくる時間帯の登場となった。ステージ前に集った観客に歓声で迎えられ、”夏の日の午後”からスタート。吉野寿(Gt/Vo)の口笛が響く厳かなイントロでしばしの静寂が訪れ、その後村岡ゆか(Ba)、田森篤哉(Dr)が加わり織りなす爆音のコントラストが美しい。
“踵鳴る”から加速度をつけ、熱気が高まっていく。”青すぎる空”のラストの吉野の気迫に満ちた独唱に観客が圧倒されるような雰囲気に包まれ、間髪入れずの”裸足で行かざるを得ない。前半からあふれんばかり緩急に引き込まれていく。
吉野は「憧れるな、ヒーローなんかに憧れるな。自分で決めろ、なんでも自分で決めろ」と噛み締めるように語り、観客はその言葉の意味とともに”ソンゲントジユウ”を受け止める。終盤は”夜明けの歌”、吉野の叫びと狂おしいギターのノイズが天に放たれるようなカタルシスに満ちた”街の底”へと磐石の流れで本編を終えた。
アンコールを望む観客の拍手に答えて再度登場した吉野の「我々、見てのとおりなんで、フェスだからって無闇に盛り上げたりしません」という言葉もeastern youthらしい。
吉野は天気が良くてよかったと続けながら、「雪が降った時もあったもんね」と、2年前やさらに過去の雨がひどかった時もあったと振り返る。
「それでも今日まで無事になんとか生きてきてさ、そんなワーワー騒がなくたっていいのよ。『あー、いいなぁ、外』と思えるが外の醍醐味だと思っています。その割にはボリュームデカすぎるんじゃないか? っていうけれども、それはしょうがないんです。そういうふうに生きてきちゃったんだから」
そして、「クソみたいな、素晴らしい世界」と語って始まったのはアンコールの”素晴らしい世界”。アラバキでの18回目の出演、2日間のフェスの華々しい喧騒の終わり間近。eastern youthは強靭な響きでこの場とこの時間を肯定してみせて、ここに集った観客ひとりひとりの心に確かな意気を手渡していったのだった。
<SET LIST>
01.夏の日の午後
02.踵鳴る
03.青すぎる空
04.裸足で行かざるを得ない
05.ソンゲントジユウ
06.夜明けの歌
07.街の底
En.素晴らしい世界
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